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ミリオタ高校生が異世界へやって来た!  作者: カトユー
番外編2
81/87

10万PV到達記念IFストーリー 最高の最後

 ども10万PVだぜウェーイとか言ってそのまま行方不明になっていたカトユーです。

 無事高校を卒業し大学に進学しました……が、全く時間が無い。どう考えても高校生時代の方が時間あったわってレベル。

 あ、バイト落ちました(隙自語)。


 今回は、10PV記念のIFストーリーです。本編からすこーし離れたお話。具体的には第52部分で分岐したルートって感じですね。先に言っちゃうと空気になったシエナに焦点を当てた?話です。


 それではどうぞ。

 これはエルフを捜索している時、あり得たかもしれない世界線のお話。


 捜索しているエルフ達の間である噂が広まっていた。

 それは、エルフの王族の血を受け継ぐ者が生きているというものであった。




「ハルノリさん、最近流行りの噂って知ってます?」


 部下とは思えない軽いノリでエルフ捜索隊の隊長が聞いてきた。自分が「いや、知らないが……」と返すとそれはもう大げさな感じに溜息をついて話し始めてくれた。自分、上司の筈なんだが……


「出処不明の話なんだがナァ、王族の連中が生きてるってのが最近エルフの間で出回ってるんだよ」


「本当か!?」


 自分が反応すると「お、気になるか?」といった感じで隊長は前のめりになった。


「それでナァ、こっから俺的には重要なんだよ」


「何だ何だ?」


「その王族、女のエルフでめちゃくちゃ美人なんだとよ。しかも若い」


 思わずズコーッとコケた。なんだそのしょーもない情報は。兵士の願望が混じってんじゃねぇの??

 呆れを含んだ視線を彼に向けると手を目の前でワチャワチャしながら言い訳を始めた。


「いや、これはマジな話なんだよ!あまり話題にならない王女サマが居たんだよ!たぶんソイツが生きてるって話なんだよ!」


 ふむ……と少し考えてしまった。なんか記憶にあるぞ……


「チュッ」


 ふぁっ!?なんでキスの話が!?




 あっ、思い出した。シエナだ。

 ……え、生きてるの?

 シルクなんたら作戦(忘れた)の時に離れ離れになってから全く考えてなかったわ。てか、エルフの為に人族と戦った挙げ句に捕縛されて、さらにエルフの集落に送り込まれるって内容が濃すぎるんだわ。既に「マ●ンカンプ」みたいな本書けそう。

 で、エルフの王族というと彼女以外思いつかないんだが……

 マジで生きてるの?


「おい、隊長、その噂の真偽を調べろ。ついでに更に詳しい情報を集めてこい。これは最重要事項だ。他のエルフ救出よりも大事だ!」


「へ?」


 フリーズした自分をぼーっと眺めていた隊長に矢継ぎ早に命令する。


「わかったら動け!これは一分一秒、いや、コンマ一秒を争う事態だ。国家の全てを動員して行う」


「んな大げさな」


「黙れ!降格するぞ!」


「横暴だ!」


 そう喚きつつ隊長は部下の方へと走っていった。

 まさかの総力戦勃発である。




 捜索は文字通り国家を挙げて行われた。空軍は全ての航空機の飛行が捜索を兼ねた。例え練習機であったとしても。陸攻隊は悲惨であった。午前、午後の飛行は勿論のこと、最悪朝夕昼の飛行が加わり1日5回飛ぶことすらあった。ちなみにしわ寄せは乗組員と整備員にいった。歩ける大人は全て捜索隊に編入された。勿論拒否権は無しである。

