第74話 対ライノゼ王国戦Ⅴ (デンシアの戦いⅣ(終戦))
どもガチで月イチ投稿になってるカトユーです。昔は毎日投稿とかしてたのに……
今回でデンシアの戦い編は終了です。
デンシアの街は2日で降伏した。2日目の砲爆撃が終わったあと、北門の監視所上に白旗が掲げられた。きちんと降伏勧告を見ていたようだ。
帝国軍は戦車、トラックに兵士を乗せてデンシアへと向かった。まだ抗戦派が攻撃してくる可能性があるからだ。まあ、自衛用だよ、自衛用。
ちなみに車輌は105mm榴弾シャーマンとM3ハーフトラック。殺る気満々である()
派遣されたのは砲兵師団長のゲオルグ中将だった。彼はシュヴァルツェルナー帝国では珍しい、博愛主義者だった。故に人間にもエルフにも、ライノゼ王国民に対しても何の憎しみ等の負の感情を抱かなかった。
北門手前に着くと、何人かの兵士が降りて徒歩で街に入る。流石に戦車やトラックで突っ込むほど無知じゃない。
さっきから門とは言っているものの、砲爆撃で破壊されかろうじて門があったことだけがわかる程度だ。不思議なことに近くの監視所(櫓みたいなやつ)は原型を留めたままだった。
出迎えは武装した騎士みたいな奴5人と法衣みたいなのを纏ったお爺さん1人だった。少し離れたところでは、住民達が不安そうに未知の来訪者を見ていた。
「貴殿がこの街の代表か?」
我が軍の兵士が尋ねると法衣を着た老人が「いかにも」と答えた。
「我々はシュヴァルツェルナー帝国陸軍の者だ。貴殿の名前、役職は?」
「儂の名はドウルス・ヒンゲンブルク。この街で司祭をやっている」
「わかった。……早速だが今後のことを話したい。どこか座って話せる場所はあるか?」
「こちらへ……」
そう言ってドウルスが案内したのは、門の直ぐ側にある居酒屋だった。中は家具はぐちゃぐちゃだったが、騎士達がテーブル等をすぐに用意してくれた。
双方がテーブルに着くと、まず護衛の話をした。
「私の後ろに控えているのは私の護衛でね。万が一のことがあったら大変だから、後ろで立って控えてもらっている。もし万が一があったら、とりあえず全力で逃げるように彼らには伝えてあるよ」
彼らの仕事は護衛であると同時に緊急時の連絡を担う手筈だった。とりあえず、攻撃を受けたら信号弾を撃つ。彼らがやられても門外の戦車隊、更に後方の砲兵、飛行兵がとなんとかしてくれる。
「改めて自己紹介を。私はゲオルグ。シュヴァルツェルナー帝国軍の司令官だ」
敵方の司令官直々の訪問に相手は相当驚いたらしい。まあ、最高司令官(皇帝)も来てるんだけども。
「これはこれは…びっくりしましたなあ……。コホン、先程も申した通り、儂はドウルス。司祭をやっておる。この騎士達は生き残りかつこの街に残ってくれた勇敢な者達だ。他の奴は死んだか逃げた」
何とも返しにくい言葉をもらってしまった。それはお可哀そうにとでも言えば良いのだろうか?
最善は無視することだろう。
「まずは戦闘の終了を確認し合いましょう。こっちも戦闘行為は終わらせますし、あなた方にも一切攻撃しないでもらいたい。戦いはもう終わったのだ」
それはあっちも認識していたようで、すんなりと受け入れられた。
「次は今後のことです。我々はとりあえず、この街の人々の手当と復興をしたい思っています」
この申し出にはドウルスもびっくりしたようで「あれは罠か?」等と小声で会話していた。
「すみません。先走り過ぎちゃいましたね。
我々はあなた方を奴隷にして支配し搾取するつもりは全くありません。我々はほぼ今まで通りの生活をあなた方に過ごしてもらいたいと願っています」
「それはどういうことか?」
「要はライノゼ王国の街ではなく、シュヴァルツェルナー帝国の街として存在してもらえればそれで良いのです」
「税や労役はどうなる?」
「今までの負担よりかは軽くなると思います。その代わりと言っては難ですが、我々の命令……、指示をいくつか聞いてもらいたいですね」
「指示?」
「指示と言っても、農法の改善とか多少の学問を教えるだけなんですけどね。細かいことは後々決めることにします。
とりあえず、今すぐ行えることです。この街の食料や怪我人の状態は?」
「食料庫が焼けたせいで数日の内に食料が尽きる。このままでは冬を越せん……。それに怪我人がたくさん居る。あと身内を亡くした人も数多く居る。
とにかく食料が不足しているのだ」
食料事情が第一の課題らしい。
まあ、これはもとから予想されていたことだったけどね。
「ではまず、炊き出しを行いましょう。動ける人を北門の外に集めてください。そこで暖かいご飯を提供します」
「儂らが出せるような物は何もないぞ?」
