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この恋に殉ずる(完結版)  作者: 熱湯甲子園
おまけちゅ
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いつか君も その恋に殉ずる?

「あ、新垣くん!!」

部活の帰り、自転車置き場で呼び止められた。

「……なに?」

相手は同じクラスの沢口さんだ。

「あ、あの……」

頬を染めて言い淀む。


確か彼女、今日 日直だったな。

オレ、なんか出し忘れたもんあったか?


頭の中でクエスチョンが並ぶ。

「新垣くんて付き合ってる子いなかったよね?」


!!!

こ、これは最近 流行ってる『告白』ってヤツか!?



中学生になって、急に皆 恋だ愛だと騒ぎだした。

最初は目立ったヤツらが付き合いだして、だんだんクラスの大半がカップルになってきた。

可愛い子なんて順番待ちだっていう おかしな展開だ。


だいたい『恋人』と『友達』は何が違うんだ?


「新垣くん?」

「あ、ああ。い、いないよ」

若干、意識が遠くに飛んでしまってた。

「やった!!なら付き合ってよ」


『なら』の意味がよく分からないけど、まさかオレが流行りに乗るような瞬間がくるとはね……。


「あ、うん。い、いいよ」

特に沢口さんを意識したことなかったけど、このやりとりだけで心臓が口から飛び出そうだ。


これが恋ってヤツなのか?

少子化で男子も女子もなく一緒に遊んでた面子で恋愛なんて できないと思ってたけど、意外と大丈夫なんだな……。


なんて他人事みたいに思う。

「じゃあ一緒に帰ろ!!」

「え?あ、いや。だってオレ自転車だし」

「え~。ひいて歩いてよ。アタシ、彼女だよ?」


えーーーーーーー!!

そんなクソ面倒くさいことしなきゃダメなの!?

確かに先輩とか自転車ひいて歩いてたけども。


「きょ、今日オレ用事あるから早く帰んなきゃ、だから……」

「え?そうなの?じゃあ仕方ないね。明日は絶対一緒に帰ろうね!!」


絶対なのーーー!?


驚愕に目が これ以上ないくらい開く。


え?なに?

皆こんなことするために付き合ってんの!?

これ流行ってる意味が分かんないよ!!


「じゃあね!!バイバ~イ」

「さ、さよなら……」

軽快に駆けてく沢口さんを見送りながら、本当に付き合って大丈夫なのか?と自問自答していた。










「蓮、おかえりぃ」

家のリビングで何やらゴソゴソ作業してる 母さんが声をかけてきた。

クラスの女子より精神年齢 低いんじゃないか?と思うほどポンコツだが掃除や料理は完璧で今も部屋の模様替えの真っ最中だった。

「ただいまぁ」

その背中にドサッと乗っかる。

「いててて。あんたもう大きいんだから、母さん潰れちゃうよ~」


体も小学生で止まったの?てくらい ちっこいもんな。


「耐えて」

「え、えーーー!?」

重い重いと騒ぐ 母さんに さらに体重をかける。


重いよね。

小5で身長越えたからね。

サッカー部で鍛えてるから見た目より体重あるしね。


「なんかあったの?」

オレの下から なんとか這い上がってきて、頭を よしよしされた。

「子供じゃないから……」

とだけ言ってみる。


……言っとくけどマザコンじゃないから。

今の時代 普通だから!!


と、誰とはなしに言い訳してみる。

「なんかあったの?」

再度 聞かれる。

「……告白された」

「きゃーーーーーーー!!」

「うるさい!!耳元で叫ぶな!!」

ポンと押せば 母さんは、ふかふかカーペットに転がってく。

「やだぁ!!何それ何それ~!!」

語尾にハートマーク何個ついてんだよ!ってくらいデレデレな顔して転がり続ける。

「うるさい!!」


あ~やっぱ母さんに言うんじゃなかった。


オレはカバンを持って立ち上がる。

「え?ま、待って待って!!も、もっと話を聞かせて~!!」

「絶対いや」

「う、うわ~ん!!」

追いすがる 母さんを振り払って二階に上がる。

どっと疲れが出たオレの耳に さらに追い討ちをかけるような 母さんの声が響いてきた。

「もしもし!!征二さん?蓮に、蓮に彼女ができたよーー!!」





まーーーーじーーーーかーーーー!!


父さんが面白がって聞いてくる姿が頭に浮かんだ。

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