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ミリオタ高校生が異世界へやって来た!  作者: カトユー
邀撃戦
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第59話 帝国の人々 Ⅰ

 ども、テスト中だけやけに創作意欲が湧くカトユーです。(現実逃避?)

 今回も内政編!と行きたいところでしたが、ちょいと方向性を変えました。今回は帝国の人々の様子を三人称視点で書いてみました!

 ちなみに、コーリネス・ライアンの「史上最大の作戦」に強く影響されました。

「これが何になるんだ?」


と、第1小隊所属のヴェルナー・プルースカット一等兵はブルドーザーを動かしながら呟いた。

 彼の目の前では、エルフ達が蟻のように群がってカーンカーンと音を立てて働いていた。ある者はバケツに石を入れて運び、ある者は木を切っていた。

 彼はここ最近、銃も持つ代わりにブルドーザーのハンドルを一日中掴んでいた。

 切り開かれたでこぼこの場所を、右へ左へと車体を器用に動かして、ただひたすらに土を均していった。

 彼は一度だけ、上官の少佐に何故こんな作業をするのか聞いたことがある。その答えは、「上から言われたから君達はやるんだ。理由なんか知らなくていい」といういい加減なものだった。彼は作業の必要性を考えることはやめて、今夜読む小説を何しようかと考え始めるのだった。



 同じ頃、ストウはブルドーザーから離れたところで石拾いをしていた。彼女は夫が軍に志願した為、すぐ傍で働けるように、と思ってこの仕事をしていた。だが、現実は非情で、彼女がここで働き始めてから数ヶ月の間、夫の姿を見たことは一度たりとも無かった。

 彼女は既に夫を探すことを諦めていた。周りにいるメンバーは毎日一緒で、自分と同じようにやってきた婦人かどこかの部隊の軍人が居るだけだった。

 そんな彼女の最近のささやかな楽しみは、昼食のデザートと毎晩配られる嗜好品、それと偶に聴くレコード音楽であった。彼女達は、他の軍人達と同じように3食の食事が提供された。食事自体、アパート暮らしの時より格段に豪華だが、それに加えて昼食後にはデザートがあるのだ。付いてくるデザートは日替わりだったが、中でも彼女のお気に入りだったのは、アイスクリームだった。今でも、彼女は初めてアイスクリームを食べた時の衝撃を鮮明に覚えている。冷たい食べ物というのにまず驚いたし、食べてみれば口いっぱいに、ミルク味の濃厚な甘さが広がった。それ以来、アイスクリームが出た日には他の人に頼み込んで分けてもらったりもした。また、あるときには運ばれてくるアイスクリームの入れ物からすくい取ったこともあった。 

 ともかく、彼女達の多くはこの甘いデザートに惹かれて、日々熱心に働いているのであった。



 料理人のゴードンは朝から晩まで毎日大忙しだった。何しろ毎日1000人近くの料理を3食も用意しなければならないからだ。また、食事が終われば残飯と使い終わった食器がこれまた1000人分も運ばれてくる。


「くそっ、食べカスがこびりついてるじゃねぇか!」


 彼は荒々しく食器をゴシゴシと洗い、シンクへ置いた。

 確かに皿にこびり付いた汚れと毎日格闘するのはストレスが溜まる嫌な仕事だったが、同時に彼にとってとても良い仕事でもあった。

 何故なら、出来上がった料理の数々を味見だの毒味だの言ってつまみ食いすることができたからだ。

 基本、調理場では上下関係がなく、渡されたレシピを見て各々が任された物を作っていた。そのお蔭で、彼らは誰からも文句を言われること無く、好きなだけ料理を楽しめるのであった。



「めちゃめちゃ重いじゃねぇか……」


 第2小隊のカール伍長は石がたくさん積まれたバケツを担いで、1人歩いていた。

 彼は主に荷物運びを任されていた。婦人達が拾った石を、邪魔にならないように森の方に置いてきたり、不足した燃料なんかをトラックやブルドーザーに運んだり、時には負傷者を運んだりもした。肉体的に疲れるこの仕事だが、彼はこの仕事を自ら選んでやっていたのだ。