 陸攻が空から集落っぽいものを探し、見つけ次第地上に連絡、即座に地上部隊が向かうといった流れである。

 捜索を始めて1ヶ月で500人を超すエルフを収容した。




 しかし肝心なシエナは見つからない。司令部の方でも厭戦気分が蔓延してきた。今も部下の話を聞いているが、指揮官への疑念が出てきた。


「まだ見つからないのか?」


「はい。噂自体は至る所で聞くんですけどね……」


「しかし歩いて移動出来そうな距離は粗方探し終えたぞ?」


「そうなんですよね……。最近では徒歩では行けない距離の場所まで捜索の範囲が広がってますよ……」


「もう一度徒歩圏内を徹底的に捜索しよう。期間は1ヶ月。その間に見つからなければ彼女死亡扱いだ。」


「それくらいがベストでしょうね」


「ああ、ビラ撒きもしておくか」


「どのような内容で?」


「我が国の存在を知らせる内容と我々への合図といった感じかな」


「わかりました。明日から散布するようにします」


 「では」と言って部下が出ていく。扉が閉まると同時に「はあ……」とクソデカ溜息で出てしまった。元々強い感情から始まった動きなだけに、部下をそれに巻き込み続けるというのは大変なものだ。そもそも一時の感情なので、自分ですら何がしたいのかわからなくなってきた……


 そんな時、ある考えが頭を過ぎった。

 ガリバルディ?だっけ?イタリア統一の人(適当)。彼は自らの領土を王様に献上して国土統一を成し遂げたんだよね。

 それに近い感じのことをすれば良いのか?

 具体的には自分が君主のこの帝国を丸々シエナに献上するとか。君主もシエナに変えてエルフによるエルフの為の国家にすれば良いし。それに自分達の国の為となればエルフも精力的に動いてくれるのでは?

 ここまで考えが纏った自分はすぐさま部下全員を呼び出した。




「で?突然の会議とはなんですか?」


 テーブルを囲んでいる部下の一人がその場にいる全員の疑問を声に出してくれた。


「今日は重要な話があって皆を呼び出した」


「重要な決断、ですか?」


「ああ、ここで自分はある宣言をしておこうと思う。自分は……シエナを見つけ出したら国を彼女に捧げる」


「「「は?」」」


 議場はにわかに騒がしくなった。「国を捨てるのか」、「エルフの国の再興」だの言いたい放題である。


「静かに!自分だって色々と考えたんだ。こうすれば皆が満足するはずなんだ」


「もし実現したら閣下はどうするんですか?!」


「皆が自分を求めていないなら、自分は大人しく退場しよう。この歳だがどこかで隠居生活を送るのも悪くはない」


「いえ、我々には閣下が必要です。少なくとも人族に怯える必要がなくなるまでは!」


 彼の発言にそうだそうだと追従する者が殆どだった。


「そうだ!閣下を新しい女王の王配にすれば良いじゃないか!そうすれば閣下もある程度の地位を維持できるぞ!」


「確かに!」、「名案だ!」という賛同の声が続く。あれ、自分はまだ退けないのか?


「なんなら共同国王でも良いのでは?」


「「「確かに!」」」


 もうめちゃくちゃだわ……

 その後も自分を持ち上げるようなむず痒い議論が夜まで続いた……

 ちなみにこの件は棚上げされた。




 それから数日後……

 ハルノリの元へ緊急の伝令がやってきた。


「エルフの少女を保護しました!」


「本当か!?」


「ええ。先程入った連絡によると帝都の南20km程の地点で一人で倒れているエルフを見つけたとのことです」


「詳細は?」


「現場も慌ただしいようで詳しい話はまだ伝わってないです……」


「こっちから聞け!今すぐに、だ!」


「わ、わかりました!」


 バタバタと伝令が出ていった。自分も落ち着けず部屋の中をウロウロするようになってしまった。結局、我慢出来ずに通信室の方へと走り出した。




「状況はどうなっている?!」、「連絡は来たか?!」。慌ただしいのは通信室も同じであった。一秒でも早く情報を得ようとひっきりなしに連絡を送っていた。


「部隊より連絡が来ました!少女は呼吸をしているものの、意識不明の模様。極度の衰弱状態だと考えられるとのこと。後送の用意を求むと言っています」


 一気に情報がやってきた。どうやら状況はかなり不味いらしい。空軍幹部がこちらを向き、「陛下、ご下命を」と言ってきた。


「総員、配置につけ。航空隊は出せる機体を準備しろ。自分がシュトルヒで飛んでいく。陸軍は地上部隊の援軍を用意しろ。空路が無理な場合、陸路で行く。道を切り開いて安全に運べるようにしておけ」


