夫婦漫談
「それにしても、あの部長さんにも困ったもんねぇ・・・・」
ひとしきり暴れて、頭に登った血も下がり、すっかり落ち着いた ゆっこさんが、何事もなかったように喋りだす。(^_^;)
「まあ、大目に見てあげてよ。僕の方も悪いんだから」
「貴方は悪くないわよ!あの部長さえ、この世にいなかったら・・・・」
「物騒なこと言うなよ!」
「こうなったら、天井裏に隠してある私の自動小銃で、ひと思いに・・・・」
「ひぃ!そんなものもってるの?!!」
「ウソ、ウソ、あるわけないじゃない」
「なんだよ・・・・怖いよ!」
(*_*;
「だって先月、もうイラナイと思って処分したもの」
「もってたのかよ!」
(/ロ゜)/
「何でも、取っておくもんよねぇ・・・・」
「取っといたらダメだろ!クッキーの空き箱みたいに言うなよ!!」
「今なら、どこで手に入るのかしら・・・・?」
「今も昔も日本じゃ売ってませんから!」(^_^;)
「今からアッチに行くとなると、かなり寒いわよね?」
「い、行きますか?ロシアへ・・・・」
「コッチが身重だって知られたら、ナメられるかしら?」
「と、取引しますか・・・・向こうの売人と!!」
「なんてね、エヘヘ冗談、冗談!」
「冗談に聞こえねぇよ!・・・・それにしても、ゆっこさん、僕の左手のコトでキレすぎだろっ!」
「そうかしら?」
「そうだよ!この間もファミレスでフォークをコロコロ落としてる僕を見て笑った小学生をゲンコツで殴ったろ?」
「ああ、あれはちょっと手が当たっちゃったのよ」
「嘘だっ!"こりゃあー"とか言って、しっかりゲンコツ振り落としてたよね」
「そんな事もあったわねぇ・・・・」
「"そんな事もあったわねぇ・・・・"じゃねぇよ!警察呼ばれて、捕まりかけたじゃねーか!」
「あれは怖かったよねぇ・・・・」
「コッチの台詞だよ!何でそんなに怒るんだ?」
「何でって、そりゃ他人の身体のハンデを面白がったり、からかったりする卑怯ものが
許せないだけのコトよ」
「男前だなぁ・・・・」
「まあ、そんな事はどうでも良いでしょ。もう11時だし、トットトお風呂に入って頂戴」
「ハイハイ」
ーカポーンー
「ああ、いい湯だなぁ・・・・疲れも吹っ飛ぶよ・・・・うっ!イテテ"裏拳"食らった右顎がズキンズキンするよ・・・・しかし、ゆっこさんの裏拳も毎回威力が増してるなぁ・・・・全くモーションが読めないし、見えない。おまけに無音で来るからなぁ。もう
ありゃあ"サイレントナックル"と名付けよう!」
なんて、バカなことを言ってる間にお湯の中でウトウトしてしまい、「はっ!」として飛び出すと、もう夜中の12時をすぎていた。
「もう、ゆっこさんも起こしてくれれば良いのに!もしや向こうもリビングでウトウトしてるのかなぁ?」
リビングのドアを開けた。
テレビがつけっぱなしだ。
ああ、ヤッパリゆっこさんはソファーで眠っているじゃないか。
テレビではBSで古い日本映画の
「雪女」
が始まっていた・・・・
(続きます)