わ け が わ か ら な い
「ドサァァァ!」
体が地面にたたきつけられる鈍い音がした。
崖から落ちて地面につく瞬間、俺は受け身をしたので助かった。
しかしアダムは....。まあやめよう。グロテスクな描写は好きではない。
あたりには血が飛び散っている。どうやら俺の体にもついてしまったようだ。
近くの川で洗い流す。冷たい川の流れに、俺の思考も冷静になっていく。
これでアダムは始末した。あとは、この楽園でイブとゆっくり幸せに暮らすのみ。
しかし愛しのイブのもと戻ろうにも...
「この崖、どうやって登ろう....。」
ここから崖の上まではだいたい目測で107m23cmほどはあるだろうか...。
どうこうしようにもな...と、川辺で途方に暮れているとポケットの中のリンゴの存在を思い出した。
そうだ!確か俺はこの世界に来るときにあの神様みたいな女に、身体能力の魔法能力の向上を頼んだのだった(まあ、一番叶えてほしかったiphone7はあの女の勘違いによってかなわなかったのだが)。
つまり、今の強化されている身体能力を用いれば簡単に崖の上まで行けるのではなかろうか。
試しに、思いっきりジャンプしてみる。30cmほど飛んだ。ん?30cm?
あ、あれだ。きっと、筋力はついているが使い方がまだ身についていないのだろう。
まあ、魔法が残っているさ...。しかしまあ、詠唱とかは知らないので適当に唱える
「風の精霊ゼピュロスと鳥の精霊スザクに命ずる。我の体を重力から解き放ち、鳥の如き翼を授けよ!」
なにもおこらない
どうやらあの女。俺の願いを一つも叶えてはくれないようだなぁ・・・。
もうここまできたら怒る気もしない。
「登るか...。」
これでも前の世界ではエベレストくらいの登山経験はあった。これくらいの崖。わけないさ!