第73話 対ライノゼ王国戦Ⅲ (デンシアの戦いⅡ)
ども、PV数を見るのが楽しくてたまらないカトユーです。少しずつでも毎日増えとる!
※今回はちょいグロです。
デンシアに降伏勧告をしたものの黙殺された。昨日の午前中に白旗を掲げれば降伏とみなし、戦闘を行わないことを伝えた。しかし、デンシアの街は固く閉ざされたままで、翌日も何の動きも見せなかった。
これによりハルノリはデンシア総攻撃を決意し、隷下の部隊に攻撃準備を行うよう指示を出した。作戦計画自体は帝都出発前に練られていた。
(進軍の障害になりそうな都市、抵抗しそうな街等をリストアップしていた)
砲兵陣地では兵士達が慌ただしく準備をしていた。ようやく今日から砲撃を行うのだ。
予定としては日の出前から航空機による爆撃、日の出の後砲撃開始という順序になっている。ちなみに今は午前4時過ぎである(日の出は6時)。
砲兵は野砲以外に自衛のための火器も装備していた。各兵士はMP40を持ち、機銃座にはブローニング 12.7mm機関銃が据えられている。
前日の昼に行った練習の通り、テキパキと射撃用意が整い、号令待ちとなった。
その後、前線飛行場から七〇一飛行隊のサンボル18機が離陸していった。全機が爆装し、対地攻撃する気満々である。
離陸してすぐにデンシアに着くため、各機は緩く編隊を組んで進撃した。
計画通りの午前5時きっかりに攻撃が開始された。
まず、サンボルによるロケット攻撃。HVAR8発の連射力は凄まじく、次々と家屋を破壊していった。そのまま、機体を返すと今度は爆撃。1000ポンド(454kg)爆弾1発と500(227kg)ポンド爆弾2発の攻撃でまた別の家が吹き飛んでいく。
まだ日が昇る前の時間と言うこともあり、家の中に人は家屋の下敷きとなって亡くなった。また、突然の出来事に慌てて家を出た人も不幸な目に遭うことになる……
パパパパパッ!
軽い音ともに発射される12.7mmの鉛玉。そう、サンボルの機銃掃射である。屋外に出た人々は鉛玉の雨に斃れた。
通り雨のようにやってきて、連射したあと去っていく。そしてまた戻ってきて、それを繰り返す。地上に居る人々にとっては地獄の時間だった。
3,400発近くの弾を撃った後、七〇一飛行隊は引き上げた。街からは大きな土煙が上がっていた。
この時、デンシアの街はどうだったのか?ある騎士の視点から見てみよう。
〜〜〜
今朝はいつもより早く目が覚めた。日の出もまだ先のようで、空全体が暗かった。
「ふわあ……」
いかんいかん。騎士たる者、たとえ寝起きであってもビシッとせねば!そう思い顔をパチンと叩いた。
朝の準備を済ませ、今日の予定を確認していた時、突然ブーンという聞き慣れない音が聞こえてきた。不思議に思い窓際に立ち、空を見上げてみると銀色に光る物体がいくつかの飛んでいた?
……鳥か?いや、あんなに輝いていだろうか?
そのうちキラキラと銀色に輝いていた物体は急速にこちらへと近づいてきた。何だ!あの速さは!!