「「「はい!」」」


 こうして一大救出作戦が始まった。先遣隊として陸攻一機が前路警戒及び地上偵察を行うために離陸した。遅れて自分が乗るシュトルヒも用意して離陸した。陸軍も砲兵部隊に工兵装備を持たせ森を切り開きはじめた。また、シエナ発見した部隊には周辺の樹木の除去を頼んだ。


 先行の陸攻が現場近くに丁度いい草原を見つけたらしい。近くに行くと、確かに平坦な場所が森の中あった。現場からの信号から少し離れているがここしかない!そう思って強行着陸を試みた。


 緩く旋回して一番長さの取れる角度から草原に進入した。機体が接地してあとはブレーキ……という段階で、石に引っかかったのか窪みに引っかかったのか機体の左側が大きく浮いてしまった。右側の翼が地面を擦りバキッと嫌な音を発した。直後に機体が横転し、身体を大きくぶつけてしまった。

 機体は横を向いたまましばらく地面を滑りようやくとまった。左半身がズキズキ痛むが我慢して、横転した機体から脱出する。


 信号の煙を見つけた自分はそれを目指して走り出す。手ぶらなのに身体が思うように動かない。草原を抜け、森に入った頃には息が上がり走れなくなっていた。まさか日頃の運動不足がこんな時に響くとは……と過去の自分を恨みつつ、一歩一歩前に進んでいく。

 段々と意識が薄れてちゃんと前に進んでいるのか不安になってきた。その時、ガサガサと動く音が聞こえた。「敵か?!」と身構えると、茂みの中からエルフの兵士が出てきた。なんだ仲間か……と思うと同時に体の力が抜けてしまった。


「誰だっ!?

 ……って陛下!?なぜこのような所にいるんですか!」


 そう言ったのを耳に倒れたことに気づいた。




「ん……」


「陛下が起きたぞ!!」


「水もってこい!!」


 目が覚め、身体を起こすと周囲には多くの兵士が居た。どうやら現場には辿り着いたらしい。


「水は結構だ。それより自分はどれほど眠っていた?」


「運ばれてきてすぐですよ。5分も経っていません」


「なるほど。ありがとう」


 そう言うと同時に自分は立ち上がった。


「エルフの少女はどこだ?」


「あちらです」


 彼が指さした方向に多くの兵士が集まっていた。


「すまない」そう言いながら前に進んでいると、毛布の上に寝かされたエルフの少女が居た。


「シエナ、だな……」


 だいぶ、いや、かなり痩せ細っていたが一目見て彼女だとわかった。至る所で骨が突き出しており、皮膚は乾燥し弾力がなく場所によっては青白くなっていて、髪の毛が乾燥してポロポロと抜け落ちた。

 そんな彼女は今、目の前で目を閉じて静かに寝ている。死んだのか?と思いつつ手をとるとまだ温かかった。どうやら生きているらしい。


「水を持ってきてくれ」


「わかりました!!」


 部下がすぐに水を取ってきてくれた。水をコップに移し、上半身を起こした彼女の口元に持っていく。しかし彼女は反応しない。

 仕方がないので経鼻経管栄養でどうにかする。


 経鼻経管栄養とは低栄養の治療法の一種で、読んで字の如く鼻から管を経て栄養を与える方法である。消化管は正常に機能しているが、何らかの事情で口で物を食べられないという人に用いられる。


