第7話 エルフと人族
どもども、カトユーです!
また投稿ペースあげちゃうよ!
「もしもし······」
顔をあげると月明かりに照らされた美少女がいた。彼女は少し微笑むと、申し訳なさそうな顔をした。
「すみません。あなたには何の罪が無いのに、お祖父様は気付かないのかしら。」
正直、何があったのか分からなかった。暗闇から女の子が出てきたら、人族である自分に謝ってきた。そのお祖父様に対して文句を言いながら、自己紹介してきた。
「あ、私はシエナ。村長のエルトンの孫なの。」
だからあんなこと言ったのか。それにしても仕草も話し方も丁寧だ。
「自分はカサイ。人族だ。」
そう言うと、シエナは少しだけ悲しそうな顔をした。
「わざわざ人族なんて言う必要はないよ。私は気にしないから。」
そうか、驚いたな。ついこの間まで幼い子供に攻撃されてたから、怨みでもあるのかと思った。表情にでていたのか、シエナはフフッと上品に笑った。
「あなた、何で人族がこんなに恨まれているか知らないでしょう?」
おおっ。自分の知りたかったことを教えてもらえるのか。
「ああ。」
「実はね、つい最近までエルフと人族との戦争が続いていたの。」
やっぱりそうだったのか。子供も親がどうのこうの言ってたからな。大体予想できた。
「詳しく話すと、私達エルフはこの辺り一帯で国を興して暮らしていたの。それで二年前、この土地を求めた南のライノゼ王国が攻めてきたの。大分国内でも反対されてたようだけど、今の国王が欲深い人で領土拡張をスローガンにしてたようでね。結局、宣戦布告されて十万人もの軍勢が来て、一応戦ったけど五千人だとどうしようもなくてね。みんな散り散りに逃げたの。
そして、一年間転々としてここに小さな村を作って細々と暮らしていたの。
で、人族が恨まれているのは、侵略してきた理由もそうだけど、私達の王族を処刑したり乱暴や狼藉、強奪を働いたからイメージが悪いの。それに、元々人族とは揉め事が多いから私達は我慢出来なくなったの。だから最近は、取引できた商人ですら監禁して制裁っていう暴力を働いてるの。」
そうだったのか······。ただ、シエナは納得いかないという顔をして話してた。
「シエナは人族に不満はないの?」
「私?私は何か害があった訳ではないからなんとも思ってないなー。それに、このままだと憎しみの連鎖になるでしょ?」
はぁ、達観してますね。いっそ、あの村長より有能では?しかし、そんなことを言っているシエナは遠い目をしていた。
「そろそろ離れた方がいいかな。
じゃあ、また今度ね!」
「おう、ありがとな。」
最後まで明るく振る舞って帰っていった。さて、これからに備えて寝ておきますか。といっても、さっきのシエナのインパクトが強すぎて中々寝付けなかった。少しずつ睡魔が迫るなか、これからのことを考えてみた。ただ、考えてもどうしようもないようなことだった。この環境から逃げ出す方法が思い付かない。自分には召喚以外のチート能力はない。そうなるとますます脱出する方法が思いつかなくなる。結局、考えが堂々巡りして寝てしまった。
翌朝、石を当てられ起きて、昼までボーッとする。そして、公開処罰。日課と考えてしまう自分が恐ろしいなと思いつつ殴られ、蹴られる。
その時、ふと気づいたのだが、昨日自分に優しくしてくれたセドリック夫妻を見かけなかった。毎日、涙を堪えながら見に来てくれたはずなのに、おかしいなと思いつつ、牢屋へ押し込まれる。
そして、日が沈んでみんなが寝静まる頃にシエナがやってきた。しかし、その顔はどことなく暗かった。
「今日、セドリックさん見なかったけど何かあった?」
そう言うと、シエナは一瞬悩んだような顔をしたが、ポツリと衝撃的なことを口にした。
「セドリックさん達は自宅謹慎になったの······」
えっ。
「な、何でかな?」
焦りながら聞くと、さらに衝撃的な答えが返ってきた。
「それは······、カサイと話していたのがバレたから······」
マジかよ。自分のせいなのか······。
どーでしたか?
気に入ったら、評価とブクマをよろしくお願いいたします。