第35話 あ号作戦開始!
ようやく戦闘シーン…
けど、先に言っておきます。
……なんか短くなってしまった。
ビラまき開始から一週間が経った。この間、毎日カウントダウンのようにビラを巻いて来たが、ついにアルノーツへの攻撃を始めようと思う。現在、我々はアルノーツ村から北にに3㎞離れた地点に集合している。展開しているのは一個機甲部隊(T-35装備)と二個歩兵小隊だ。ちなみに歩兵小隊は歩兵任務だけでなく、砲兵や工兵の任務を兼ねているかなり大変な部隊だ。
ここまでの移動は、徒歩だったりトラックでの輸送だったりする。アルノーツ村までの行軍は厳しいものだった……。森の中を徒歩で行軍している最中二匹のスライムと出会ったが、それだけで部隊が恐慌状態となって壊滅しかけたのだ。歩兵小隊は三八式歩兵銃を持たせていたのだが、スライムには効かなかったのだ。何しろ、あのブヨブヨした体に銃弾が受け止められ、貫通しなかったしエルフ達も対人戦闘は極めたもののそれ以外はからっきしで手も足も出なかった。そんな相手が敵意剥き出しにこちらを見てくるので、エルフ達はビビリ散らして我先にと逃げ出そうとする始末出なかったあった。結局、自分が召喚した軍刀を用いて一刀両断にしてやったが中々散々な初戦であった。これ以後、小隊長以上には軍刀(日本刀)をもたせるようにした。史実では、やれ飾りだ重りだ言われた軍刀が役に立ったよ!(謎の歓喜)
その後は特にアクシデントもなく目的地に到着して、装備を召喚した。また、陣地の偽装・隠蔽も行っておいた。
そして今、目の前には歩兵砲とT-35の主砲がアルノーツ村に照準を合わせている。いつでも射撃可能だ。
「クソッ、奴らは降伏しないのか?」
自分が苛立たしげに吐き捨てると、周囲の者たちはスッと目を逸らす。自分は今、双眼鏡を覗き込んでアルノーツ村に白旗が掲げられていないかを確認している。先日まいた伝単には、白旗が降伏の合図だと書き込んでおいたが、アルノーツ村には白旗が見られない。奴らはやる気か。
こうやって眺めていても時間の無駄なので、早々に攻撃命令を出す。ビラにも一週間後の正午から攻撃すると書いてあるからな。それに、交戦地帯の範囲はアルノーツ村及びその周囲10㎞と書いてあるからな。ちゃんと逃げるなら逃げとけとも書いてあるしこちら側は悪くない。
「あ号作戦開始!目標、アルノーツ村正門!テーーッ!!」
自分の号令のもと、15㎝歩兵砲と76.2㎜戦車砲が火を吹く。計4門の砲から放たれた砲弾は、目標物の周囲に着弾し土煙を上げる。
「次発装填急げ!」
歩兵砲ですら3発/分で撃てるので、ものの十分の射撃でアルノーツ村は煙に包まれていた。単純計算で、15㎝の榴弾だけでも60発も撃ち込まれたはずだ。
入念?な準備砲撃の後、機甲部隊のT-35が前進する。これで我々の勝ちだ。
3㎞の距離をノロノロと15分ほどかけて前進し、アルノーツ村に迫る。主砲、副砲の発射や機銃掃射をしつつアルノーツ村に入った頃、ようやくアルノーツ村の中心に白旗が上がるのが見えた。すぐさま、味方に伝達し攻撃中止の命令を下す。前進している戦車に対しても信号弾で攻撃中止を伝える。自分はM3ハーフトラックを召喚し、10人の護衛兵士と共にアルノーツ村へと向かう。粉々になった門を踏み越えて村の中へと入った。言えだったであろう物は跡形もなく粉砕され、瓦礫の山となっていた。所々で、痛い!助けてくれ!等という声が聴こえたが、救出は後回しにしよう。白旗を揚げたとはいえ、ここは敵地である。いつどこから敵意を持った物がいてもおかしく無い。「死ねぇ!」例えばこんな感じに。ダダダッとブローニングによるシャワーがお返しされ、突っ込んできた人間は見るも無残な状態になる。
警戒しながら前進すると、トラックは村の広場らしき所に停まった。どうやらここが村の中心らしい。見れば、白旗が瓦礫の上に翻っている。
我々の到着を待っていのか、村人達がとある人の後に集まっている。
「!!お、お久しぶりです。ハルノリさん……」
この村の村長であるハインツだった。前回とは打って変わって、土まみれのみすぼらしい格好であった。
「久しぶりだな。ハインツ」
「ええ……。今回の攻撃はハルノリさんによるものですか?」
「ああ、そうだ」
「……。そうでしたか。ではなぜこんなことを?」
当然の疑問だろう。前会ったときには、取引しようなんて友好的だったのに、次来たときは侵略されたのだ。困惑するのは当たり前だろう。
「自分は……。いや、我がシュヴァルツェルナー帝国はライノゼ王国に宣戦布告したのだ。ライノゼ王国のこの街を攻撃するのは、当然のことだ」
そう言うと、ハインツはどこか納得したような表情をしたあと、ホッとしていた。何故だ?
「どうしたんだ?」
「いえ、ようやくライノゼ王国の支配から解放されるのかと思いまして」
はて、税の徴収が辛いとは言っていたがそこまで酷くはなかった筈だが。
「何かあったのか?」
「今年、更に納める税が増えまして、収穫高の九割を寄越せと言ってきたのです……」
「……は?」
いやいやいやいや!おかしいだろ!どんだけ取るの??
中世だし多少の徴収はわかるが、これは流石に理解出来ない。第一、こんなに取ったら農民は生活出来ないだろ!?
「誰がそんなこと言ったんだ?」
「アーノルド公爵です」
知らない名前だな、と首を傾げていると、
「ご存知無いのですか?北方の暴君と呼ばれる公爵なんですよ……」
と声を抑えて教えてくれた。そりゃ、領主の悪口なんか言ったら何が起こるか分からないからな。
「なんでまたそんなことを?」
「皆の推測ではありますが、徴収した物を他所の領主に売っているそうです。何でも、南方では不作が何年も続いているようで……」
マジかよ。徴収した物で金儲けとかとんだクズ野郎だな。
「その、アー何某とか言う奴はどこにいるんだ?」
「アーノルド、ですよ……
アーノルド卿は公都・モンタバウアーにいると思います」
モンタバウアーね。覚えた。というか次はそこに攻めこもう。
「アーノルドって奴については分かった。話が逸れたが、税が厳しくなっていのか」
「そうです。その……帝国はどのように税を徴収するのですか?」
……ああ。そんな事は考えてなかった。まあ、食料に困ってないし村をめちゃくちゃに破壊してしまったし、無しで良いか。
「まあ、最初の年は税を納めなくても良いよ。来年の事はまた話し合おう」
そう言うと、ハインツの顔は一変して明るいものとなった。
「本当ですか!?助かります!」
聞き耳をたてていた村人達も「「「おおっ!!」」」と騒いでいた。君達、盗み聞きは良くないゾ。
その後は降伏文書への調印をした。こういうのはキチンとしておかないと、あとあと良くないからね!
また、これによりあ号作戦の第一段階が終了した。
まあ、所詮50人VS数百人?の村人の戦いですからね。短くなりますよ〜(言い訳)
次次回もまた戦闘かな〜
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(あとは分かりますよね??)
 