 医療用キットから細い管を取り出し、彼女の鼻に入れる。そして喉を経て胃まで挿入する。これで準備は終わりだ(経鼻胃管挿入)。

 主計科に言って流動食を更に薄く水っぽくしたものを用意させた。これを管を通して彼女の体内に送り込むのだ。


 200〜600mlのものを1時間掛けて流し込む。割とこれがキツい。

 それが終わると自分もだいぶ疲れていたので倒れ込むように寝てしまった。




 翌朝、自分が目を覚ましてもシエナは起きていなかった。かなり重度のものだったらしい。だが、昨日よりかは見た目的に若干回復しているように思える。とはいえ先はまだ長い。

 1日2回の治療は分担制でやることにした。数時間も重い物を持ち上げているのはキツいからである。


 数日後、少し回復しただろうということで帝都に戻ることにした。勿論陸路である。空路とかいう危険な手段は使わない(反省)


 帝都に戻って1週間が経った。シエナは順調に回復している。肌も健康的な色になってきたし、骨が見えるような場所も無くなった。意識が回復するのもすぐなのかもしれない。地球の集中栄養治療センターの死亡率は5%だ。つまり95%の人は栄養失調になってもそこから回復しているのだ。希望はある。



「ん……」


 目が覚めると知らない天井が見えた。私は…確か当てもなく森を彷徨ってて倒れたはず。ここは何処なんだろう?


「起きた?」


「ここは…どこ……?」


「ここは病院。怪我したり病気になった人の面倒を見るところなの」


「私、病気になったの?」


「簡単に言えばそんな感じね」


「治る?」


「今治りかけのところね」


「……」


「貴方が回復したことを伝えたいから少し席を外すわね」


 そう言って白い服を着た女性は部屋を出ていった。


「私、生きてるんだ……」


 私は誰も居ない部屋で一人呟いた。


 しばらくするとタッタッタッと誰かが猛烈な勢いで走ってくる音が聞こえた。その音は私の部屋の前で止まった。後から遅れてもう一人やってくる音が聞こえた。


コンコンコン


「入っても良いかしら?」


「どうぞ」


ガチャ。ドアを開けて二人の人物が入ってきた。一人はさっきの人。もう一人は……嘘?


「カサイ、さん…?」


 そこに居たのは以前離れ離れになってしまった人、……私の初恋の人だった。


「なんで…ここに……?」


 驚き、嬉しさ、その他諸々…色んな感情が溢れ出てきて声が震えてしまった。

 そんな私を見て彼は恥ずかしそうにしながら、


「なんかあれこれあって一国の主になっちゃった」


と言ってきた。王様?彼が…?

 でも納得出来る話な気がする。私を含め色んな人を引き付ける魅力みたいなものがあるし、私と離れた後もそうして人が集まったんだろう。


「随分立派になっちゃったね……」


 私はそう寂しげに言う。私はエルフの王族です。いや、「だった」と言うべきでしょうか?私の国はもうありませんから。気づいたら自分の親も国も失い、森のあちこちを逃げ回る日々。こうして私は空腹で死にかけた。それに対して彼はずっと進歩し続けてる。集落のちょっとしたリーダーが、今では国王様になったらしい。私とは正反対の彼の歩みが私を悲しませる。そして、何故私がこんな目に遭って、彼は成り上がっているのか。これは嫉妬なの?私には今の感情がわからない……

 黙ってしまった私を彼はじっと見続けていた。哀れな私を見て嗤えば良い。私の恋はもう実らないのだから……


「……今日はこれで失礼するよ。また後日会おっか」


「え?」


 どうして?また会っていいの?


「どしたの?」


「いや、また会えるの?」


「何言ってんだ。会えるなら会いに行くに決まってるだろ?」


 え?え?


「とにかく、また明日。今日はゆっくり休んでおけよ」


「う、うん……」


 そんなやり取りをして彼は部屋を出ていった。

 部屋に残ったのは私とさっきの女性。


「ふふっ」


「なんですか?」


「いや、ハルノリさんも面倒くさい人だなあと」


「なんでですか?」


「それは……、今は言う必要は無さそうね」


「はあ……?」


 何が言いたかったんだろう?

