第5話 地獄。そして求めていたもの
どもども、カトユーです!
絶賛、自転車操業で予告などあってないような状態ですみません。
あ、今回グロ注意です。
異世界に来て三十三日目、それは地獄の日だった。
その日の始まりはいたって普通だった。日の出とともに起き、日課となったスキル練習で乾パンを一枚召喚し、口に入れる。最近は乾パン一枚でなんとかしている。······たまに雑草を口にすることもあるが。
萎みきった胃の中に少しだけ固形物が入った気がする。相変わらず腹はもっとくれと要求してくるが、生憎食糧はそれだけだ。
乾パンを口に入れ、水を少し口にして今日も前に進んでいく。最近は、蛮刀を振るう腕と足の筋肉ぐらいしかない体になってしまった。それでも懸命に腕を振るい少しずつ前へ前へと進む。
以前は三八式を大事そうに持っていたが、今は背中にかけたままだ。ろくに整備もしていないので使えるかどうか心配だな。
無心で進んでいるうちに昼を過ぎていた。
その時、ふと、ブタの鳴き声のようなものが聞こえ、慌てて茂みの中に隠れた。
「ゲギャギャ······」
そんな声をたてながらこちらに近づいてきたのはゴブリンの群れだった。数は······五十匹は下らないだろう群れだ。ゴブリンを見た衝撃を受けながら、冷静に観察する。奴らの武器は斧や刃こぼれの目立つ剣。こちらは銃と蛮刀。攻撃力はこちらが優位かもしれないが、圧倒的な枚数不利である。囲まれたら、何十もの剣でこの体を貫かれるだろう。こんなとき、チート能力があれば殲滅できるのになぁ。
そうなると、選択肢はやり過ごすかこの場から離れるだ。逃げるではない、戦略的撤退又は転進である。ここはやり過ごす方が良さそうだ。下手に動いて見つかるより無難だろう。
そうときまれば、行きを殺して奴らが去っていくのを待つのみ。
だが、事はそううまくはいかない。一匹のゴブリンがこちらをじっと見ていた。そいつは何を思ったか、こちらに向かって来て自分の周りの雑草を凪ぎ払い始めたのだ。自分のすぐそばで剣が振るわれブオンッと音がする。ただただ、恐怖に耐えるだけである。
その音は次第に遠ざかり、しばし待ってから顔を出し、周囲を確認する。
ポトッ。
目の前に小石が落ちてきた。恐る恐る振り返るとそこには嘲笑しながらこちらを見るゴブリンどもがいた。「嵌められた!」と思うまもなくゴブリンは襲いかかってきた。咄嗟のことで判断が追いつかず、為す術もなく左肩を切りつけられる。急に体がだるくなった気がすると思い、左肩に手を当てると、温かい液体の感触があった。痛いと思いながら傷口を見ると黒ずんだ血がたくさん出ていた。ああ、やられたんだな。
そこからは早かった。半狂乱になりながら、三八式を取り出し、弾が有る限り乱射した。リロードなんて知ったものではない。撃ち尽くしたあとは銃剣で敵を斬るのみ。三八式を槍のように持ち、ゴブリンに向かって突進していく。ゴブリン達も銃の音や自分の行動に驚き、混乱していた。しかし、冷静な奴もいるらしく突進する自分を狙った攻撃が何回もあった。幸い致命傷にはならなかったものの何ヵ所もの切り傷ができてしまった。無我夢中で走った。結局、追ってを振り払い一息ついたのは夕暮れ時だった。
「ハアッ、ハアッ」と息を荒くしながら倒れ込むように寝ころんだ。そのまま、体中の痛みに呻きながら息をひきとるかのように深い眠りについた。
「いたっ!」
翌朝、寝返りをうって傷口をぶつけた痛みで起きた。起き上がり、傷口の確認をする。二十ヶ所以上の傷があったが、全て血が止まっていた。一応、傷口の保護の為に何か召喚してみるか。
「包帯包を召喚」
淡い光の後に召喚された。そこから包帯を出し、左肩の傷口に巻く。ああ、今日の飯は包帯に変わったのか······
しかし、異世界三十四日目。これが転換点だった。
三八式歩兵銃の弾をつめて、大儀そうに立ち上がりまたふらふらと前へと進む。
ああ、飯喰いてぇ。腹がへった。そんなことを考えて注意力散漫な時だった。
「ポトッ」
小石が落ちてきた。昨日もあったなこんなこと。って、違う違う。ゴブリンだ!
ガサガサっと茂みからゴブリンが出てきた。あっ、ゴブリン先輩、ちーす!って現実逃避したいよね。だって、もうすぐ死ぬんだもん。目の前に剣が迫ってるんだもん。半端ないって、人生フラッシュバックしたもん。走馬灯やん。
ザクッ。
心臓を狙ったつもりなのかもしれないが、自分だってまだ生きてる。少しの回避で脇腹をぐさりと刺された。あーあ、また血が出てるよ。これは死んだな······
「そこの人族!何をやってるんだ!」
怒鳴り声?あれ?あの人、耳が長い?
エルフ、なのかな······?
そこで自分は意識を手放した。
「~~!!」
「~?」
「……?」
ん?騒がしいな。そうそう思い、目を覚ますと目の前に耳の長い人?がいた。
「ああっ!起きたんですね!」
心から喜んでいるかのように声をあげるエルフ?
「大丈夫ですか?」
しかし、まだ気が抜けないのか心配そうに聞いてくる。
「あ、はい。大丈夫です。」
「そう、なら良かった~
村長さん、人族の子が起きましたよ~」
しばらくすると、その村長とやらが小走りにやって来た。あと、その後ろに槍を持った屈強な男が二人いた。
「ワシがこの村の村長、エルトンじゃ
そなた、名は?」
「カサイ ハルノリです」
「カサイか
では、カサイよ。貴様は何をしに来た?」
一気に場の空気が冷えた。村長の目はまるで憎むべき親の仇をみるような厳しい目付きだった。
はあ······
もっとこう、戦車とかの戦い書きたい。
華彩君、ようやく森林サバイバル終了です。
お疲れ様でした。
次回はエルフ村とかの情報です。(予定)
お楽しみに!