第66話 ベルムス帝国での内乱
ども、ペルセウス座流星群の流星が見られて超機嫌の良いカトユーです(今日が極大)。ちなみに願い事をするのを忘れました。綺麗だったからヨシ!()
てことはさておき今回もベルムス帝国側のお話。例の如く星印に囲まれた部分は読み飛ばしてもおk
「殿下!」
慌てて走ってきたのだろう赤くなった顔なのに、どこか病人のような青白さを感じさせる器用な兵士が陣中に飛び込んできた。
議論をしていた皇太子以下は、伝令の慌てぶりに何か大変なことがあったと直感的に悟った。
「何があったのだ?」
内容が気になったガードルは伝令に水を与えるなり尋ねた。
「謀叛の知らせにございます!!」
「「「何!?」」」
さっきまで口論をしていた連中が見事にハモり、どこか気まずい雰囲気になる。その空気を晴らす為にもガードルは続きを促した。
「一体何があったんだ?」
「帝国の南方にあるベルモ伯爵領、その首都であるアグストで第二皇太子のマウグストルが、帝国からの独立を宣言と同時に帝国へ宣戦布告しました!現在皇帝陛下自らが軍を率いて南方に赴いています。また、殿下に対して救援要請が出ています。」
あまりに突然の内容に陣中はざわつき始めた。とはいえ、撤退派はあまり驚くことはなかった。というのも、撤退派の多くはマウグストルと親交があり、度々彼の口から現体制への不満を聞いていたからである。遅かれ早かれこのような事態にはなっただろうね。これが撤退派の感想である。
☆
ちなみにだが、皇位継承の争いは今まで全くなかった。マウグストル自身は権力に全く関心は無く、今回の挙兵も皇帝による圧政から人民を解放する為であった。彼は帝国では珍しい革新的な人物で新しい物好きであった。また、城内で座学に励むことよりも、城下で遊ぶことを好んだ。幼い頃より庶民(商人や町人、農民等)の実情をよく観察し、熟知していた彼にとって父である皇帝の政治には不満しかなかった。凝り固まった官僚機構は時代の遺物と化し、今の実態には全く合わないものだと彼は常々考えていた。そして、旧体制の打破もしくは建国を志すようになる。
そんな彼に味方するかのように、ここ数年は物事が動いていった。まず、軍に管理されていた南方に未開拓の新領土が手に入ったことだ。山と海があり、鉱物資源もそこそこある、そして交通の便も良好(運河や陸路の整備が容易な地形であった)と、新たな国を興すにはうってつけだった。さらに運が良いことに、彼の最大の理解者であり同志のベルモ伯爵が、その新領土の管理を任されたのである。
これらの原因が上手いこと作用して今回の挙兵に至ったのである。
マウスグストルを王とした新生王国は、宰相(補佐役)ベルモ伯爵の私兵を中心に帝国南方の支配を固めていった。帝国の圧政に苦しんでいた街や村は新王国軍の侵攻に歓喜していた。中には遠く北方や帝都から義勇軍として加勢した若者も居た。
☆
そんなことを全く知らなかった進軍派は大慌てであった。その場で帝都に引き返し、そのまま南方鎮圧へ向かうことが秒で決まった。
とはいえ10万人を超える大軍を動かすのは大変だ。中国大返しを実行した秀吉が異常なだけである。
ガードルの軍が撤退に手間取っている内に、皇帝軍(近衛隊・予備部隊中心、約5万)と王国軍(ベルモ伯爵軍を中心に農民、町民が協力した連合軍、約38万人)の戦いの火蓋が切られた。
事前に練られた作戦の通り、王国軍は真正面からの戦いを常に避け、執拗なゲリラ戦で帝国軍を翻弄した。乱戦(近接戦闘)になれば、戦いになれていない兵士達でも数の力で圧倒出来たのである。(兵力の集中配置により常に1対3の戦いが行われた。)
皇帝直率の軍と言えども圧倒的な戦力差を覆すことは出来ず、王国支配地域に入ってすぐに軍が瓦解した。逃亡兵が相次いだ上に、ゲリラ戦によるPTSDを発症する兵士で溢れかえった。
満身創痍となった帝国軍は帝都へと引き返した。新王国軍の圧勝である。
ボロボロの皇帝軍を迎えたのは、これまたボロボロの皇太子軍であった。お互いがその様子に驚き、言葉を失った。
「ガードル!何があったんだ!?」
皇帝のヴィーゼルⅢ世は慌てて息子のガードルに駆け寄る。
「申し訳ありません、父上。これには色々な事情がありまして……」
というのも、ガードル軍が撤退を開始すると、これを確認したハルノリ軍が猛攻撃を加えたのだ。もはや死体撃ちに等しい行為であったが、お互い必死だった為何とも言えない。
毎日爆撃機が全力出撃し、ガードル軍を銃爆撃した。元々枯渇していた食糧が次々に焼かれ、軍は食糧難に陥った。道中の村々で徴発(略奪)を繰り返したが、その度に小競り合いが起こり少なくない死傷者が出てしまった。そんな感じで、ガードル軍もまた損耗していたのだ。
この時点でハルノリ達は帝国軍撤退の理由(内乱)を把握していなかった。ガードル(主将)の死亡説が流れたりもした。
結果的に対帝国戦線は終結した。シュバルツェルナー帝国の在外基地は全て閉鎖され、再び内政・軍拡に注力することとなった。また、ベルムス帝国と南方王国(仮)との間では和睦が成立した。ベルムス帝国は南方新領土に加えて元来の領土の一部も南方王国に割譲することになった。更に南方王国を国家としての承認、内政不干渉を書面で確認した。
これにより大陸に束の間の平和が訪れたのである。
……山川出版社の教科書に影響を受けたとか言えない。以外と教科書もストーリー性があって面白いんですよ〜
ええと、次回はハルノリ(シュバルツェルナー帝国側)の話かな?
既に書き終えてるので、明日か明後日には投稿できると思います!
ではまた次回にて!




