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ミリオタ高校生が異世界へやって来た!  作者: カトユー
邀撃戦
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戦後処理

 ども、恥を忍んで投稿したカトユーです。もう、俺の予告は嘘しかない……

 今回と次回は内政編です!

 ゲパルトが去った後の戦場には、真に頼りない我が軍だけが残った。さて、どうしてやろうかと思いつつ、部隊の撤収を命じる。可能な限り、陣地を更地に戻し、元の原っぱにした。

 帰りは歩いて行軍しつつ、森を切り開いて帝都に帰った。この時、生き残っていたのは僅かに77名を数えるばかりであった。ほとんど全ての戦死傷者は、ゲパルトの攻撃によるものだった。仲間の方を借りて辛うじて歩ける者、頭に包帯をグルグル巻いた者等、どっからどう見ても敗軍の兵であった。一応、勝ってるんだけどな〜

 結局、半月程かけて帝都に着いた。無理な動きをして、傷がぱっくりと割れ、出血死した者や途中で脱落をした者もいた。帝都に生きて帰れたのは、一個小隊程の人数だった。

 歓迎ムードの中トボトボと歩いてくる我々を見て、帝都にいた人々はひどく困惑していた。自分の夫が居ないことに気づき、気を失う女性も至る所で見られた。

 先頭を歩く私の元へ、一人の少女が駆けてきて尋ねた。


「私のパパはどこ?」


 自分は何も言う事が出来なかった。ただ、彼女の頭をグシャグシャと撫でて、素通りした。彼女の言葉は、何時までも自分の耳にこびり付いた。



 戦いを終えた自分に待ち受けていたのは、また新たな試練であった。日々、エルフ族からは戦いの必要性に疑問を持ち、自分のことを「残酷な戦闘狂」と罵った。その癖、帰ってきた兵士達は勇敢な戦士として讃えられ、大層な歓迎を受けていた。執務室と外の温度差に悲しさを覚えつつ、自分は書類の片付けを続けた。とは言え、やることもそんなになく、半日も立たないうちに、戦闘詳報も書き終えてしまった。

 手持ち無沙汰になった自分は、外の景色を眺めていた。しばらくすると、コンコンという音共に、インクヴァルトが入ってきた。


「陛下、書類仕事だけではつまらないでしょう。たまには、部隊にも顔を出しませんか?」


「自分が行ったとしても、気まずくなるだけだろう」


「いいえ。我々は陛下に会いたがっています。会ってやってください」


 その後も自分は適当な理由をでっち上げて行かないと言ったが、彼は頑として認めなかった。結局、自分が折れて渋々彼らの元へと向かうことにした。


 懐かしい気もする中隊の兵舎に入ると、突然インクヴァルトが、


「大将がおいでなさったぜ!」


と声を張り上げた。

 すると突然、ドタバタと走る音がして、中隊の生き残りたちが現れた。


「偉大なる皇帝陛下、万歳!」


「「「万歳!」」」


 自分はびっくりした。彼らがここまでがしてくれるなんて思ってなかったからだ。どうせ、戦友をむざむざと殺した、無能指揮官とでも思っているのだろうと思ったが、彼らは違った。


「将軍、俺達を救ってくれてありがとな!」


「俺らは大将の機転で命を救われたんだ!」


「あんたこそ本当の戦士だよ!」


と口々に褒めちぎってきた。どうやら、生き残りの多くは、自分のお陰で危機的状況を回避出来たらしい。

 自分はどうしても批判されたくて、「自分はお前達の戦友の命を奪ったんだぞ?」と言うと、


「確かに、俺は親友のラングを失った。けどな、戦いに勝ったんだ。勝てば正義。俺たちは勝者で俺達は生者なんだ!自由を勝ち取る為に俺達は地獄に行っても戦い続けるんだ!!」


と鼻息荒くまくし立てた。

 自分は「そうか」とだけ言って俯いた。涙を誰にも見せないように……


 余談だが、後に彼の言葉からこの生き残りの小隊の系譜を引き継ぐ、陸軍親衛第1師団は「自由師団」、「正義の師団」と呼ばれるようになる。



 嬉しい出来事のあった自分は心機一転、未亡人達との交渉に入った。まず、補償から。金でなんとかできる話ーそもそも貨幣経済でもないーでは無いが、彼女達は今を生きる手段すらない。何とか、彼女達も受け入れられる条件を提示しなければ、と思いながら彼女達に伺うと、口を揃えて、「立場の保障!それから、私の夫も!」と求めてきた。前者はともかく、後者は自分が何とかできる話ではなかった。

 立場の保障、というは、彼女達が夫の居ない私達はもはやここに居場所は無いという、誤った認識によるものだった。当然、帝都には未婚の女性もたくさん居たし、自分は彼女達の面倒をしっかりとみていた。ただ、今回は今後の為に、ある条件を彼女達に提案した。それは、「労働に従事する者のみ、政府は遺族の立場を保障する」というものであった。この、条件をつけた理由はいづれわかるだろう。

 ちなみに、「食料をくれ!」という要求が無かったのは、未だに政府が衣食住を無償で提供しているからだ。小麦を生産し始めたとは言え、何百人を賄えるのはまだまだ先の事だろう。今は、自分の召喚される糧食で何とかやりくりしている。一応、成人男性には1日2500kcal分の食料を提供することが出来ていた。

 また、向こう1年間、戦争はせずー自衛のための戦闘は許可ー内政に注力するよう求められた。こちらとしても、戦力を損耗(全滅)していたので戦う気は微塵も無かった。これを即座に了承し、翌日全てを纏めた「勅令第5号」を発令した。


 このようにして、遺族とのゴタゴタを片付けることが出来た。また、小隊との関係もより良くなった。

 こうして後に「第1次シュバルツェルナー会戦」呼ばれる戦いの戦後処理は終了した。

 今回は色んな所の話を引っ張り出してきました。遺族達の要求の元ネタ(?)は、第一次世界大戦中の1915年末にドイツで叫ばれた「食料をくれ!それから、私の夫も!」という話からです。

ドイツ帝国は割と序盤から苦しかったんですね…

次回は、早ければ明日、遅くとも来週末には…

(テスト?んなもの知りませんねぇ…)

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