 結局、その女性は何も言わずに部屋を出ていってしまった。

 明日もカサイが来るんだ……

 どうしよう。何を話そうかな??



 翌朝、自分は少し早く起きて身支度をしていた。今日、シエナに告白しようと思う。王配だなんだと言われていたが、自分はそんなことはどうでもよくなっていた。自分は……俺は、シエナのことが好きなんだ。そもそも好きとか気になってなきゃ、ここまで頑張らなかった。そして昨日、シエナに会って……


 ずっと一緒に居たいと思った。


 昨日は無愛想な態度しかとれなかったが今日は違う。やってやる。


 昼前にシエナの居る病室に向かう。少し離れた場所にシエナの部屋があるが、悶々とした気持ちで居たらあっという間に着いてしまった。ヤバい、まだ心の整理が……

 落ち着く為に深呼吸。よし、行こう。


コンコンコン


「はい?」


「ハルノリだ。入っても大丈夫か?」


「……ど、どうぞ!」


「邪魔するぞー」


 さあ、部屋には入れた。うん、昨日より綺麗になったシエナが居る。あれ、ハードル上がってね?

 と、とりあえず椅子に座って話そう。

 まずは無難な話題から……


「ええと、身体の方は大丈夫そうか?」


「はい、今日は普通に朝ごはんを食べましたよ」


「それは良かった」


「「……」」


 KIMAZUI☆

 何を話せば良い!?ラフな会話とか全くしたことないし!何だろう、自己紹介とか?(馬鹿)

 そんな風に自分がテンパっているとシエナの方が話し始めた。


「私、びっくりしちゃったよ。まさかカサイが王様になってるだなんてね〜」


「そりゃ、まあ…、色々あったからな……」


「色々ってどんなことがあったの?」……


 今日までの様子を掻い摘んで説明した。改めて見ても自分の経歴はおかしい……


「カサイはすごいな〜」


「すごくなんてないよ。皆の支えがあったお陰だし……」



「「……」」


 先程の沈黙とは違う心地よい間が空いた。

 しばらくするとシエナが覚悟を決めたようにこちらを見つめてきた。


「あ、あのね!その……今日は言いたいことがあるんだけd「俺に先に言わせてくれ!」ふぇっ!?」


 遮ってごめん。だけど、これは俺が先に言わなきゃいけない気がする。


「シエナ」


「は、はい!」


「俺と結婚してくれ!!!」


「は、はい???」


 ん?

 あれ、今ってそういう流れじゃなかったの?


「えと…その、突然だとびっくりするというか、なんというか……」


「あ、ごめん。いきなり過ぎたよね……」


「ああ、違う!違う!」


「へ?」


「その……、私でよければその……

 よろしくおねがいします?」


!!!


「ほんと?」


「ここで嘘つく必要ないでしょ?」


「そりゃそうだ」


「でも、私で良いの?」


「シエナが良いの!」


「うっ!」


 よ、良かったあ……

 一瞬ガチで焦ったぞ。


「それにしてもカサイも私のこと好きだったんだね」


「も?」


「カサイがいつから私を意識したのかは知らないけど、私は前から好きだったよ。キスだってしたし……」


 や、やっぱりシエナも俺のこと意識してたんだ……


「それで…その……、私はお妃様って感じなのかな?」


「いや、シエナが女王になるんだよ」


「へ?」


 「私が?」とシエナがフリーズしてしまった。そんなに驚くことかな?


