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お弁当 交換

新垣さんが不機嫌だ…。


いつも口も悪いし、態度も不遜だから分からない人には分からないだろうけどね。

オバチャンたちと無言でアイコンタクトをとる。


今日は近寄らないとこ~と。

え?

近寄らなかったら話が進まない?

そんなの知らん!!

あの状況の新垣さんに近づいて無傷じゃ帰ってこれないよ?


「神楽ちゃん、休憩入って~。ちゃっちゃっとゴハン食べといで」

「え?あ、は~い」

あれ?いつもより、かなり早目の休憩だな~。

と思いつつも新垣さんの射程距離に入ると危険なので いそいそと昼休憩に入る。




本日のメインディッシュは、夏バテ防止のゴーヤの味噌炒め。

「お?渋いチョイスだな」

声とともに箸が飛び込んできた。


ギャー!!なんでいるの~(泣)


「うまっ!!」

瞳孔開くかってくらい見開いて私を見た。

「今日も自分で作ってきたのか?」

「そうですけど?」

私は弁当箱を脇に隠す。

「料理上手は床上手って言うからな~」

「とこ?なんですか?それ」


誉めてるつもりですか?

だとしても、もう あげませんけどね。


「知らんのか?てっきり、またセクハラって言われると思ったのに」


はっ!?


「いい加減ほんとに捕まりますよ?」

「大丈夫だ。お前にしか言ってないから」


なら、私が訴えればイイですね。


「つうか、俺の弁当と交換しないか?」

新垣さんが袋からデラックス弁当を取り出した。

「新垣さん!!なにか悪事に手を染めたんですか?」

説明しよう。

デラックス弁当は、その名のとおり値段もデラックスなのだ!!

「あほ。このくらい買う金はあるんだよ。俺は貯金もしてるし、堅実家だからな」


へ、へ~。


「何だよ、その目は」

「いえいえ、いただきます!!」

こんなチャンス二度と来ないかも!!

私は慌ててデラックス弁当を新垣さんから もらった。

「彼女さんは作ってくれないんですか?」

「あいつは、そういう女じゃないからな。俺の方が料理うまいしな」

「そうなんですか?」


わ~!!意外だな。


「一人暮らしも長いからな。もともと料理は嫌いじゃないし」

「男の人の方が料理上手て言いますしね」

「有名な料理人も男が多いしな」

「私も殆ど目分量で同じ味になったことないですからね。家庭料理の域を越えてかないんですよ~(泣)」

そう言ってサイコロステーキにかぶりつく。

「何言ってんだよ。家庭料理ってのが一番難しいんだよ」

などとウンチクをたれながら卵焼きを口に放り込む。

とたん、目の色が変わった。


ふふん。気づいたか?


「塩味だな?」

「いえ、醤油味です」

また何時 奪われるか分からなかったから、あの日以来 卵焼きに砂糖を入れるのをやめた。

「やっぱり卵焼きは塩だな!!」

「だから醤油ですってば」

なんだかニコニコしている新垣さん。


そんなに卵焼き好きなのか?

なんだか可愛くて笑っちゃう。


「なあ、神楽」

「はい?」

「明日も弁当交換しないか?」

「はいぃ!?」


ここは女子高か!?


「正直、飽きてきてんだよな~」

ボソッと小さな声でぼやく。

「なら自分で作ればイイじゃないですか!!」

「面倒くさい」


はぁぁ!?


「明日もデラックス弁当にしてやるから」

「そんな毎日同じもん、いらないですよ!!」

「なら、季節の変わり種弁当にしてやる」

「…!?」


あの無駄に具材の種類が多くて儲けが少ないと言われてる幻の弁当!?

安くて旨いらしいが、数量限定のため従業員は買っちゃダメなのだ!!(泣)


「フロアマネージャーの権限で一つ買ってきてやる」


う、うわ~(泣)

食べたい!!


「わ、分かりました。でも、明日だけですからね!!」

「とりあえずな」





とりあえずって何だ~!!

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