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――GAME START!!――

ありそうで無かった、いや、なさそうで無かったR18ゲームの大会がついに開催です!


とはいえこの小説はR18ではありません。(ギリギリを攻めています)


安心してお楽しみください!

 夜空に光が広がった。規則的な同心円状に、幾重にも広がる七色の光。続いて腹に響く炸裂音。

 眼下に広がる河川敷から歓声があがった。そして続々と打ち上げられる幻想的な花火。

 非常階段の踊り場は、完全な穴場だった。混んでいない。視界を遮るものもない。そして、人目につかない。


「きれい……」


 浴衣姿の水野みずの詩織しおりは少し潤んだ瞳で、小さな団扇を抱きしめるように花火に見入っていた。少し緩んだ浴衣の胸元からのぞく白い肌に、花火の色が反射する。

 彼は詩織の髪に指を潜り込ませ、頭を撫でるようにしながらそっと彼女を抱き寄せた。


「あ……っ……」


 炸裂音の中にも、はっきりと聞こえる恥じらいの声。

 二人の視線が絡み合った。お互いの呼吸が聞こえる距離。


 詩織がそっと目を閉じた。


 打ち上がる花火の音の合間に、二人の吐息が交じり合っていく。



 ひらり、と団扇が風に舞い、落ちていった。






 モニタースクリーンの映像が消えると、うおーーーーっという地鳴りにも似た歓声が沸きあがった。

 ここは世界最大のドーム型イベントホール【ビッグ・エンパイア・ドーム】だ。

 ここでは今、世界中から集まった腕自慢のゲーマー達がプロアマ問わずに腕を競い合い、その頂点を決める大会が開かれている。


 【「レインボー7アイドルストリートハンターG」世界大会! 頂上決戦20XX】


 それが、歴史にその名を刻むことになるこの大会の名前だ。大人気ゲーム「レインボー7アイドルストリートハンターG」の世界大会が、満を持して開催されたのである。

 リアルな恋愛アクションシミュレーションゲームとして一時代を牽引する「レインボー7アイドルストリートハンターG」は、いわゆるR18、アダルト美少女ゲームである。だが、ただのアダルトゲームではない。


 FPSによるリアルタイムアクションシミュレーション。


 リアルに作りこまれた街に生きるAI搭載のヒロイン達と、出会い、発展し、そして、愛を交わす――。

 【にじ(セブン)】と呼ばれる7人のメインヒロインの他にも老若()女総勢777人の攻略対象キャラが登場する圧倒的なボリュームと、細かい好みやフェチズムに応える多様性!

 様々な愛を生きる街【虹光町】における、愛と快楽の人生――、それが、【レインボー7アイドルストリートハンターG】なのだ。

 全世界で社会現象にまでなったこのゲームだが、R18というその宿命から、これまで大会を企画する者はいなかった。


 つまりこの大会は、有史以来初の「美少女(アダルト)ゲーム世界大会」なのである。 




 決勝戦が行われる今日は、その行く末を見守るべく、14万人を越える観客が詰め掛けていた。


「さぁ、昨日のハイライトをごらんいただきましたが、さすがですね~! この花火イベントだけで一気に好感度と愛情ポイントを合計28も荒稼ぎしています。さすがはファイナリスト!」


 テンション高く響くのは実況者の「ぽん・PEN吉」の声だ。


「ってーわけで! 今日はいよいよ大会最終日! ファイナリスト二人による、頂・上・決・戦!

 二人のプレイを、一瞬たりとも見逃すな! Don't miss it!」


 14万人超の観客が唸りをあげた。12階席の二箇所からゴンドラが現れ、ファイナリストを乗せて中央ステージへ下りていく。それぞれのゴンドラの映像は、ドーム各所に備えられた超巨大スクリーンにリアルタイムで映し出されていた。



 プレイヤー名【アルカリ三世】。


 「ロマン派の巨匠」と呼ばれた名人である。ストーリーやイベントを、より効果的に、扇情的にクリアしていくプレイスタイルには「信者」と呼ばれるほどのファンも多い。

 冒頭の花火イベントは準決勝における彼のリプレイだ。現在総合ポイントでは2位に甘んじているが、この決勝での逆転が期待されている。




 プレイヤー名【紗魅シャミィ・蒼月そうげつ】。


 「氷血の超絶職人」の異名を持つ、技巧派の達人である。常に最高の効率を求め、全てに於いて完璧なプレイスタイルは何人の追随をも許さない。昨日までのプレイですでに【にじ(セブン)】全てのフラグを立て終えており、決勝戦では7人連続の【一線越え】フラグ回収プレイが期待されている。

 現在の総合ポイントはダントツの1位。初代R18ゲーム王の栄冠は彼の目の前にぶら下がっていると言っても過言ではない。




 二人はゴンドラを降りると、それぞれ自分用のプレイブースへと消えていった。

 【アルカリ三世】のブースには四畳半ほどの広さで中央にコタツが置いてある。そのコタツの上にPCが置かれており、彼は着ぐるみのようなその巨体でコタツの前に座った。

 一方【紗魅ィ・蒼月】のブースはより狭い空間だったが、コクピット型の内装でPCモニタ、操作デバイスともに最新鋭のものである。コンマ一秒単位の繊細な操作を全て正確に拾い上げる事に特化させていた。彼はいつものラフカジュアルないでたちでコクピットに収まった。

 二人とも、大きなサングラスと、顔を覆うマスクをつけていた。



 日本時間17:00。グリニッジ標準時8:00。


 ――GAME START!!――

決勝戦の幕は切って落とされた!


二人の超絶的な美少女攻略が楽しみだぞ、という方は、評価やコメント等頂けると嬉しいです!


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