「見返りを求めているわけではありません。第一、この状況を作ったのは我々ですし、同じ人間か困っているのを見逃しておくことは出来ません」
「……ありがたい。すぐに人を集めよう」
会談はこれで終わった。
ガウルスは外に出ると、どこから出しているのかわからないほど大きな声で、「皆の衆、よく聞け! 戦いは既に終わった!このあとこのゲオルグ殿が食料を配ってくれるそうだ。動ける者は皆貰いに行くと良い!」と告げた。すぐに人々は「飯が貰えるんだって?」と騒ぎ出す。
そして、ゲオルグも一歩前に出て声を上げる。
「怪我をしている者はこの印を着けた者に声を掛けてくれ!すぐに手当をしよう!私達は何の見返りも求めない!安心して怪我の手当を受けてくれ!!」
そう言うと何人かの怪我人がゾロゾロとやってくる。ある者は片脚が無くなり、付添の人の肩を借りていたり、ある者は爆風で目をやられて覚束ない足取りでこちらへと向かってきた。皆簡単な手当すらされず、出血したままであった。
放っておく訳にもいかず、ゲオルグはすぐさま医療兵とトラックを呼んだ。
負傷者は止血したあと、トラックの荷台の荷台に積まれて野戦病院(仮)の方へと運ばれていった。
北門の外にも多くの人々が殺到していた。街の住人は戦闘で満足に飯を食べられずに困っていたのだ。
北門の外では炊事掛が大量の食事を作っていた。たくさんの湯気が立ち上り、温かいスープが住民に振る舞われた。
驚いたことに暴動等は一切発生せず、まるで現代日本人の様に静かに並んで食事を受け取っていた。もしかしたら騒ぐ気力すら残っていないのかもしれない。
「ありがとうございます」、「助かります」等々、今朝までお互いが敵だったとは思えない光景だった。何せ住民は敵兵を一度たりとも見ていないのだ。目の前にいる奇抜な格好をした人は、善意で飯をくれる人なんだろうとしか思っていなかった。
パンやスープ、水などがみるみる内に減っていく。補充しても足りないほどになる、住民達の食欲にシュヴァルツェルナー帝国の兵士達は驚いていた。
中には巨大な籠を持ってきて何十個もパンを持ち帰ったり、バケツにスープを入れて持ち帰る人も居た。孤児であろうちびっ子達もたくさんやって来ていて、お腹一杯になるまで食べていた。
ゲオルグはこの光景を微笑まく見ていた。願わくばこのような笑顔がずっと続いてほしいと思っている。確かに自分がこの街を破壊したが、この街をまた活気ある所に復興するのは自分だと思っているし、何よりそれが償いになると思っていたからだ。
ハルノリはゲオルグを呼び出し、デンシアの街、そして人々の様子を聞いた。
「街はどうだった?」
「どうだった、とは?」
「いや、被害の様子とか民衆の反応とかだよ。俺達は嫌われてたか?」
「被害については甚大と言えますね。住居や食糧庫の崩壊が多く、街の復興に悪影響を与えそうです。
住民達の方は概ね好意的です。餌付けしたような気もしますが…」
「好意的になったなら手段は別に構わないじゃないか」
「ええ……」
「それよりこの後の話だ。戦後はゲオルグにライノゼ王国領の軍統治の長官を任せたいんだけど、良いかな?」
「自分ですか?」
「まともに支配出来る人が全く居ないからねぇ……」
そしてハルノリは「ライノゼ王国民への差別意識が想像以上に根づいちゃったし」と小声で言う。
「言うて長官でも自分の言うことをこなしてくれれば大丈夫だよ。行政って言われても分からないでしょ?」
「そうですね…。自分はそういったことに疎いのかもしれません。 ……住民にとって理不尽な要求とかはありませんよね?」
「それはまだ分からないね。多少反発されそうな政策はあるけど」
「今から腹が痛いです……」
「まあまあ、この戦いもいつ終わるかわからないからさ」
「とりあえず頭の片隅には覚えておきます」
「それで構わないよ」
話はこれで終わり、ゲオルグは部屋を出ていった。
デンシアの街の外に仮設のテントを設置し、当分の間はそこで生活してもらうことにした。今で言う難民キャンプのような物だ。そこに生活必需品や食糧の蓄えを残して、我々は前進を始めた。目指すのはライノゼ王国の首都・サーベスだ。
戦後処理についてアレコレ想像するのは面白いけど、その後に続けられるかと言われると微妙なんだよなあ……
不都合だったらまた書き直します。
一応2020年内の投稿はこれが最終です。1年間ありがとうございました!そして良いお年を。
(1年間で4万PV以上!読んでくださった方々に感謝です!)
小説垢のお知らせ
以下のアカウントで投稿のお知らせとかしてます。
カトユー(小説家になろう)
@RVdX8yzugRufoNT
https://twitter.com/RVdX8yzugRufoNT?s=09




