怪談 雪女
「ああ、これ懐かしいなぁ。昔は良く夏休みとか、年末年始にやってたよなぁ・・・・子供の頃、見たときは凄く怖かったよ」
【何人かで冬の雪山に登り、吹雪で山小屋に閉じ込められた主人公。取り敢えず暖をとり、仲間と一緒に壁にもたれ、座ったまま寝ていると・・・・すぅっと囲炉裏の火が消える。
寒いな、と目をさます主人公。
するとそこには、雪のように透き通ったこの世のモノとも思えない美しい女性が立っている。
身体が動かない、声も出ない。恐ろしくなる主人公。
そして女は、一番端で寝ている仲間にナニかを吹き掛けた。
たちまち白く凍って死んでしまう仲間の男!
女は隣、その隣と同じ事を繰り返し、とうとう最後は自分の番に・・・・
「怖い!」神様、仏様・・・・命だけは・・・・」
声にならない声を上げる男に、女は言った。
「お前はまだ若い。命だけは助けてやろう・・・・その代わり今、ここで起こった事は綺麗さっぱり忘れるのじゃ。決して誰にも話してはならん。良いか
だ・れ・に・も・じゃぞ・・・・」
次の朝、なんとか生きて村に帰った男。
そして一年、二年と月日は流れ、あの夜の事など忘れかけた頃、男の元に雪の様に透き通った美女が現れる
「道に迷って困っております」
男はたちまち恋に落ち、二人は夫婦となってしまう。
女は男の子供を身籠り、二人は幸せの絶頂を向かえるのだが
ある夜・・・・
「なあ、お雪、俺は昔ちょうどこんな吹雪の夜に、夢とも現実ともつかぬ不思議な体験をしたことがあるんだ・・・・」】
「そうそう、ここから悲しい話になるんだよな・・・・」
懐かしさに、ついテレビに見入っていると、
「ねぇ・・・・」
うわっ!振り向いてビックリ!
ゆっこさんが立っている!
「何を見ているの?」
「ああ、驚いた、起きてたの?
"雪女"だよ。懐かしいなーと思って」
「・・・・・・・・こんなの面白くないよ・・・・もうやめて寝ようよ」
「う〜ん、あと10分位で終わるから」
「ぃゃょ・・・・」
「え?」
「いやぁーーーー!!!!」
\ガシャーン/
(/ロ゜)/
うわっ!テレビひっくり返したーー!!!
そんなに嫌なのかよ!!!
怖がりだなぁー
寝室に走って行ったゆっこさんを追いかけながら、ふと思った。
あれっ?
ゆっこさんって怖い話、ダメだったっけ?
その夜、僕は夢を見た。
僕は真っ白な壁に寄りかかって座っている
ここは何処だろう。
見渡すと僕の左側にも5〜6人、同じ格好で座らされている男の人たちが・・・・
声が出ない、体が動かない!
怖い!いやだ!何かとてつもなく恐ろしいコトが起こりそうな予感がする!
誰かが入ってきた、女の子だ。
白い服を着て、口には大きなマスク、透き通った雪のような白い肌。
「ゆっこさん?」
そんなわけない、その子はどう見ても小学一年生位の年格好だ。
その女の子は顔色一つ変えずに
一番左端の男の顔に"ナニか"を
吹き掛けた。
すると男はたちまち苦しみだし、口から泡を吹いてグッタリとしてしまった。
「なんだよ!何してんだよ!怖いよ!神様!!」
女の子は隣、また隣と並んでいる男たちに同じコトをしていった。
そしてとうとう僕の前に・・・・
「ううっ!!!」
しかし、女の子は僕の時だけ、他の人と違う行動を取った。
すっ、と顔を寄せてくると耳元で
「お兄ちゃんだけは、助けてあげる・・・・」
僕には、確かにそう聞こえた。
(続きます)