異変に気づいた住民達も不思議そうに窓から空を見上げていた。
「ヒュルルルル……」という音がした直後に目の前の家がドカンッと爆発した。何だ!?と思い、身を丸めている内に土煙が消え、周りが見えるようになった。すると、目の前にあったはずの家が跡形もなく消えていた。その隣の家も半分が消えていた。
「助けて……」
半分になった家の中から掠れた声が聞こえた。中に人が居る!そう思い、崩れた家の破片を片付けているうちに、中から血まみれの女性が出てきた。慌てて破片を退けて女性を救い出す。
救出した女性の怪我は酷かった。上に落ちてきた破片のせいか両脚が潰れ、身体中から出血していた。
「大丈夫か!?」
という問いかけに対しても、アーだとかウーだとか言葉になっていない。もはやなす術が無かった。
その内に女性は瞼を閉じ、静かに亡くなった。
ドーン、ドーンと街の至る所で土煙が上がっている。人々はパニック状態になり、街全体が地獄となっていた。
「ハウベル、ここにいたのか!」
俺の名前を呼ぶ声がしたので振り向くと、同僚のダゴスが膝に手をついて立っていた。
「どうした?」
ダゴスのただならぬ様子に嫌な予感がした俺はダゴスに問うた。
「大変だっ!街の庁舎が爆発して侯爵を含むお偉いさんが皆死んじまった!!」
「は?」
信じられない。あのウルス様も死んだのか?
「とにかく副長が北門に集合しろって言ってるから行くぞ!」
ダゴスは俺の腕を引っ張って北門へと連れていった。道中は凄まじいの一言だった。家が崩壊したせいで、元が道路なのか家なのかわからない状態になっていた。そんな道端には怪我をした人々が大勢横たわっていた。すれ違う人も程度の違いはあれど、皆土等で汚れていた。
北門に着くと他の同僚達が集まっていた。着いて早々、俺は庁舎の話を聞いてみた。
「で、庁舎はどうなったんだ?」
「どうも何も皆吹き飛んだんだ。跡形もなくな。遺体すら見つけられないんだぜ?」
どうやら思った以上に酷かったらしい。俺が目撃したように、庁舎が突然爆発して崩れたようだ。中で会議をしていた侯爵、騎士団長、ギルド長の各リーダーは皆その下敷きになったらしい。
ブーン……
またあの音だ。銀色の物体は度々やって来てパパパパパと音を立てて、俺達を攻撃してくる。道中でも攻撃され、近くのおじいさんが倒れていた。
「ヤバい!こっちに来るぞ!!」
悲鳴のような声が聞こえ、ソイツが指差す方向を見ると、あの銀色の物体がこちらに向かって突っ込んできた。
殺られる!!
そう思った瞬間、我々は突っ走った。
パパパパパッ!
あの音だっ!
「グフッ!」
近くを走っていた同僚が斃れる。くそっ、あの攻撃を食らったか。
だが俺は走り続ける。
銀色の物体が俺達の頭上を通り過ぎていく。ん?人が乗っている??
「ハァハァ……。助かったか」
誰かがそう洩らすと同時に地面に座り込んだ。俺も疲れた。あんなに必死になって走ったのは何時ぶりだろうか?
俺達は座り込んだまま、そこから動かなかった……
〜〜〜
サンボルが下がったあとにやってきたのは、一〇一飛行隊の直協機9機。
それぞれが15kg爆弾を10発搭載している。
サンボルに比べてゆっくりとしたスピードでやってきた直協機は、水平爆撃を行った。15kgとは言え、無防備な人々を殺傷するには十分な威力がある。第2波の攻撃に人々はさらに混乱した。
そしてその後は固定機関銃による機銃掃射。これもまたサンボルに劣るものの7.7mmでも十分な威力があった。
いくつかの直協機は帰らずに街上空を旋回し始めた。これから始まる砲撃の弾着観測を行うためだ。
今まさに戦場の女神が降臨しようとしていた……
銃撃の音を書こうと思って色んな発射音を聞いたけど、案外ブローニングの音って軽いんですね(機関砲に慣れた主のせい……)
500ポンド爆弾の威力を見たけど、200kgクラスでも舐めたらアカン……
次話はまた来週。もしかした明日も投稿するかも。まあ、空からお金が降ってくるぐらいの感覚で宜しく(実質ゼロじゃん)
戯れで新作書いたら思った以上にTwitterで反応がありました。暇つぶしにでも読んでくださいな。
新作「歯車が狂った時」
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あと過去作もちょろちょろっと新しい話を加えました。
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カトユー(小説家になろう)
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ではまた次回にて。




