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この恋に殉ずる(完結版)  作者: 熱湯甲子園
お仕事ちゅ
61/68

もやもや……

セイジって新垣さんなの?


新垣さんの元カノは並木さんなの?


二人は連絡とって会うの?


もやもやする。

もやもやする……。
















て、もう!!

こんな状態で何も聞かないなんて無理!!(泣)


私は新垣さんに今すぐ会いたいってメールした。





いつものロータリーに青いスポーツカーが停まる。

「お前、俺が早番だったから良かったけど こんな時間、普通に仕事だからな?」

少し呆れたように言う。

「どうしても会って話がしたかったんです!!」

「お、おう」

戦闘体制でギラギラしている私に少し のけぞりながら車を走らせる。

「どっか入った方がイイか?」

「いえ……」

「んで、その話ってのは俺がハンドルを切り間違える可能性のある事か?」

「あ、あるかもです」

「……なら、どっか脇道に停まるわ」







「んで?話って?」

「い、いきなりですか」

「いきなりです」


意気込んでメールしたけど怖じ気づいてます~(泣)


「大事な話なんだろ?早く言え」

ほいっと缶コーヒーを渡され、うながされる。

「あ、新垣さんの元カノって並木 智恵子さんですか?」

「……なんで?」


なんでって、なんだよ~(泣)


「あ、あの、同じ寮の人で。さ、最近 彼氏さんと別れたそうで……」

「うん」


うん、て~(泣)


「こ、工場長の息子さんが、その、別れた人のことを…セ、セイジって言ってまして……」

「うん」


だから、うん、て なんだよ~(泣)

どっちなんだ!!


「並木さんの部屋に新垣さんの好きなブランドの小物があったり、あんまり料理 得意じゃなさそうだったり……」

「得意じゃないって?」

「あ、いや……。スゴくスゴく美味しい冷凍食品を出していただいて、ですね」

「ぶふっ!!」

「ちょっ!!なに吹き出してるんですか!!」

「ははは。悪い悪い」


なんで笑ってるの~(泣)


「もう!!さっきから なんなんですか!!私の質問に答えてくださいよ!!」

ひとしきり笑って目元の涙を拭う。

「え~と、なんだっけ?ああ、元カノか?ってヤツだったな」

「そうですよ!!」

「ビンゴだ」












え?


「いやぁすげぇ偶然だな」


えーーーーーーーー!?



「マジですか!?」

「マジですよ?」

「うそ~!!」

「嘘って お前…分かってて聞いたんじゃないのか?」

「だって、だって、だって~!!」

「うるさい。とにかく落ち着け」

ポンポンと太ももを叩く。


むむむ。


「んで?あっちにも聞いたのか?」

「聞けませんよ!!」

「なら放っとけ」


え~!?(泣)


「別にアナタノ カレシ トリマシタ~なんて自己申告する必要ないだろ?」

「だから私のモノマネ気持ち悪いって何度も言ってるじゃないですか!!」

「ははは。まぁ多少かぶってるが向こうは知らないことだし、あえて教えることでもないだろ?それとも言いたいか?私が取りましたって」

「そ、そんなこと言えるわけないじゃないですか!!」

「なら何も問題ない」


え、え~(泣)


「お前が悩むことも気にかけることもない。お前は何も悪くない。俺が心変わりしたんだからな」

「そんなっ!!それじゃあ新垣さんだけが悪いみたいじゃないですか!!」

「俺だけが悪いんだよ。お前をふって あいつと生きる道もあったんだよ。でも俺は お前を選んだ。選択権は俺だけに あったんだよ」


新垣さん……。


「だから気にするな」

「……あ、新垣さんだけが悪いってのは やっぱり嫌です」

「頑固だな」

「きょ、共犯、です」


新垣さんが悪いなら私も悪いもん。


「共犯、か……。それで お前の気が済むなら ご自由に」

困ったヤツだとでも言うように笑った。




「つうか、あっちも そんな気にしてないだろ?」

鉢合わせが嫌だから少し遠くで降ろしてもらう予定でドライブがてら寮に向かう。

「そ、そんなことないですよ。プロジェクト?が成功したから連絡するって言ってました」

「プロジェクト?ああ、成功したのか……」

ほっとしたような横顔。

「気になります?」

「そりゃな、あいつ頑張ってたからな」


それは新垣さんとの結婚のために……ですよね?


「あの……」



プルル、プルル、プルル


ふいに新垣さんの着信音。

「お?噂をすれば、か?」

「な訳ないでしょ!!」

路側帯に車を寄せる。

カバンから携帯を取り出す。










画面には『並木 智恵子』


うそーーーーーーーー!?(泣)

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