 最初に役割分担を決める時、全く人気が無かったのがこの荷物運びだった。逆に兵士達がこぞって希望したのは、ブルドーザー等の重機を扱う係だった。昔から賢いと持て囃されていた、彼は荷物運びこそ一番良い仕事だろうと予想していた。そして、彼の予想は正しかったのだ。何故なら、荷物運びの荷物には食料も含まれていたからだ。彼は、人数分の飯を貰うと真っ直ぐに部下の所へは向かわず、寄り道をしていた。そこで彼はつまみ食いをしていたのだ!スープであればごくごくとたくさん飲み、ビフテキがあれば一つ一つを少しずつ切り取って口にした。当然、元々渡された量を知らない部下達は、多少減った事に気づかず飯を食っていたのであった。



「フワァ……暇だ……」


 ドリス・ハイデンベルガー二等兵は欠伸をしながらぼーっとしていた。彼は、トラックに乗っていた。彼の仕事は、帝都から建設現場まで人員を輸送することであった。日中に作業するので、必然的に昼間は仕事がなくなるのであった。彼は、暇つぶしがてら車載受信機の電源を付けた。周波数を弄ると突然、明るい音楽が流れ始めた。

 ついこの間から、帝国でラジオ放送が始まったのだ。内容は、政府の声明や帝都の食料配布情報、そして今流れている音楽番組だった。放送している時間は短いものの、目新しい音楽を聴くために、毎日多くの兵士が無線の受信機にかじりついて放送を聞いているのであった。

 今流れいる曲の言葉は一切分からないが、彼はリズムの良さになんとなく口ずさんでいた。

 丁度昼休憩となり、彼のトラックの周り多くの人々が集まってきた。

 人々は口々に「音が小さい!」、「独り占めするな!」と叫んできたので、彼は


「ちょっと待ってくれ」


と言って、ダイヤルを弄って音量を最大にすると、運転席から飛び降りた。

 音が大きくなったことで更に多くの人々を集めてしまった。今や彼のトラックの周りには、人の輪が二重三重にできていた。それぞれが、聞き慣れないが何故か耳に残る、不思議で心地よい音色を聞き入っているのであった。



「今日の距離は?」


 如何にもやる気の無さそうな声で、大尉の機長が主偵察員のリチャード・ハットレー飛曹長に尋ねた。彼の機体の眼下には、同胞が鉄道建設に勤しんでいた。彼の所属する七六一空の一式陸攻は、最近日施哨戒がてら鉄道建設の進捗を確認する任務を負っていたのであった。

 彼は燃料計を見て、「300kmを超えました」と伝えた。すると、大尉は「もう少しでアルノーツが見えるな」と呟いて、「もう少し行くぞ!」と部下に声をかけた。

 大尉が言った通り、数分後にはアルノーツの家々が遠くに見えてきた。


「主電信員、基地にアルノーツ視認と打電しろ!」


 すぐさま、主電信員が平文でアルノーツを視認出来た事を基地に伝えた。


 帰り道、彼らは昼食を取ることにした。任務を終えた彼らは終始楽しそうに食事を楽しんだ。電信員が、「そうだ!」と言って、受信機を弄ってラジオを流し始めた。丁度音楽番組が始まったところで、陽気な音楽が機内に流れた。軍用機の機内とは思えない、とても優雅な時間だった。魔法瓶に入った温かいコーヒーを飲みながら、彼らは機内でのんびりと過ごした。

 ……。めちゃくちゃ書きやすい!これから、ちょいちょいこんな風な話を書いてみたいですね。

 次回はまたハルノリ視点での内政編、次次回からは、戦闘?って感じかな〜

 次回は一応週末。気が乗れば、それより早く投稿します。ではまた、次回にて!

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