第23話 異世界に轟くエンジン音
どうもカトユーです。(月一ペースの投稿になってて焦りを感じる・・・)
とにかく、失踪はしないので安心してください!(え?現代ラブコメ?なにそれ、おいしいでしょうか?すっとぼけ)
翌日、エルフ達は日が昇ると同時に目覚め、いそいそと森の中へと入っていった。なんだなんだ?と思っていると森の方からコッ!コッ!となにかをぶつけるような音がしてきた。聞き慣れない音だったので、音の方向へ向かうとエルフ達が斧を用いて木を倒している最中であった。よく見ると斧を使っているのは一人だけで、残りのエルフは足元に落ちているような、こぶし大の石を木の幹に叩きつけていた。随分と非効率なやり方だと思い、エルフに聞いてみると、「斧は危ないからと言われて、一挺しか渡されなかった」と言われた。徹底的に武器になるものは渡さなかったらしい。よく見ればその唯一の斧も刃こぼれが多く、かなり使いこまれた中古品だった。これじゃあ一本の木を切るのにどれだけかかるのか?と思ってしまう。
一度、集落に戻り朝食を摂り、その後伐採の方法を考えてみた。真っ先に思い付いたのは単純に斧の数を増やす事だ。これはとても簡単なことだった。何せ、スキルで斧を召喚できたのだ。どうも、斧も何かしらの武器として扱われるらしい。モン〇ンでも使えるからね······。けど、自分は現代人。もっと楽をしよu······。ううん、便利にしようと考えた。そこで、チェーンソーを召喚することにした。勿論、これも召喚することが出来た。チェーンソーは世界各国の軍隊の工兵部隊に装備されてるからね。ただ、これだけだと芸が無い。そこで、とある兵器?を召喚してみた。毎日欠かさずスキル練習してたからな!ちなみにその兵器は······
グオーッ!!と異世界に似つかわしくないエンジンの音が聞こえる。突然の大音量にエルフ達も、なんだなんだと集まってきた。
今回召喚したのは大日本帝国陸軍が開発した、「伐掃機」と呼ばれるものだ。これは、対ソ戦を意識していた陸軍が満州・シベリアの密林を突破するために開発された。(詳しくは後書きにて)装備は同行する伐開機が倒した木を処理するために、チェーン式切断機と起重機を搭載している。ちなみに、車体は九七式中戦車のものを流用している。
エルフ達が物珍しそうに眺める中、エンジンを吹かし、前進させてみる。カタカタカタカタ!と動き始める伐掃機を見たエルフ達は、「動いた!」と騒ぎだした。やはり、この世界の技術では蒸気機関の類いは無いのだろう。単にエルフ達が見たこと無いだけかもしれないが······。とりあえず、集落を一周したあとに森の中へ入ってみた。一応、無限軌道ではあるものの、そこまで不整地走行能力はないと思う。だって、馬力が無いんですから(日本軍車輌の宿命)。
木の前に停車させ、早速木を切り倒してみる。グオーンと音をたて、刃が高速で回転するチェーンソーを初めて見たエルフ達はなんだあれと不思議そうにしている。チェーンソーで幹の三方に刃を入れ、弦と呼ばれる三点を残して、少し穴を開けるようにする。そして、最後に斧で微調整しつつ、倒す方向と反対側の弦を切って思い通りの方向に倒した。ちなみにこの切り倒し方は「三ツ紐伐り」と呼ばれている。チェーンソーのお陰で五分で伐り倒すことが出来た。それを見たエルフ達はほお~と感心していた。エンジンを切り、操縦席から出るとエルフ達はペタペタと車体に触れていた。その様子を見ていると、一人のエルフが近寄ってきた。この集落に来てから何かと話かけてくれる青年?だ。ちなみに名前はハインケと言うらしい。(本人から聞いたのではなく村人が読んでるのを盗み聞きした)どうでもいいが、個人的にはもう一字欲しかった。(ハイン〇ル社)
「ハルノリさん、これって何なんですか?」
ハインケは伐掃機をトントンと叩きながら問いかけてきた。
「ああ、これは伐掃機と言うんだ」
「“バッソウキ”?」
うん?他の単語は普通の言い方だったのに、伐掃機だけは外国人が話すような片言になってるぞ?そんな疑問を持ちながらも、伐掃機について簡単な説明をする。当然、この機械に使われている技術について、彼は何も知らなかったので教えるのにかなり苦労した。彼が一番驚いていたのは無限軌道(:キャタピラー)についてだ。この世界は車輪しか無いので、悪路を走破出来る無限軌道は魅力的に感じたようだ。
「それにしてもこの“バッソウキ”というのはスゴイですね~。今まで聞いたこともないですよ」
でしょうね・・・。異世界の物ですから。
その後もハインケはいくつか質問をしてきた。ほとんどは簡単なことだったので答えることが出来た。ただ、一つ困った質問があった。それは、伐掃機の動力についてだ。この世界には蒸気機関なんて物はなく説明に苦労した。ただ、一つ得た物はこの世界にも石油に似た物があるそうだ。現地では燃える水と呼ばれていて、森の奥で黒くてドロッとした液体が泉の様に涌き出ているらしい。これはいい情報をもらったと思いつつ、ハインケに色んな事を教えてやった。
伐掃機の説明を終えて作業を再開し、日が暮れるまで時々休憩を入れながら開拓を進めた。伐掃機を導入したことで、かなり作業が捗った。参考までに、昨日までは一日で二、三本の木を伐り倒すのが精一杯だったが、今日は一日で三十本近くも伐り倒せた。ただ、伐り倒しただけで、切り株等は残ってしまっている。明日は整地作業もしたいね。あれも使ってみたいし······
追加
大日本帝国陸軍(以下陸軍)
伐開機及び伐掃機
伐開機(秘匿名称:ホK)
陸軍が対ソ戦に備えて開発した工兵用の特殊車両。本車は満州・シベリアの国境線にある密林を突破することを目的として開発された。一号車が開発された後、三菱重工業が九七式中戦車の下部構造を流用し、上部を新設計として生産。車体前面にある衝角を用いて樹木を薙ぎ倒し、密林を突破した。
一九四三年(昭和十八年)に完成し、ニューギニア方面に輸送されたと推測されるものの、現地に輸送中に輸送艦が撃沈されたか、現地で爆撃により撃破され喪失した。仮に輸送されたとしても、高緯度地域向けの本車が、南方のジャングルでも使えたかというと疑問に思ってしまう。
伐掃機
伐開機が倒した木を処理して、通行可能にするためにチェーン式切断機と起重機を搭載していた。基本的には伐開機一両に対し、伐掃機が二両付随して一個作業隊を成していた。ちなみに、伐掃機はアメリカ軍に鹵獲された写真がある。
主要目(伐開機)
エンジン 統制型一〇〇式発動機
ディーゼルエンジン
(240hp)
※参考・Wikipediaより
情報の少ないかなりマニアックな車両ですが一度調べて見るといいです。ちなみに、ドイツ軍も伐開機似たような外見の車両を造ってます。用途は違いますが・・・
これからも新兵器とかが出てきたら、後書きで詳しく書いてみようかなと思ってます。見にくい!と思ったり別の話に纏めてくれ!と思った方がいたら感想等で教えてください。
次話で登場する車両のヒントは均土機!