2.手探りな交流。
また書き直すと思いますが、よろしくお願いいたします。
今更ながら視点を付加させていただきます。
被害者(?)X氏の視点。
――あっという間に休憩時間になった。
何時もなら…お手洗いに行く者、飲み物の補給に自動販売機か給湯室に向かう者や雑談を楽しむ者――等に分かれるのに今日は…。
突然――…いや。
イメチェンした“その人”に群がっていた。
中には、誰かが話したのか『噂』を聞きつけた人が何人か“確認”しに来た人が何人か来ていた。
しかし、それが『カウントダウン』が開始される合図でもあった。
何故なら――。
「な~に~?この人だかり~?」
出た…ついに出た。
ワザと小馬鹿にした交じりの言動と有名なブランド品をふんだんに身に付けた派手な外見が、やたらと目立つ女と2~3人の取り巻きを引きつれ登場した。
誰もが『異世界マンガの悪役令嬢かよ!』と、突っ込みたいが…お偉いさんの娘のため突っ込めない…世知辛い現実だ。
「あら?今日は~…あの人、来てないのぉ~?今日も“遊んで”あげようと思ったのになぁ~♪」
――いや。
もう本当に喋らないでほしい。
つか、名前なんだったか…あの言動と行動が、凄すぎて思い出せない人って、ある意味凄くないだろうか?
突っ込みしか存在せず、はたまた嫌みの暴言しか才能を発揮できない残念系令嬢と愉快(?)な取り巻き一行は、昨日と同様に懲りずに『何』しに来たのは、察しが行き着く。
「見当たらないですね~、レーコさん。」
――あ。
そうだそうだ。
思い出した、令嬢の名前!…だけだが…――苗字が、思い出せない。
ある意味、申し訳ない!レーコさん。
思い出させてくれて、ありがとうございます!取り巻きA子さん。
…しかし、思い出したくなかった。
正直。
そして、騒ぎの中心の人物に気づいたレーコさん一行。
ぶっちゃけ、行くな。
近づこうとするな。
その人と貴女との差は、誰が見ても明らか!外見から順に性格と対人とのコミュニケーション能力――…割愛するが、必要・必須要素が見事に欠乏している。
「あなた…見ない顔ね?」
その人を見るなり、物珍しそうに上から下までジロジロと嘗め回すように見るが「まあ、いいわ…ある人を探してるんですけど、知りません?」と、興味がありつつも今直ぐに目的の人物を弄りたいのか発言をする。
そんなに弄りたいのか?と、突っ込みたくなるが…レーコさん一行が目の前にしている人が、目的の人物だと知ったら…後の祭りだろう。
しかし、無駄に終わる。
「何か、用ですか?」
その一声を聞いたレーコさん一行の表情は、驚愕し…その人をガン見した。
レーコさん一行の反応に「そうだよね!そうなるよね!」と、言わんばかりだが見守るしかなかった。
・・・・・
――そんなに不思議な事だろうか?と、思わず聞いたとしても「生意気!」という単語で、瞬時に終わるだろう。
それとも…今は「光の速さ」と、解釈した方が良かっただろうか?
前から思っていたが――…レーコさんって、ファンタジー恋愛系の小説に出てくる嫉妬に狂った“悪役令嬢”ごっこ遊びをしているのだろうか?
違う?
違うの?
それにしたって…本当に小説に出てくる“悪役令嬢(もどき?)”っぽいんですよね。
レーコさんだけでなく『お友達』と、書いて“取り巻き”さん達も似てるし…流行っているんですかね?
仮に、もし…レーコさんが『異世界転生』したとしても…生きていけないでしょう。
ほとんどの『異世界転生』小説は、お世話になっているガス・水道・電気といった足を向けられないライフラインは、皆無だろうし…それどころか、自給自足を占めている。
以前、農家体験会に参加した人に聞いたところ――…イケメン農業者さんの足を引っ張りまくって大迷惑をかけたそうだけど…。
何やってんですかね?
