やったぁー!!待ちに待った、野戦だー!!(CV:佐倉●音)
ども、2日連続投稿という大記録を成し遂げて大満足のカトユーです。
え?毎秒投稿しろって?
……君はシベリアに行きたいのかね??
ってことで今回も引き続きインクヴァルト君視点でいきます。
日付が変わり1月7日になった。朝は辺り一帯が不気味な程濃い霧に白く覆われていた。そんな中、俺達第一中隊は陛下の御前に集められた。何やら陛下からの訓示があるらしい。
「まず最初に言っておく。今回の戦いは我々が絶対に勝つ!負ける算段など微塵もない!だから、今回の戦いでは各部隊の練度を上げることに注力する。攻めてくる敵を撃つのに躊躇うな!撃てっ!我々を攻撃してくるものは殲滅せよ!諸君らの健闘を祈る。以上!」
……やっぱり負けるつもりは無いんだな。まあ、昨日の感じなら負ける所なんて想像出来ないけど。
朝は深い霧に覆われていたものの、9時を過ぎたあたりには霧が晴れ、青空が見えるようになった。敵は真正面に布陣したらしい。兵士が整列しているのがよく見える。やがて、敵が動き出すのが見えた。煙草を吸いながらブローニングにもたれていた銃手は身体を起こし、戦闘モードになる。
「来るぞっ!射撃準備!」
騎兵を戦闘にワラワラと歩兵が追従して、巨大な砂埃が起こっていた。
敵との距離が800mを切った頃、突如大きな土煙が敵のど真ん中に上がった。戦車砲か榴弾砲によるものだろう。砲弾の雨を抜けた敵は尚もこちらに向かって攻めてくる。
彼我の距離が500mを切った時、トーチカにあった重機関銃が一斉に火を吹いた。ダダダダッと重い音を響かせながら、対人には些か大きすぎる12.7mmの弾が発射される。
結局、鉄条網にたどり着く前にほぼ全ての兵が倒れていた。
しかし……
「なんだアイツ??」
ポカーンとした間抜けな表情で見つめる先には、凄まじい数の銃弾を全て跳ね返す超人的な奴がいた。あっ、大将だ。
彼は見えない壁で銃弾を跳ね返していた。彼一人が、鉄条網を跨ぎ、あるいは蹴飛ばし一歩一歩前進していた。もはや化け物だ。若干だが、兵士達も動揺し怯えている。
驚いたことに、彼はあの分厚いコンクリートで出来たトーチカですら、大剣で真っ二つに斬ってしまった。陣地内に彼が入って来たことで、ますます兵士達は、パニックとなった。そういう俺も彼から離れるように砲兵陣地に向かった。
陛下、この戦いは勝てるんだよな??
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
マズい……。想定外もいいところだ。あんな化け物がいるなんて聞いてねぇぞ。
自分の前では、竜巻の如く通り過ぎた後を無茶苦茶にする人外がいた。
剣を一振りすれば、紙を割くようにトーチカが真っ二つになるし、地面を蹴れば塹壕が埋まる……。工兵さんギャン泣きですわ。
とか言ってみたものの、流石にこれ以上被害が出ると拙い、というか戦線が瓦解する。いやもう瓦解しかけてるけどね、ハハッ。そう言っている間にも、右翼の第三中隊は勝手に撤退している。まあ、この状況なら仕方ないよな。目と鼻の先で、中央の第一中隊が為す術もなく蹂躙されてるわけだし。
流石に、我々も抵抗せずにむざむざと殺られるわけにはいかない、のだが鉄砲も効かなきゃ、戦車砲も効かない。砲兵?あそこに撃ったら味方ごと消し飛ぶね。
うーん、どうしたものか……
色々と対策を練っていると、ふとあの人外の周りにバリアみたいなモノが見えた気がした。なんというか、銃弾がそこで跳弾しているように見えたのだ。
……。バリアか。それを無効化するかそれを貫く何かがあれば良いんだが……、あっ!あれが使えるんじゃね?
俺は雪崩の如く押し寄せる部下とは逆に、あの人外に向かって歩みを進めた。すれ違う部下は口々に「危ないです!」とか「死にますよ!?」とか言われてたが、誰かがなんかしなきゃ、状況は変わらないだろ。てか、俺の兵器召喚以外に対処法無いよなぁ〜、そう思いつつ前に進んだ。
しばらく歩くと、守備兵の居ない陣地に着いた。何も損害らしい損害はないが、第二中隊の奴らは持ち場を離れたらしい。帰ったら粛清。そんな感じで、我が軍の軟弱さ呆れながら俺は対戦車砲を召喚した。
12.8 cm PaK 44、ドイツがWW2後期に生産した巨大な対戦車砲だ。口径は名前の通り12.8cm!
これなら、どんな戦車だって貫通出来る(筈)!
