弥月の日記
もう限界。好き。本当に大好き。今すぐにでも気持ちを打ち明けて楽になりたい。
このままだと衝動的に何かしてしまいそうで怖い。この前もふいに寝顔にキスしかけて踏みとどまった。
具体的にどこが好きかって言われると難しいけども、ダメ人間のくせに妙な自信があって、かと思いきやプライドゼロですぐ謝るんだけど、無茶振りしても文句言いつつ聞いてくれたり、いつも自然体というか雰囲気が心地よくて、急にかわいくなったり、たまに褒めてくれるし……あーなんかゴチャゴチャしてきた。とにかく好き。
でもこっちから告白はできない。
普段からダメ人間ダメ人間言ってる相手を実は好きでした、なんて言い出せるはずがない。
そうでなくても面と向かって、真顔で好き、なんて言うの恥ずかしすぎて無理。
仮に告白したとして、もし玉砕したら一巻の終わりだ。今の関係にすら戻れなくなる可能性大。それだけは絶対ダメ。
だから告白成功率は必ず百パーセントじゃないといけない。そうなるとやっぱり、向こうから告白させるよう仕向けないと。
え? あたしのこと好き? 付き合いたい? もうしょうがないわねーが理想。ていうかそれ以外ない。
ああ、それにしてもどうしてこんな面倒なことになっちゃってるんだろう。
あたしがこんなキャラじゃなければ、素直に気軽に好き好き言えるような間柄だったら、今頃はもうくっついてイチャイチャして……やば、想像しただけでにやけてきた。
だけど今こんな感じになっているのも、もとを辿れば全部アイツのせいだ。
それは本人だって自覚があるはず。きっとわかってくれてる……わかってるよね?
でも正直今の関係も、これはこれでバランスが取れててすごくお似合いだと思う。
向こうがあまりにもダメダメだから、自然とこっちが上にたってしっかりしないといけない。
それも悪くはないんだけど、やっぱり、ちゃんとあたしのことを見てくれたらなあって……。
問題なのは、距離が近すぎて異性として意識されていないっていうか、恋愛事全般に関してものすごい疎いというか、人生そのものにやる気を感じられない。
とにかくひねくれまくってて素直じゃないし……それはお互い様だけど。
だからまずは、恋愛とか、異性として意識させることから始めないといけない。危機感を煽らなければ。
ただ向こうもその気になったら結構モテてしまいそうな気がするので、あんまりのんびりしてられない。
ああ、ホントめんどくさい男。
……ということで、これからついに練り上げた計画をスタートさせようと思います。
プランは段階的に移行していく形で、向こうが折れればそこで即終了。
あくまでこちらは悟られないよういつも通り、かつ大胆に水面下で進行しなくちゃいけない。
では今日のこの日記をもって、計画開始。
決意表明を込めて、署名。
赤桐弥月