↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傷物少女と幻想騎士の聖釘物語 - レクイエム・イヴ  作者: まきえ
第6章 I'm (not) ready.

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
95/102

14th(13th) day.-13 TAIL ZWEI/釘、扉、鍵 - 天国の扉 -/KNOCKIN' ON HEAVEN'S DOOR


G.T. 12:54




「―――さて、そろそろか」




 光のない、暗い部屋の中で、一人鎮座していた男が静かに立ち上がる。


 傍らで地面に突き立てた聖槍(ロンギヌス)を引き抜き、横薙ぎに振るうと、四方の壁に掛けられていたランプに火が灯った。


 辺りを照らす灯火に影が揺れる。映し出された密室の中心に立つ男を取り囲んでいたのは、赤黒い色素で象られた―――無数の十字架。そして、男の正面の壁には、巨大な(まなこ)がすべてを見据えていた。


 目線の先はどこに向かっているのか、―――最早、男には関係がない。


 過去か、今か、―――未来なのか。


 その手が届く範囲なら、掴み取ろうと藻掻くだろう。


 けれど、それが途方も無い彼方なら。彼岸の先にあるとするなら。"星"の向こう側なら。


 その意志が、崇高なものだとするなら、誰も止めることはない。


 それが間違っているものだとするなら、―――それも、最早、男には関係がなかった。




 揃えるべきものは揃った。あとは、行動にするだけ。




 (zero)と、(ヘレナ)と、―――残りはその扉を開くだけだ。


 手にした聖槍に力が籠もる。




 この日のために、2000年かけた。


 アレイスター=クロウリーが創設した"(Argen)(teum A)(strum)"の存在が、男を今に導いたことに感謝している。


 永きに渡り、追い求めていたすべてが、完結しようとし、終焉を迎えようとしていた。




 あと、少し。もう、少し。やっと、終わる。




 この際、10年の遅れは不問とした。2000年に比べれば、些細なことだ。


 この10年で、より確実となった。なら、これは感謝するべきこと。


 地上の戦いの余波は、建物全体を揺らした。吹き荒れた魔力の衝撃は、"異界化"の結界内を塗り替えて、一部は"地獄化"したことを感じ取れたが、―――それもこれも、男には関係のないこととなっている。


 踵を返し、静かに部屋を後にした。


 石造りでひんやりとした薄暗い廊下を歩き、地上へと向かう。


 もう、ここを歩くこともないだろう。けれど、それを噛みしめることも、哀愁に浸ることもない。





 聖槍を持つ男、―――『遺産(アーネンエルベ)』の異名に縛られることも、今夜で過去となる。




_go to "stigma".

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。