ちなみに、試験では60°傾いた200mmの装甲板を1000m離れた所から貫通していたりする。それに加えて、12.8cmという大口径のおかげで炸薬たっぷり。貫通すれば車内を文字通りミンチにしちゃう恐ろしい兵器だ。まあ、その分大きすぎて機動力が乏しかったりと問題もあるけどね。
何より、ヤークトティーガーや超重戦車マウスの主砲の元になった、と言えばもっと強そうに聞こえるかもしれないね。
そんな、巨大な兵器を一人で扱う……のは無理があるが、自分しか居ないので測距して照準を合わせて……、あ、砲弾は召喚時に装填されてるから大丈夫。ほら?電化製品って買ったら電池とか付いてるじゃん?あれと同じ感じだよ、たぶん。……それに、30kg近くある砲弾を装填するのは地獄だし。
一人で照準を合わせて、射撃準備完了。あとは、撃つだけだ。
黎明期の戦車の如くノソノソと動く人外は当てやすいだろうし、バリアの大きさも異様にデカい。初弾でバリアに命中。……あれで、バリアを破壊出来たのかな?
唖然とする人外を横目に、放置された銃座に行き、ブローニングをトリガーを引く。
ダダダダッと重い射撃音が響いたあと、流石の人外も致命傷となったらしく、糸の切れた操り人形のようにその場にドサッと倒れる。
なんとも締まらない終わり方だったが、一応これで終わりだろう。
自分は護身用のワルサーP38を右手に持ち、人外に近づく。彼の目の前に立った自分は、また彼に驚かされる。あんだけ、12.7mmを打ち込んだのにまだ息をしていたのだ。生命力の強さにドン引きっすわ。
見れば、彼は確かに銃弾を浴びていたがどれも急所を外れていた。両腕や脹脛なんかは何発も当たって血が出ていたが、胸や顔、太腿には当たっていなかった。……まさかあの弾幕を避けたとか無いよな?そう思いつつ、弱りきった彼に話しかける。
「お前、よく生きてんな」
「当たり前だ。俺は勝つまで死なないからな。お前が大将なんだろ?」
彼の声は弱々しいが、何故か力強さを感じる不思議なものだった。
「ああ、俺が指揮官だ」
「そうか」
自分の言葉を聞いた彼は、どこか満足そうに話かけてきた。
「どういう武器を使ったかは知らねぇが、俺に勝ったんだ。こう見えても、俺は結構強い騎士なんだぜ?それが、こうも無残にやられるとは……。負けは、決まったんだ。お前さん、俺に最期のトドメを刺してくれ」
そう語った騎士さんは、自分に小さな剣を出してきた。自分に刺せ、ということか。
「最後に一つ聞いておこう。お前さんの名前は?」
「……ハルノリだ」
「ハルノリか。よぉく覚えた。そろそろ良いだろう。その剣で俺を刺してくれ」
「わかった……
なんて言うわけないだろ?」
吐き捨てるように俺が言うと、彼はビックリしていた。
そもそも、助かる命を見捨てるような下衆になった覚えはない。確かに、戦いに負けて潔く散る(死ぬ)ことに憧れる気持ちは分からんでもない。が、それをうん、と素直に受け入れるつもりは毛頭ない。
ギャーギャー喚くおっさんを無視して、ありとあらゆる医療キットを召喚しまくる。米軍、英軍、独軍、ソ連軍、日本軍。片っ端から取り出したモノを種類分けして、銃創に対応した物をチョイスする。
当然、冴えない学生だった俺が医療行為なんてとてもじゃないが行えない。だが、今のスキルを使えば召喚した物に関わる知識は頭に入ってくる。熟練した軍医並の速さで、彼を抑え付けて麻酔を打ち、ササッと手術を行う。戦場のど真ん中に、天幕を用意して仮設の野戦病院で黙々と作業を続ける。身体に埋まった銃弾を取り出し、縫い合わせる。それが終われば、全身の傷をチェックして、その都度治療する。結局、彼の傷を全て治療し終えたのは、日が暮れてだいぶ経った時のことだった。
こういう時、聖女様とか居れば一瞬で完治してたんかねー?なんて、考えつつ後片付けをしていると、どこに逃げていたのか部下たちがワラワラと集まってきた。
中には彼にやられたのだろう、傷を負った兵士達も見受けられた。勿論、その兵士達の治療をした。
その後は、将校を集めてめっちゃ叱った。撤退命令も出ていないのに、戦闘を放棄したのは明らかに命令違反だ。(とは言え、こちらも死守命令を出していないが)結局、彼らを処刑してもメリットがないので、飯抜き&帰りは徒歩行軍ということにした。今、大粛清を行ってもWW2前のソ連軍よろしく崩壊しかねないからな……
こんな感じで、初めての野戦は想定外の事態こそあったものの、僅か一日で終結した。
タイトル長いって?やせんと言えばあの娘でしょ??(あってるけど違う)
評価&ブクマ登録、よろしくです。あと、Twitterの方もよろしくです。(@RVdX8yzugRufoNT)
次は3連休のいずれかに投稿予定。模試が辛いのん……