――それにしても…今日も今日とて「本当にお疲れ様です」と、思わず言いそうになった一日だ。
先程まで…今現在の私の顔を見て早々、驚愕していた後――…レーコさんと『お友達』ご一考は、狼狽えながら二転三転程の文句を含めたが…それだけだ。
よく躾という名の教育を受けたペットとしてではなく…躾の『し』の字もされていない“野良猫(犬)”のようだ。
――まるで、近所に住んでいた駄犬のようだ。
おまけに…化学物質過敏症による嗅覚麻痺になっていて、場違いな香水の悪臭が充満していて――…最悪な環境。
私だけでなく、周囲に対する『配慮』すら皆無の状況だ。
そして、極めつけなのが「成績悪いのに…遊んでいていいの?」とかも言いそうになったのは、心に秘めておきましょう。
――本当に…哀れで、愚かで、悲惨な『運命』しかスタンバっていない人って、そう居ないんじゃないかな?
まさか、ここまで“ご自分の立場が、危うい”状況に気づいていないとは――…いやはや『厭きさせない』世の中に感服にて、乾杯と言ったところだろうか。
一瞬、師匠が側に居たら「誰が上手い事を言えと?」と、いうツッコミが聞こえた気がするけど…ガン無視させていただこう。
――さてさて…おもちゃは、おもちゃらしく『躾』をしないといけませんね。
レーコさんは、どんな『躾』がいいかな?
ついでにレーコさんの“お友達”も『躾』をした方がいいか…?でも――…師匠からは目的対象者が“レーコさん”だけと言われているし…。
私は、まだまだ『未熟者』だからですね…複数人への対処・対応しきれない事実――…早く師匠の“右腕”に…いや、左腕になって『恩返し』したい。
――駄目だ。
また、焦ってしまった…。
師匠に「焦ると目の前を曇らせるだけでなく、視野が狭くなるだけでなく、周囲の状況すらも把握できなくなる」と、言われているのに…無理です。
何度も…何度も師匠から「危険と注意」と、口酸っぱくしながら言われ指導し続けていただいた“気持ち”いや『心』と、いうべきか…焦れば焦るほど“失敗”か“失態”が、何時の間にか寄り添うように…二人三脚を執り行う。
しかし、一度“ぶり返してしまった”焦りは…中々、引いてくれないものだ――…無心になれと唱えても『何か』気を逸らせる“もの”が、あれば別だが――…手元にない場合は、どうしたらいいものか…。
――思わず、遠い目になりそうになる…。
いや…もう既になっているだろうか?
小説のジャンルだけでなく物語の内容によって、善し悪しがあるように“必要”な『トラブル』が発生条件を満たしてしまう――…いくら…自分特有のスルースキルを駆使しても避けられない。
分かりやすい例えは――…ファンタジー恋愛小説の『主人公』が、嫉妬に狂った悪役令嬢と取り巻き達に苛めを受けるというイベント(トラブル?)に遭うという描写だろうか?
