第22話 神になってみた
昨日に引き続きこんばんは、カトユーです。
今回は気分を変えて、電車の中で書いてみました。どうだろう、ノリノリで書けたのかな(笑)
あわただしく去っていったディッカー達へと向けられていたエルフ達の視線は、自分へと向かった。その目は好奇の眼差しや侮蔑の眼差しだ。止めろ、そんな目で見られると照れちゃうだろ。······ゲフン、ゲフン!何でもない。自分はマゾじゃない。
とりあえず、どうしようか。もう一度自己紹介でもしてエルフ達とコミュニケーションを試みてみるか。
「さっきも紹介されたが、この度シュバルツェルナーの森開拓団、団長のハルノリだ。よろしく頼む」
「······」
え?え?まさかのノーリアクション!?誰か怒ったりしないの??
「な、何かリアクションないのか?」
「は、はい!お久しぶりですハルノリさん」
若い(エルフなので何百歳とかかもしれないが)が反応してくれた。やっと話せるよ。けどお久しぶりです、か~。だがすまん、君のこと覚えてない······。
(正直、アルフぐらいしか覚えて無い)
「あー、うん。お久しぶりです」
うわあ、なんだこの気まずい空気。大して仲良くなかった同級生と街中で偶然出会った時みたい。
「あの時は残念でしたが、ハルノリさんのおかげでエルフは生きていられるのです」
あ、そんなに悪い感情ばかりじゃないのね。プラマイゼロと言ったところか。
「いえいえ、戦闘の時は役に立てなくてすみませんでした」
······。き、気まずい!話すこと無くね?(泣
コミュ障丸出しだよ!
それにしても、エルフ達の痩せ方が尋常じゃないないような。冗談抜きで骨と皮だけだ。男の人なんて肋骨が浮き出てるし······。
「あのー、ここでの食事ってどうなってるんですか?」
さっき話していたエルフに聞いてみた。
「この集落では全てが自給自足ですよ。この辺りの森の植物を採って食べています。ただ、この辺りの森は日当たりが悪く、草等の植物が少ないです。それに加えて、危険な魔物も多くいるので中々全員分の食事を用意出来ないのです」
とのこと。ほほう。これは自分のスキルが活かせますね。(ドヤ顔)重焼麺麭(:大層な名前だが要は乾パン)なら大量に用意出来るな。
「食料なら自分が用意出来ますよ」
「!!それは本当ですか!?」
「ええ、何なら−ほら」
そう言ってスキルで重(ry。しつこいって?
······スキルで乾パンを召喚した。
すると、エルフの青年は口をあんぐりとしていた。あー、これって実は凄いことだったりするのかな?
「えっと、乾パンっていう携帯食料です」
そう説明したものの自分の掌にある乾パンを取ろうとはしない。どうしたんだ?と思っていると
「スキルで食べ物が召喚出来るんですか!?」
ちょっと待て、ラグ過ぎるだろ!それとも何?そんなに珍しいのか?
「それって珍しいのか?」
そう聞くとエルフの青年だけでなくエルフ全員が首を縦に振っていた。
「凄いなんてものじゃないです!今まで誰も成功したことが無いと言われているのに!」
ええ~っ!(ここ、マスオさんリスペクト)
「凄いも何も自分にはフツーのことなんだけどな~」
そう言いつつ、乾パンをポンポン召喚していると、エルフ達が教会で神に祈りを捧げるかのような行動をし始めた。あれー?何か嫌な予感がするぞー。(棒読み)
「「「あなたは神ですか!?」」」
うん、言うと思った。けど、いざ言われると気恥ずかしいね。
「いやいや、自分は人間ですよ」
「それでも、私達を二度も救ってくれた!その行いだけで十分凄いことですよ!」
物凄く興奮した感じで言われてしまった。うーん、こりゃ別の意味で気まずいぞ······
「感謝されるのは嬉しいけど、乾パンが口に合うか分からないぞ?」
「いえ、もらえる物ならなんでも食べますよ!」
そう言いながら彼らはガツガツと乾パンを食べ始めた。しばらく、貪るように食べたあと、
「たくさん食べると水が欲しくなりますね。味は文句無しですよ」
と概ね好評だった。ただ、むせたりするエルフが続出して水を飲ませるのが大変だったが。
その後、満腹になったのか食べるペースがどんどん遅くなり、満足感からか寝始めるエルフが多くなった。さっき話したエルフはまだ起きていたようでこっちへ向かってきた。
「本当にありがとう。あなたのお陰で飢えに苦しむエルフが救われました。重ね重ね、感謝します」
「お、おう」
そんなに感謝されると反応に困るな~と思いつつ頭をポリポリと掻いてしまう。
「お礼と言っては難ですが、ささやかな宴会を開きたいと思います」
あー、宴会かー。未成年だけどお酒飲むの?
「エルフってお酒飲むのか?」
酒を飲むのか気になったし、今までそれらしき物を見たことが無かったので一応聞いてみた。
「普段は飲みませんが、儀式や祝い事の際に飲むお酒があります」
へ~、そんなものがあるのか。何か甘酒みたいな物かな?
日が沈もうとする頃にエルフ達は起きた。普段なら、これから寝る時間だが、仮眠のお陰かその顔から眠気は感じられなかった。さっきからやたらと自分に親切にしてくれるエルフの青年が他のエルフを集め、一言二言話すとあわただしく動き始めた。どうやら、宴会の準備をするらしい。
暇だったので素数を八五七まで数えていると、エルフから呼ばれて宴会が始まった。
「この度、またしても我々を救ってくれたハルノリ様に乾杯!」
「「「乾杯!!」」」
こうして歓迎会兼宴会が始まった。するとさっそく、例のお酒を勧められた。
「ハルノリさん、これがエルフ族に伝わるゲムニです。ぜひ飲んでみてください」
そう言って彼が差し出したのは、器に入った緑色の液体だった。所々に草をすりつぶしたようなものが浮いていた。抹茶みたいな見た目だけど、それと比べると随分原始的なものだなと思ってしまった。はっきり言って、飲みたくない。そもそも、抹茶も青汁も好きじゃない。ただ、エルフ族の皆は旨そうに飲んでいるし、案外イケる物なのかもしれない。
ええい、やけくそだ!と一口飲んでみると、口の中にドロッとした液体が入ってきた。ただ、しばらくすると口の中に不思議な甘さが広がった。確かに、草をすりつぶしたような物も入ってて苦味も感じるが、それを上回るように未体験の甘味がきた。それに加えて、アルコールも全く感じないし、馴れればごくごくと飲めた。旨い!そう思っているうちに巨大な壺からドボドボと器に注いでしまう。
「これ美味しいですね!」
そう言うと、エルフの皆も「そうだろ?」と爽やかな笑みを返してくれた。こんな風にして、賑やかで温かな雰囲気の宴会は夜遅くまで続いた······
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