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子供時代  作者: 岩城
12/15

12,


周りがバタバタとして応援に行く人が準備をしている間を通り抜けて私達の納品も済ませて行く。


私が薬師と解ると子供と思っていいように扱おうとする人もいた。


納品する商品を奪おうとする人が出ても困るので普段は薬師様の側使えとして対応する。前にあったんだよね。


だから薬師の時は顔を隠して対応している。なるべく私1人で対応しない。こういう時にお兄ちゃんがいると楽なんだなぁ。


ポーションを中心に2人で運んで完了のサインをもらう。


応援に行く為にここから出る人を眺め、アインスの町から入って来る人を見た。


薬屋さんのお店の人を探して荷物を受け取り材料を手に入れた。


今日は荷物が運び易いように手押し車を借りれた。こういう運び込みに使える物が有ると便利なので欲しいなぁと思った。


材料も手に入れたので私達はテントに戻った。私が起きている間にカイトに休んでもらう。


カイトが休んでいる間は材料の消費に励む。


砂時計を用意して時間も計る。薬屋さんのお婆ちゃんに計る事で改善できる事があるからするように言われているからね。


その日の夕方にカイトが炊き出しの応援に行きお肉がゴロゴロしたシチューとパンを持って来た。


そこで聞いた話では、アインスの町から応援が来たようだ。


テントが足りなくて相部屋?を頼む人もいるみたい。男の人は大概外で雑魚寝らしい。


私達のテントも聞かれたが薬師様が作業するのでと断ったとカイトが言った。


作った薬やポーションが万が一にも足りなくなっても困るし作業の邪魔になるとも言った。カイトはすごいなぁ。


私はそういうのを断わるの苦手だからすぐ相手に合わせて我慢しちゃうんだよね。


お兄ちゃん達兄弟やカイトは違うんだけどね。いつも私の事を考えてくれていて私が言わないで我慢する事なんてほとんどない。


たまに思ってもいない事をしてくれるけど結果としてありかなぁで済んでいるしね。


今日は夜番がなくて私もカイトもテントで過ごした。私は寝袋に入ってカイトに早く錬金術のスキルをつけてランクを上げたいなど話ながら眠りかかっていた。


「俺のできることなら一緒にいて手伝ってやる。」


とカイトが言ってたが話が聞けてないまま寝た。


明朝に応援の人達に運んでもらう納品数は終わっているので安心してた。


朝、すっきりと目が覚めた。起き出すとカイトが先に起きていた。


私を見ると近寄ってギュッと抱きしめて言った。


「今から落ち着いて聞いてくれ。ネクスト村が、村がダメになった。さっき斥候が来てテント村が最前線になったと聞いた。村から撤退して来た人がテント村に何人か来てわかったそうだ。村の中にも魔物が入ってもうダメだと言ってたそうだ。もうすぐアインスから来た冒険者たちがテント村に行く。詳しくはお兄さん達が戻るのを待とう。」


私は寝起きもあってよくわからなかった。とりあえず着替える事にした。


カイトがその間に食事を取りに行ってくれた。2人で食事をして出来上がった物を納品してくる事にした。


納品をして話を聞くとテント村から戻って来た人には会えなかった。


お兄ちゃんの事が聞きたかったが人が多すぎてわからないそうだ。


ただ、斥候の人の話では村の中の人にはあまり希望が持てないと言っていた。ほぼ村を棄てての撤退だったそうだ。


私は理解したくなかった。話の途中でもう帰りたくなった。


顔色の悪い私を心配したカイトが話をしていた人に断りを入れて私をテントに連れて行ってくれた。


スタンピードの話を聞いてお兄ちゃん達が防衛戦に参加した。そしてネクスト村が落ちた。前線が撤退してテント村で戦っている状況は悪化している。良い知らせはずっとない。


薬やポーションの消費が増えるばかりで休んでいる暇がないのも全てが戦況が悪化しているからということがわかる。


私に力があったら、もっと回復力の有るポーションが作れたら?スキルとランクが上がっていたらどうか?奇跡が起きただろうか。


否、スタンピードに負けない攻撃力があればいいんじゃないか。そうしたら村が最前線の戦場になる前に壊滅できたかもしれない。


否、人が1人強い人がいても運命的なものは変わらない。


みんなを導く力があればいいのではないだろうか。


それぞれの力を役割を分担して補う事だスタンピードを抑えておく事が出来ただろうか。


否、子供の私に何ができるのか?攻撃力やスキルや高いランクがあって人を導ける存在が必要だろう。


理不尽だ。どうしたら解決できる。運命と言って納得しないといけないのか。おかしい。


前にもこんな理不尽で納得がいかないまま受け入れられない事があった。


あの時は今みたいに泣く事も出来ず失ったものがあるのにそれを認識できないようにされて足元が急に崩れて落とされたような喪失感があった。

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