しかし、どの物語にも“結末”が、あるように…感動を与える事もあれば、不愉快というか不安・不満を与えるバットエンドも存在している。
私も含めて――…誰にでも実在する『回避不可能な悪』を持っているからだ。
まるで、物語のように…誰にでも“良事”と共に“悪事”が、静かに歩み寄る――…その悪事の方が『絶対に回避』は、出来るはずがない。
仮に…この『悪』から回避できる人に――…いや、居るわけがない…間違いなく“断言”出来るし、考えるまでもない。
この事に『気づいている人』か『気づいていない人』か『気づきたがらない』人に分けられる。
何故なら“この世の中”は…十七種類の『悪』が、存在しているからだ。
一つ目は、聖典・聖書神話で“お馴染み”で、有名な『七つの大罪』だ――…人間を罪に導くとされてる7つの欲望を指す、キリスト教用語と、伝わっている。
・傲慢…偉いのは自分だけだというような気分で、なんでも自己本位に行動する様子。
・嫉妬…自分より下であると思っていたものが自分よりも多くのものを持っていた事に気づいた時の、むらむらとした妬みの気持ち。
・憤怒…ひどく怒ること。
・怠惰…すべきことをしないで、無駄に時間を過ごしている様子。
・強欲…飽きることを知らない欲心を持つ様子。
・暴食…食欲に任せ、限度以上に食べる事。
・好色…異性に強い欲望や関心を持ち、常に常時の機会を求めている事。
――二つ目は、仏教でいう十種の悪事。
仏教において「してはいけない」とされた10の行いだ。
調べによると、中国の律令制の律において、特に悪質とされた10の犯罪類(謀反・謀大逆・謀叛・悪逆など)型をまとめたものとの事。
・悪口…他人について、劣っていると事実に反し、また実際以上に言う言葉。
・綺語…真実を離れて巧みに飾り立てた言葉。
・貪欲…満足することがなく、欲が深い様子。
・瞋恚…自分の気持ちに反するものに対して激しく怒る事。
・妄語…噓をつく事。
・偸盗…盗みの事。
・邪淫…夫婦ではない者同士の性交の事。
・殺生…人だけでなく動植物を生かさず殺さずの行動取る様子。
・邪見…間違った考えから人の気持ちくみ取らないで、荒っぽく意地悪くする様子。
・両舌…両方の人に別々の事を言って、仲を裂く事。
――もっと分かりやすく言うと、人の行為から三種類に分類することが出来る。
【身による悪】
・殺生…生きものの生命を奪う。
・偸盗…与えられていない他人の財物を取る=盗み。
・邪婬…よこしまな男女の交わり。
【口による悪】
・妄語…嘘をつく。でたらめを言う。
・綺語…無意味、無益なことを言う。
・悪口…他人を傷つける言葉。陰口、中傷。
・両舌…他人の仲を裂く言葉。
【意(心)による悪】
・慳貪…財物などをむさぼり求める。異常な欲。
・瞋恚…いかり憎む。
・邪見…誤った見解。
分類と項目数を合せて『身三口四意三』と、いう呼び方があります。
口に関することが四つで、他より多いのは、それだけ言葉遣いは難しいということです。
――十悪の中で最も重い悪は、殺生と邪見とされている。
悪の強弱によって、次に生まれる世界が、地獄であったり餓鬼の世界であったりします。
また人間に生まれても、短命であったり、不幸を受ける、とされています。
そして、もう一つ悪に入ると思っていた“もの”が、存在している。
それは『飲酒』だ――…別の言葉で表すなら“おんじゅ”とも呼ばれている。
飲酒は、仏教徒ならば誰でもが保つべき基本的な戒=五戒に上がっていますが、十悪には含まれていないそうだ。
飲酒は、それ自体が悪とされたのではなく、飲み過ぎると過失や犯罪の原因になることが多いので、これを戒めたのです。
お酒自体は『悪』とは言えないので、般若湯とか大乗の茶、といった隠語も生まれました。
また、お酒が本性を曇らせ、正しい道理を悟らせないことから、無明むみょうの酒、無明の酔、などという表現もあるそうだ。
無明は煩悩に捕らわれ、仏法の真理を理解できない心の状態です。
――…遮戒と性戒。
戒は内容により遮戒と性戒の二種類に分けられている。
飲酒のように、それ自体は本来悪でなくても、結果として罪を犯す恐れのあることを制する戒を、遮戒といいます。
