嵐がやってくる()
ども、モチベがゼロになったカトユーです!()
とりあえず、頑張って週1投稿を続けていきます……
謎の人骨発掘から少し経ち、帝都に戻った兵士達がのんびりと(勿論、日々の訓練は欠かさず行っているが)過ごしていた。
そんな束の間の休息を奪うかのような報告が、日施哨戒を行っていた一式陸攻から届いた。
11月29日、いつもの様に決まった時間に決まった行程で飛んでいた七六一空第一小隊二番機が、帝都南東170km地点を北上する武装集団を見つけたのだ。基地に帰ってきた搭乗員に聞くと、彼等は歩兵と騎兵のみの(ライノゼ王国軍に比べると)少ない兵力だった、とのことだ。
この情報を得て、帝都はにわかに忙しくなった。のんびりと訓練していた、陸軍はキツキツのスケジュールに変更することになり、戦力化が急がれた。また、空軍は稼働機全機を持って、写真偵察及び周辺の索敵の強化を行う事となった。
翌30日早朝、轟音とともに第二小隊全機が写真偵察に向かった。
午後、帰ってきた一式陸攻からカメラを回収し写真の現像・解析を行ったところ、街道上を進軍する集団を確認出来た。
その情報を受け、自分は非常事態宣言を出し、戦争モードへと移行した。
12月1日、各部隊の指揮官を集めて作戦会議が行われた。未だに、戦術・戦略等の教育は行き届いていない為、大抵自分の意見を述べて彼等が賛同を示す、これの繰り返しであった。
結局、会議は1時間程で終わった。
今回の作戦は、比較的リスクの大きいモノとなった。というのも、コチラも未だ戦いらしい戦いというのをしたことが無かったので、ここで一気に試してみよう、というのである。具体的には目視距離での戦闘だ。帝国軍の主力は歩兵部隊である筈なのに、これまで砲兵と航空兵の攻撃で大半の事が片付いてしまって、ろくな陸戦を経験していないのだ。これからは、市街地戦闘も考慮しないといけないし、人との戦い方も経験しないといけない。
具体的には、敵の前にわざと出て即席の野戦陣地で迎撃するというモノだ。防衛戦なのに何故、自分達から向かうのか?それは、帝都の場所が敵に知られていないからだ。なんだかんだ言って魔境・シュバルツェルナーの森の中にある帝都、そんな魔境を好き好んで探索する奴は殆ど居ないだろう。
大雑把な計画が決まったので、司令部はより細かい計画を立て始めた。また、実際に動く歩兵部隊それと戦車部隊は実戦を想定した訓練を始めた。ただ、歩兵部隊は戦闘の前に簡易的な陣地を築く為の、知識・技能を身につける必要がある。一応、工兵部隊としての活動経験はあるものの、インフラ整備ばかりで戦う為のモノでは無かった。
ここからは、訓練に励んでいる兵士に主役を譲ろう。
俺は、インクヴァルト。シュバルツツェルナー帝国陸軍第一歩兵中隊に所属する一等兵だ。エルフの国があった頃は、田舎でのんびりと過ごしていた。が、ライノゼ王国軍が侵攻したことによって、全てが変わった……いや、変えられてしまった。俺の居た集落は王国から比較的近く、あっという間に攻められ、焼き討ちにあった。慌てて逃げた俺は、何処に逃げれば良いのか分からず、とにかく走り続けた。
それから3日経った日にようやく我が家を見ることが出来た。妻とまだ歩けるようになったばかりの幼い娘が居た筈の小さな家は、真っ黒な炭の山となっていた。その後はよく覚えていない。ただ、家を見つけたあと、逃げるように森の中に入っていったことはよく覚えている。何か悪い予感がしたのだ。具体的には、妻が亡くなった、とかね。集落をあとにした俺は、あてもなく森の中を彷徨い、僅かな泥水を日々啜ってなんとか生き延びて、シュバルツェルナー帝国の兵士に助けられた。
聞けば、彼等はライノゼ王国を攻撃すると言っているのだ。俺の大事な妻子、祖国の仲間の命を数多奪ったライノゼ王国と戦うと聞いて、俺は自ら軍に志願した。
軍に入ってからの生活は極めて満足のいく、居心地の良いものだった。ここに、妻子が居たらどれだけ良かったことか……
ともかく俺は、シュバルツェルナー帝国歩兵として、教育を受けた。まずは、常識的な知識を学び、テストである程度の点を取ると、それぞれの兵科に分かれて専門的な知識に身に着ける。俺の場合は歩兵部隊への配属が決まったので、銃の扱い方、行軍の方法、野営の知識なんかを頭に叩き込んだ。
ここ最近は、工兵として森林の開拓や道路の敷設をしていた。
そんなある日、真っ昼間に非常呼集で集合させられた。どうやら重要な話があるらしい。指揮官のパーシヴァル大尉によると、またライノゼ王国軍がやってきたらしい。「また」というのも、俺が帝国に来る前から度々ライノゼ王国軍による侵攻があったらしい。それも毎回退けているらしいが。
大尉の話の後、専らインフラ整備とかなりテキトーな訓練ばかりをしていた歩兵部隊がにわかに忙しくなった。
今度は、敵と正面からぶつかり合う様で、陣地の構築、活用法、戦車部隊との協同作戦の手順を確認した。また、倉庫にあった、ブローニングM2機関銃を持ってきて、1個中隊に1挺渡された。弾は訓練用も含めて、なんと8,000発も支給された……。使い切れるのか?
ともかく、新しい装備を手に入れた俺達はその武器を使いこなせるよう、猛練習に励んだ。機関銃を据える陣地を掘ったり、戦闘中に別の所へ移す動きなんかを練習した。機関銃というのは、俺達の持ってる小銃とは火力が全く違った。機関銃の発射音だけで、どれだけ安心できることか。
また、初めて目にした戦車というのも凄かった。57mm砲の榴弾は素晴らしい威力があり、敵をふっとばすのが容易に想像出来た。その上、自分で好きな所に動いて、自分の好きな場所から撃てるというなんとも羨ましいモノであった。
こんな感じで、俺達歩兵部隊はやがて来るであろう王国軍を倒すべく、日々訓練を続けている……
エルフの話って、プロパガンダのような文になっちゃいますよね……
それは、さておきソ連は良いぞ。
次話はまた土日に投稿しますね。
ではまた次回にて!




