5パーセントの確率で本気だす
はじまる。
5月の教室。僕はまどろんでいた。というか寝ていた。
「新土器。寝るな。起きろーったくもう知らんぞ。」
そんな教師の声が聞こえたがモチロン無視だ。
4月にこの学校に入学してから全くやる気のない僕は授業中も寝ているか、スマホ(iphane7)をいじっている。将来?知ったことかよ。まーなんとかなるでしょ。
(つーか、今日はヤケに眠いな。昨日夜更かししすぎたかな...)
体が重く、頭も重い。いつもよりも深く、深く俺の意識は落ちていた。
「おっはよー!に、にいどきくん?」
目が覚めると目の前には頭の悪そうな元気な女の子がいた。
「いや、しんどきですけど」
「え?あーそうそう。しんどきくんね。うんうんうん。知ってた知ってた知ってた。」
知ったかなの?アホの子なの?
目の前の女の子はそんなミスはどうでもいいというように、どこか芝居がかったように言った
「突然ですが、あなたは死んでしまいました!ただ、キミは若すぎるし今回のことも私のミスっていうか...なんていうか?ほら?あるじゃない?誰にでもミ...」
ああ、そうか。人間は一度しか味わうことしかできないはずの死との対面があまりにも既視感に満ちていた。ああ、これはあれだ。俺のよく知るアレだ。なろうのやつだ。
「と、いうわけであなたを望みの異世界に転生させます。好きなものも一つ持っていけるわ。」
お、キタコレ。まるで将棋だな。俺の中で確定のバジリスクタイムが流れる中、だんだんに実感とともに俺の決意は固まっていた。
「じゃあ、どんな世界に行きたい?」
「楽なとこ」
「では、持っていきたいものは?」
「もちろん。アップル社のiphane7だ。もちろん、向こうでも使える状態でな!あと、俺の基本能力や魔力の底上げもだな・・・」
俺はポケットに入っていた、自慢のレッドのiphane7をバッと目の前に出した。
しかし、その勢いで手からiphane7が滑って川に落ちてしまった。まあ、iphane7は防水!安心だがな!
「拾いに行こ」
俺は愛しのマイiphane7を川へ拾い...「この川、『深い』ッッ!ッッボボボボボボボボッ!ボゥホゥ!ブオオオオバオウッバ! だずげで ..」
「あー、あの川から異世界に行けるって言おうとしたのに。せっかちね...。えっと、リンゴ何だったかしらね...。まあ、頑張って!」
そんな声が、気を失う寸前に聞こえた気がした。
「ゔ、まさかあの川があんなに深いとは。あのアマわかってるんだろうな。ったく。」
どうやら、周りの風景から俺は無事に転生したらしい。溺れたけど。
「なんかめちゃくちゃ自然っていうか、文明がある感じしないんですけど...。」
そうこうしてるうちに、ポケットの中の感触に気づく。
「お、あのクソアマもやればできんじゃん。」
と、手を突っ込む。ん。丸い。やけに球だ。取り出してみると
「リンゴ。スマホじゃなくて、リンゴだよ。あのクソアマァァァァァぁぁぁぁ。」
俺の叫びを聞いたのか、なにやら人がやってくる。ん?やけに肌色?まさか、裸?
「ど、どうかしたの?」(お、言葉は通じるようになってんのかってか、なんで裸?)
驚くほど透き通った瞳に、白い肌。痩せすぎず、肉が付きすぎない体には性?いや、生の悦びに満ちているようだ。長い髪の隙間から除くきれいな色の二つの...。
「ん?どうかしたの?私はイブ。どうやらエデンの人じゃない見たけど」
「ん?イブ?エデン?」
「あ、頭を打ったのかしら?そうよ、ここは主が与えた楽園。エデンの園。あ!あなたアダムに似てるわね。」
お?おう。どうやら俺氏、エデンの園に知恵の身を持ち込んでしまったナリ。