それに対し『殺生』や『盗み』と『邪婬』と『妄語』など――…それ自体が“本質的”に“罪悪”で、犯してはならない罪に対する戒めを性戒とか本性戒と言うそうです。
そして、持ってほしい“心情”も存在している。
それが――…十善戒とは、仏教における十悪(十不善業道)を否定形にして、戒律としたもの。
要は、十悪の『逆』バージョンと、思って大丈夫。
江戸時代後期の徳僧、慈雲尊者によって広く宣揚された。
日本では真言宗系で重んじられるが、四国遍路の大衆化により宗派を問わず普及してきている。
次に――…天台宗系では十重禁戒が重んじられる。
仏語の一つ――…十悪を犯さない事だ。
不殺生・不偸盗・不邪淫・不妄語・不両舌・不悪口・不綺語・不貪欲・不瞋恚・不邪見。
十善戒である『十地経』(『華厳経』十地品)第二「菩薩住離垢地」で勧められる、菩薩としてなすべき十の良いことをすることの戒め。
【身業】
・不殺生…故意に生き物を殺さない。
・不偸盗…与えられていないものを自分のものとしない。
・不邪淫…不倫など道徳に外れた関係を持たない。
【口業】
・不妄語…嘘をつかない。
・不綺語…中身の無い言葉を話さない。
・不悪口…乱暴な言葉を使わない。
・不両舌…他人を仲違いさせるようなことを言わない。
【意業】
・不慳貪…激しい欲をいだかない。
・不瞋恚…激しい怒りをいだかない。
・不邪見…(因果の道理を無視した)誤った見解を持たない。
――…この十七種悪の内、一番『人間臭さ』を感じるのは“十悪”の方だろうか?
この十善を実施できる人…いるんですかね?
現にレーコさん達の幼児な『悪』から推測すると“悪口”と“貪欲”と“邪見”と“瞋恚”と“偸盗”と“妄語”と“邪淫”の7つの『悪』の塊――…救えないわー。
おまけに…既に“孤独”になっているのに気づいてないわー。
どうしたらいいんだろう?
まぁ…救う気など、さらさらないんだが…。
ん?
どうして、気になっているのか?
――どこまで、落ちぶれるか気になるんだよね。
え?外道?
何を今更…私は『被害者』でもあれば『傍観者』にしか、過ぎない。
だって、今“私”は――…レーコさんという名の『獲物』を自分好みに“不幸”と“絶望”の色に染めさせている準備をしているのだから…。
楽しい余興でしょう?
それに…いの一番に“突っかかって来た”のは、他でもないレーコさん自身。
何をしたっていいだろう?
勿論――…取り巻きさん達も例外ではない…後回しになってしまうが、首を長くして待っていてくださいね。
さて、と――…この『十悪』の回避方法は、無くはない。
それが“十善業道”というもの――。
【身業】
・殺生から離れること。
・不与取から離れること。
・邪淫から離れること。
【口業】
・妄語から離れること。
・綺語から離れること。
・粗悪語から離れること。
・離間語から離れること。
【意業】
・無貪欲。
・無瞋恚。
・正見。
――師匠から教えていただいた、が…例え『十善』の回避方法を実行なんて、無理だろう。
誰もが“殺生”を行っているのだから――。
ん?
殺した事ない?
何を言っているのやら…私達が、口に無意識に運んでいる“食べ物”は『命』ではないとでも?
私達、日本人の主食である『米』は?
お米だけでなく、野菜は?
牛肉は?
豚肉は?
鶏肉は?
ラム肉は?
海藻は?
焼き魚として定番の鯵やシャケといった魚介類は?
鶏卵やうずらの卵は?
食後のデザートとして主役にも名脇役にもなる果物は?
――もう、分かっただろう?
お菓子も…組み合わせに加工された『命』そのものだ。
食材の『命』によって、私達“人間”の血肉となり『命』を繋がせてもらい続けている――…今も“これから”も変わる事のない現実であり事実だ。
そして…何に対しても『命』と『魂』は、両立。
――…偉そうな事を思われても仕方がない、が…事実だ。
師匠の師匠様も言っていた。
私達の居る『地球』という惑星は“生”と“死”の紙一枚の表裏にしか過ぎないし、当たり前し過ぎる。
さて、と…そろそろ“絶望”の準備をしよう――。