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傷物少女と幻想騎士の聖釘物語 - レクイエム・イヴ  作者: まきえ
第3章 EVE

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28/102

7th day.-3/目覚めの朝、決意の朝 - 装い新たに -/MODE


 ・・・・・・・・・やっぱり、

「? なんですか、アオイ?」

 ・・・・・・・・・・・・・・・気になる。

「アオイ? どうしたんです、ボーとして」

 ・・・・・・・・・うん。

「??」

 キョトンとした表情でジーンがこちらを見ている。その表情は愛くるしいが、なんとも言えない罪悪感が押し寄せる。

「ねぇ、ジーン・・・・・」

「はい、なんでしょう??」

「やっぱりさ、その服、変えない?」

「え、なぜです?」

「いや、なんで、ていうか・・・・・・」

 周りの視線が気になりすぎる。しかし―――、なぜか、ジーンの顔は輝いていた。

「あのさ、ジーン・・・・・・」

「はい?」

「その服、・・・・・・気に入ってるの?」

 なんか、ものすんごく酷な事を聞いている気がする。

「まぁ、気に入っているといえば・・・・・・、まぁ・・・どちらかと言えば、そうですね」

 満更でもないようだ。というかかなり嬉しそう。きっと嬉しいんだ。そうに違いない。

「ジーンってさ、今までどんなだったの?」

「どんなって、この間説明したとおりですが・・・」

「いや、そっちの話じゃなくて、ジーンにも子供の頃があったわけじゃない。その時のことなんだけど」

 こんなに服装一つで喜ぶなんて、正直考えもしなかった。アルスが一緒に考えたって言っていたけど、ジーンの好みを考えてのこれなのだろうか。

「まぁ、幼少の砌までは厳しいながらも田舎育ちでしたから。戦場に出てからはほぼ甲冑が普段着でしたし」

「ってことは、・・・やっぱり女の子らしいことができなかったんだ」

「・・・・・・えぇ。思い返してみれば、男の子のように過ごしていましたね」

 やっぱり、ジーンもその手が血に染まっていても、少女の部分はあったのだ。それでも、彼女はそれを押し殺す事で、人生を賭け、国と王様に従い、戦いに身を捧げ続けたのだ。その彼女に、少女としての面影が見れたことが、私にとって驚きだった。それでも―――

「・・・・・・それって、どうなの?」

「はい? なにがです?」

「いや、その―――」

 周囲の人の目線は、明らかにイロモノを見る目をしていた。私にとって、似合っているもんだから問題はないが、やはり世間の目は厳しいものがある。その明らかな視線は、彼女の後世に語り継がれているかもしれない名誉的なモノの危うい感じがヒシヒシと伝わってきた。なんていうか、この輝かしい笑顔を私が止めさせるのは、正直辛い・・・・・・。

「―――ジーン、ちょっと来て」

「えっ? ちょっ、アオイ。どうしたのですか?」

 いや、これも彼女のためだ。いくら少女の一面が見れたからといって、この格好は明らかに周囲の雰囲気を変異させるモノがある。せめて、周囲にも溶けこめられるものがいいだろう。

「どうしたんですか、アオイ? 急に急ぎ足になって・・・・・・」

「病院に行く前に、いろいろ準備していかなきゃいけないの。ちょっと付き合ってね」

 そう。いろいろと。準備しなければ、いけない。ジーンには少し酷かもしれないが、佐蔵の花束と一緒にジーンの服装をどうにかしなければ・・・・・・


* * *


「―――それじゃあお着替えも済んだことだし、そろそろ行こうっか」

「・・・・・・あの、アオイ?」

「ん? どうしたの?」

「あの・・・・・・せめて、他のにしませんか?」

「なんでよ? いいじゃない、似合ってるよ」

「いや、似合っているとか似合っていないとかじゃなくてですね・・・・・・。その・・・恥ずかしいのですけど・・・・・・」

「なに言ってんの。恥ずかしさなら私はさっきの方が恥ずかしいよ。あれはね、時代じゃないの」

 ごめん、ジーン。自分で言っててずっと違和感あった。時代のせいではない。

「あの・・・・・・だからですね」

「もう、時間もないんだからさ。行くよ。コソコソしない」

「あっ!! ちょっ、―――」

 にこにこ顔で着こなしていたゴスロリドレスを脱がし、新たに新調したのはトップスはタイトで淡い色のニット生地に濃い色のダッフルを羽織り、ボトムには膝上のタイトスカート、靴は編み上げブーツでYラインを意識した。金髪なワンレングスで整っているジーンの顔に負けないように仕上げた。

「ほーら、なに恥ずかしがってんの? それのほうが周りに溶け込めるんだってば。さっきも説明したじゃん」

「ですが、これは・・・・・・この丈はちょっとワタシにはどうも・・・・・・なんか下がスースーして、足がこんなに・・・・・・」

「あーもう。ジーンに合わせて私も着替えたんだからさ、我慢してよ」

 ジーン一人だけ身ぐるみ剥がすのは流石に気が引けたので、黒色のサイドレースアップをアクセントとした凹凸のあるケーブル編みのニットにアウターに薄色のブルゾン、深い紫のスキニーデニム、ミドルヒールのショートブーツとこちらも新しい装いにした。私の髪がミディアムロングのなので、重たくならないように意識したつもりだ。

 服を買うのに二時間近くもかかってしまったのが誤算だった。内訳は初めの一時間はジーンの説得、服を探すの三十分、再びジーンの説得が三十分、って感じの予想以上の時間とお金の出費だ。

「実際、もっと短いヤツだってあるんだからね・・・・・・」

「ええっ!? そうなんですか??」

「そう! だからここが妥協点なんだってば。さっ、行くよっ」

 一応新しい服が欲しかった時期だけど、もっとカジュアルな服のほうが私の趣味なのだ

「んー、ワタシがこんなに素足を出すなんて、生前じゃ考えきれ・・・・・・。って、アオイ!? 待ってください〜! 置いて行かないで〜」


_go to "connect".




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