5、
こうして2つの冬を越してお兄ちゃん達は冒険者として村に帰り次の年には隣お姉ちゃんも私のお兄ちゃんのお嫁さんになると言って村に帰った。
私のお姉ちゃんは薬屋さんのお孫さんと仲良くなっていた。
側から見ると両想いのようだが本人達は片想いだと思っているようで薬屋さんの家族はその様子を歯痒く感じているようだ。
みんな優しい人達らしく今は2人を見守っているらしい。
私は生活魔法と薬屋さんの仕事も覚えたので簡単な魔道具が作れる隣の道具屋さんの仕事が覚えたくなり薬屋さんの隣の道具屋さんのお手伝いをしている。
ただ、面倒くさいことに道を挟んだ反対側にある本格的な魔道具を扱う錬金術師のお店のお弟子さんに嫌がらせをされている。
初めて見かけて挨拶した頃は普通だったのに私のお姉ちゃんが薬屋さんのお孫さんと仲良くしだした頃にはおかしな態度をしてくるようになった。
挨拶は無視されるのでこちらからもしないことにした。その後からは変な物を渡された事があってからは避けるようにしている。
お姉ちゃんに相談してからはお姉ちゃんが行き帰りの時間を合わせてくれるようになったので少し安心かな。
よっぽど変な言いがかりをつけて来たりこっそり後を追って来た時は
「気持ち悪い。」
「辞めて。」
「また、師匠に言うよ。」
などお姉ちゃんからも言ってくれる。
私も辞めるように言うが酷くなってきている。
男の子なのでといっても大人に近いぐらい大きいんだけど逃げてもずっと追いかけてくる。
引きずられそうになって腕が赤くなった事もあったので師匠の人にも言って辞めてくれるように頼んだりしていた。
お弟子さんはこっそりやればバレないと思っているようで反省が見えない。
反省して行動を改めろと怒っているし他の人にも迷惑かけているので薬屋さんと道具屋さんからも抗議してくれてお店としても被害を受けて破損した商品もあると伝えてもらっている。
他の人がいると来ないので私は1人にならないように帰り道や出かける時は気をつけていた。
そんなこともあって私達は預かって貰っていた孤児院から薬屋さんに居候させてもらうことになった。
お姉ちゃんがもうすぐ成人するのでこのまま婚約して花嫁修行をすることが決まったのもある。
そんな時に村に帰ったお兄ちゃん達が婚約の内定ということで薬屋さんに挨拶に来てくれた。
相変わらずなことでお父さん達は冒険者パーティーと森やダンジョンの探索が忙しいようだ。
間引きが間に合わないと困るのでお兄ちゃん達がギルドに冒険者の追加の依頼を入れたり買い出しもして行くようだ。
私もみんなと一緒に出かけてお兄ちゃん達の買い出しの後に自分の買い物を久しぶりに楽しんだ。
新しい服を買って服屋さんを出た時に私は店の角に引っ張っられた。荷物があって抵抗できずに店の横に引きずられる。あのお弟子さんだ。
「わっ!嫌!!」
私はびっくりして大きい声が出た。そのおかげですぐにお兄ちゃん達が来てくれた。
「お前は誰だ。触るな。お前に触る権利ない。」
とお兄ちゃん達が怒って言うと私を後ろに隠してくれる。
お姉ちゃんがお店の人を呼びに行った。
隣のお兄ちゃんには私に怪我が無いか下から上へと見られて
「大丈夫だったか。怪我はないか。」
と聞かれて手首の辺りを指差して
「こんなに赤くなるなんて腫れているじゃないか。」
と言ってハンカチを濡らして軽く結んで手当てをしてくれる。
お姉ちゃんはお店の人を呼んで来て
「さっき服を買う時の試着した時になかった怪我です。被害にあったことを証言してください、お願いします。懲りずに何回もこうやって来ては暴言や暴力を振るったりして大変なんです。」
と言って協力をお願いしている。
今までに薬屋さんと道具屋さんに来て暴言や手を引っ張ったり髪を掴んだりしてくるので私がよく転んだりし怪我をしているからお店を出禁にされているんだけどまったく反省しない。
「今聞いたけど妹に何回も嫌がらせしているんだってね。町の警邏する騎士に出す。」
と言ってお兄ちゃんは怒って大きな声で言っている。
すると騒ぎを聞いて誰かが呼んでくれたようで警邏隊の詰所に連れて行かれた。
一人騎士さんがこっちの事情を聞くように残った。
周りの人からも事情聴取をしては書き止めて薬屋さんにも行って事情を聞いてくれた。
薬屋さんのお婆ちゃんも道具屋さんのお婆さんもきちんと日時やどんな風に何があったかを説明した。
こちらの被害と魔道具屋さんの対応やその時に居た店側の人とお客さんの名前とかの控えも作ってあって、更に何かの時にこの証言をお願いしたので話してくれるお客さんの連絡先までついていて騎士の人に驚かれていた。証拠大事です。
魔道具屋さんの方にも連絡がいって師匠さんから今回のことで破門して別の町の親元に返すと伝えられた。
お詫びに魔法の教本のような物を頂いた。
魔法属性についてと錬金術に使う本でお高い物らしい。
魔力が使えない人にあまり意味がない本だけど売れるそうなので読んでからメモもしっかりと取って活用してからは勿体ないから売ります。
事件の次の日にお兄ちゃんと警邏隊の詰所で証言の確認と書類のサインをする為に行った。サインが終わった後に
「魔道具屋さんのお弟子さんから謝罪がしたいと言われてますがお会いしますか。」
と聞かれて私は本当に嫌で担当の人に
「気持ちが悪いので嫌です。」
と言ってしまいお兄ちゃんに怒られた。
騎士さんが今回の動機を聞いたところ私のような小さい子が好きで(私は10才で小さくないです。)お姉ちゃんの名前と年齢を間違われていたようで孤児院から通っていたなら孤児だと思い、親がいないので反対されずに付き合い成人後すぐに結婚したかったそうだ。
それって強引に結婚に進めるという事ではと私はつい言葉が出てしまった。
「妄想が怖いし気持ち悪いです。」
と騎士さんに言ってしまいお兄ちゃんには今度は溜め息をつかれました。
騎士さんには残念そうに
「そういう男ばかりじゃないから、あいつが特別だから。気をつけような。」
と言われました。いろいろに気をつけます。
無事に終了してお店用の不審者対策リストの存在はバレなかったです。作ったの私です。