多趣味過ぎた(泣)
ども、明日投稿です!とTwitterで公然と嘘を吐いてしまったカトユーです。ええ、申し訳なく思ってますとも。
謝罪の意を込めて、今回は少し長めにしてみました。(え?いつものことだって?)
ちなみに、万人受けしなさそうなテーマです(笑)
チハを召喚してから半年が経った。(飛ばしすぎ?なあに、猛訓練してただけさ……)
11月になり春から夏を飛ばして秋……それも冬の足音が聞こえてくる頃となったある日、今までずっと続けていたエルフ捜索で、(ある意味)大きな発見があった……
かれこれ半年もの間、何度もエルフの捜索に向かっていた歩兵小隊は、捜索中にある奇妙なモノを見つけ、自分に以下のような連絡を寄越してきた。
大量の人らしきモノの骨が、崖に突き刺さっている。
自分は慌てて、現場に向かう事にした。何故なら、王国の連中が既にその辺りまで侵攻している(或いはしていた)のかもしれないと思ったからだ。
結局、その予想は大きく外れることとなる。
「これはスゴイな……」
現場に着いた自分は思わずそんな風に呟いてしまう。何せ、目の前にはどんな発掘現場より多くの骨が見えるからだ。
小隊からの連絡から想像していた様子とは全くと言って良いほど違い、骨がたくさんあったのは鎌倉の切通しのような場所だった。高さは15mを超えているだろう尾根に、不自然な隙間があった。土砂崩れのせいでこんな地形になったのだろうか?
切通しの斜面には遠くから判るほど多くの骨があり、それらが一つの地層のようになっていた。自分はビビリつつ近づいてみると、なるほど確かに、頭蓋骨や太い大腿骨、骨盤など、明らかに人間らしいー学校の人体模型でみたようなー形をした骨がそこかしこに散らばっていた。風化のせいだろか?一部が欠けた骨も多数見受けられる。
不安や恐怖、それに多少の好奇心をごちゃ混ぜにしたような顔をしたエルフ達が、物珍しそうにこれらの骨を眺めていた。
……もしかして、この世界では考古学があまり盛んではないのだろうか?伝承しか伝わっていないのだろうか?そう思い、近くのエルフに尋ねてみた。
「君は歴史の話を聞いた事があるか?」
ぼーっと人骨を眺めていたエルフが、自分の問いに気付き答えてくれた。
「僕は長老に大昔の話を聞いた事がありますね」
エルフの答えは、この世界ではよく聞く極めて平凡な回答だった。大抵の場合、村の長老か年長者から話を聞いた、それだけである。しかも、その話も突拍子もない、かなり信憑性に欠けた法螺話ばかりである。(もっとも、人間であればまた話は変わるかもしれないが)
埋もれていた骨を手に取って初めてわかったのだが、頭蓋骨が思ったより小さかった。自分の頭と比べると一回り小さく、形も少し違った。より具体的に言えば、我々新人より前の猿人〜旧人のような見た目である。我々(ホモ・サピエンス)と比べると、頭蓋骨の前後が長くなっている。全体的な特徴を見る限り、旧人(ネアンデルタール人)に近い感じだ。
自分は、周りのエルフをほったらかしにしたまま、この不思議な人骨の観察を続ける。専門の道具等は一切無いので、かなり雑だが手で土を払って、次々と人骨を掘り出していく。表面にある人骨を掘り出すと、更に(横方向の)奥にはまだ人骨が見えた。どうやら、相当な数の人骨が埋まっているらしい。ここはお墓のような場所だったのだろうか?それとも、あまり考えたくはないが虐殺の跡なのだろうか…?
暫くして、ポカーンと突っ立っていたエルフ達も自分の動きを見て、人骨の発掘(?)を手伝い始めた。
黙々と作業を進め、日が暮れる頃にはかなり多くの数の人骨を掘り出すことが出来た。
翌朝、寝ていたテントから出てきた自分は、目の前の人骨にギョッとした。昨日掘り出した人骨を無造作に放っておいたのを忘れていたのだ。自分と同じような驚きの声が、そこかしこから聞こえた。
今日は掘り出した人骨から、彼らが一体どのような姿だったのか復元してみたいと思う。
目の前にある大量の人骨から、適当に形の残っている物を選び、並べてみる。自分は、男性と女性の骨盤の違いや年齢による発達の差ぐらいしかわからないので、かなり大雑把な復元になってしまう。それでも、自分の前には一体の骨格標本が出来た。これを調べてみると、身長は凡そ150cmということが解った。これは、ネアンデルタール人の数値とほぼ同じである。
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ここで、5行でわかる!人類の歴史編
2000万年前 類人猿
400万年前 猿人
200万年前 原人(ジャワ原人)
40万年前 旧人(ネアンデルタール人)
5万年前 新人
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結局、この異世界版ネアンデルタール人(仮)の人骨は、掘り出しただけでも18人分もあった。この、18人分は全て完全な状態の骨だけで復元出来たので、先の虐殺或いは戦争の跡という仮説はほぼ消えた。また、18人の他にも不完全ながら25人の人骨が確認出来た。それに、斜面にはまだまだ多くの人骨が見える。
つまり、最低でも43人を超える人々が突如として埋められた(亡くなった?)のである。彼等に埋葬の文化があったのかは知らないが、余程の事がない限り、遺体をこのように雑には扱わないだろう。
ここで一つ、大きな疑問がある。
彼らは一体何者なのだろうか?という点である。以前、歴オタ(異世界基準)なフェルディは、「最初の人類は約3,000年前に現れた」と言っていた。しかし、(地球でのデータを当てはめると)ネアンデルタール人は40万年〜2万年程昔に存在していた筈である。では、ネアンデルタール人が絶滅した(とされる)2万年〜3,000年前の間に一体何があったのか?文明を滅ぼす程の「何か」があったのか?たが、今はそれを調べる術が無い。よって、キチンとした研究が始まるのは、これよりだいぶ後の話のこと……
ただ、異世界版ネアンデルタール人がどのくらい昔の存在かも分からないのと、3,000年というのもあくまで伝承なのでどちらとも不確定な情報しかない。もし、ここで放射性炭素年代測定が出来たら良かったが……
とりあえず、周辺のマッピングをして今回は帰ることにした。一応、今回掘り出した人骨は帝都に戻って、それなりの保管・研究はしたいと思う。
かくして、後に考古学史の始まりと言われる歴史的な発掘調査はあっさりと終わるのであった。
これまでに、なろう異世界物で考古学をぶち込んだやつがいるだろうか?いや、(絶対に)いない。(断定)
ということで、めっちゃ謎な考古学回でした…。
何故突然、こんな話を書いたのか?その理由をば。
個人的には、中世〜現代(日世両方)も好きですが、先史というか文明以前の人類学とかも好きです。
あと、今までのナーロッパに更に理科的な?話を入れたいなってのがありました。(この辺りは作者のツイートにて)
次回からはまたミリタリー要素(?)を増やしていきたいですね!
ではまた次回にて!
 




