見てるとこ見てるね!!
「新垣さん、彼女って どんな人なんですか?」
「普通の人」
て、てめ~!!
「お嬢様みたいに可愛い人なんでしょ?」
「お嬢様の定義が分からん」
素っ気ないな~。
まぁノロケられても嫌なんだけどね。
でもさ、地味にショック受けてんだよ~(泣)
こんな性格だし絶対 彼女いないと思ってたからさ~(泣)
高校からってことは最低でも10年かぁ。
10年前って言ったら私8歳よ?
新垣さん犯罪者になっちゃうわ~て、なんのこっちゃ。
「どっちから告白したんですか?」
「忘れた」
忘れるもんなの!?
するにしろ、されるにしろ私なら絶対忘れないわ!!
「お前うるさい。くだらんこと言ってないで手を動かせ!!」
「は~い」
二人並んで割り箸を箸袋に入れる内職?をしてる。
厨房のアルミの壁に180以上ある新垣さんとのツーショットが写し出される。
まるで小学生と父親だな~と、思っていると新垣さが肘で肩をつついてきた。
「んで?」
「はい?」
「就職活動どうよ?」
そ、それは、願書を持ってこいって脅しですか!?
「また変なこと考えてるな」
呆れたようにため息を吐く。
「俺はコロコロ仕事を変えるヤツは好かん!!堪え性がない上に責任感もない」
うわ!!
始まるか!?説教タイム(泣)
「だから真剣に考えて仕事を選べ!!高卒が入れる会社は限られてくるかも知れないが、どんな職場でも一生懸命働けば何とかなるもんだ」
「はい…」
「お前は覚えが悪いけど、場の空気を和ませる。人当たりがいいし、年上受けもイイ。きっと、どこに行っても可愛がられるはずだ
」
う、うわ~(泣)
「どうしたんですか!!新垣さんのくせに優しいこと言って!!偽者ですか!?」
「てめぇ!!泣かすぞコラッ!!」
いえ、じゅうぶん泣きそうだよ~(泣)
新垣さんが私のこと そんな風に思ってくれてたなんて!!
確かに私は覚えが悪い。
きっと一緒に働く人たちに迷惑かけてる。
私にできることは、与えられた仕事を一生懸命やることだけ。
「まぁ引き取り手がなかったら正社員で取ってやるから思いっきり体当たりしてこい」
正直、彼女の存在が気にならない訳じゃないけど、最初から私は新垣さんのストライクゾーンから大きくかけ離れているだろう。
なら、こっそり片思いしていてもイイよね?
「新垣さん今日はメッチャ優しいですね~」
「ばかやろう!!俺はいつでも優しいんだよ」
「ソウデスネ~」
「お前の言葉には心がこもってない!!」
「ひどっ!!メッチャ込めてますよ!!愛にあふれてますよ!?」
むしろ新垣さんより心ありますよ!!
「まぁいい。とりあえず何かあったら いつでも言えよ」
「お、お父さ~ん(泣)」
「誰がお父さんだ!!」
ペシッ!!
「痛っ!!」
新垣さん、食品衛生上その箸は箸袋に入れないでくださいよ!!