「で、でも私は(まつりごと)とか全く知らないよ?習っても無いし……」


「そういう小難しいことは俺がちゃんとやるからさ」


「それにこの国はカサイのものでしょ?皆も反対するんじゃないの?」


「何言ってるんだ。この国はエルフがつくった国なんだ。エルフの長が出来て誰が文句を言う?それに自分もまた王族に戻りたいんじゃないの?」


「う、うん。私はエルフの為に頑張りたい!私が女王になるよ!」


「うん。それくらいの勢いが良い」


 こうしてシエナが女王になることを認めた。

 そこからの流れはあっという間だった。シエナはすぐに退院し、普段の生活を送れるようになった。

 婚約の件も当事者の合意がある為外野は何も口出ししなかった。寧ろ積極的に二人きりにしようとしてしつこかった。

 政体が変わることについても誰も異議を唱えなかった。


 そして婚約の日。帝都には多くの人々が集まった。人々が見守る中、俺達は誓いの言葉を述べた。そして俺が皇帝の座を退き、国をシエラに上げると言った際にはどよめきが起こった。

 こうして婚約と同時に、短いシュヴァルツェルナー帝国の歴史は閉じ、新しく新エルフ王国の歴史が始まった。血縁的には崩壊した前エルフ王国と繋がりがあるため、1つの王朝とされた。歴史的な区分としてはシュヴァルツェルナー帝国を境に前後期に分けられることになる。

 また軍部の熱烈な支持の元、俺は宰相の座に就くことになった。女王の補佐という名目だが、実際には統帥と国務の権を持っていた。一方、女王は象徴天皇のようなポジションであった。




 王国はその後再興した。大陸中央部の大国として人族以外の国とは友好的な関係となった。建国後、それを認めないライノゼ王国が度々侵略行為を繰り返してきたが全て撃退した(第一次〜第七次エルフ王国独立戦争)。そして勝利の度に長であるハルノリとシエナの評価が高まった。

 内政でも成功を収めた。王都を大陸随一の国際都市に発展させ、諸国との交流の中心点とした。また、王都以外の地域の開発を進め人口は数十倍にまで増えた。獣人や魔人、竜人等多種多様な種を認めることで、様々な人物が国内にやってきた。大陸中から集まった優秀な人材と大陸一の資本によって、大国としての地位を確固たるものにした。

 ハルノリとシエナの間には多くの子供が生まれ、それぞれがそれぞれの分野で活躍した。軍人や役人や研究者などである。

 エルフ王国はこれ以降数百年もの間大陸中央部に繁栄と平和をもたらしたのだ。

 これだからラブコメを書くのは嫌なんや!()

 実はって言っていいのか知らんけど、これもラブコメとしてスタートしたんですよ。古参ガチ勢(居るのか知らんけど)は知ってると思うけど、最初期はハーレムタグが付いてたんですよ、この作品。今皆「ええ!?」ってマスオさんみたいになったでしょ?

 ところがギッチョン、事実なんすわ。作者自身、異世界で大砲撃って戦車走らせながら、ハーレム作ったろとかいう中学生思考で初めたのでね。で、最初のヒロイン(チョロイン)として出てきたのがシエナちゃんなんですよね。作者は「おらくっつけや」とニマニマしながら書いてたんですけど、ある日方向性が変わったんですよね。「あ、ラブコメ要素消そう。ヒロインは要らん」と。

 時期的にどうなのか知らないけど、別の作品でハーレム物にチャレンジして見事に返り討ちにあってたんですよね。そこでラブコメ書けねぇわってなって若干硬派路線を進む様になりました。

 結果的にミリタリー×異世界でもそこそこPV稼げたので別に何とも思っていませんが、今頃ハーレムルート走ってたら蒸発してたでしょうね。

 プロットとか一切書いてないので思いつきでコロコロ変わっていきます。これからもふとした瞬間にストーリーがねじ曲がっていく可能性があります。それでも読者は居ると思うのでチマチマと投稿していきますよ。

 とりあえず最初に言うべきだったことを今言おう。

 10万PVありがとうございます!読んでくださった方々に圧倒的感謝!


 それではまた次回にて

(次は平常運転ですよ)




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