表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この恋に殉ずる(完結版)  作者: 熱湯甲子園
片思いちゅ
5/68

甘いのは、お好き?

午後2時。

かなり遅めの昼ごはんを食べるべく、休憩室に向かう。

本日の弁当のメインディッシュはハンバーグだ。

ウキウキしながらドアを開けると、新垣さんがいた。


うお!?


「神楽も休憩か?」

「は、はい」

長いことバイトしてるけど、新垣さんと昼休憩ガブるの初めてだわ。


目の前で食べるのは恥ずかしいけど かなり嬉しいな~。


「お?手作り弁当か?」

「家計が厳しいので…」

「主婦か!!」

「あははは」

そういう新垣さんは売店で買ってきた幕の内弁当だった。

「作ってくれる彼女いないんですか?」

思わず呟くと、スゴい嫌そうな顔で睨まれた。

「現場のものを食べるのも仕事のうちだ」

「へ~。ソウナンデスカ~」

「その言い方、心こもってないな。信じてないだろ?」

「い、いえ。別に…」

低く唸る新垣さんにビビるふりをして、さり気なく彼女がいない事を確認できた。


よっしゃあああ!!

まぁ28にもなって彼女の一人もいないってのも どうかとは思うけどね(笑)


「今、失礼な事を考えたな?」


ぐふっ!!


「い、いやいや。何にも考えてません!!」

「お前は顔に出るんだよ!!」

そう言うと、私の弁当に箸を突っ込み卵焼きを奪った!!

「うわっ!!ちょっと!!」

慌てる私の目の前で卵焼きは新垣さんの口の中に吸い込まれた。

「ぐほっ!!甘っ!!」

「ええ!?」

「卵焼きが甘いなんて、ありえん!!」

「うちでは、こうなんです!!」

「お菓子かっ!!」

「勝手に食べといて文句言わないでください!!」

「俺、甘いの苦手」

そういうと幕の内の卵焼きを箸で掴んで私の口に放り込んできた。


むぐっ!!


「卵焼きとは、こうあるべきだ」

「…これ、だし巻きですよ?」

「味の話してんだよ。こういうのが好きなの!!」


好きなの!!って子供か!!


「砂糖入れて焼くのって大変なんですからね!!すぐ焦げちゃうから早く巻かないと見た目悪くなっちゃいますから」

「なに?コレ、お前が作ってくんの?」


さも意外そうに見てきやがって!!

カッチ~ン!!


「もう大人ですからね!!料理くらいできないとお嫁に行けませんから!!」


あ…作者が目をそらしたな。

て、いやいや。


「嫁にいく気なのか?」

「食いつくとこ そこ!?」

「いやぁ、ことごとくイメージを覆してくると思ってさ。料理といい、胸といい」


そういう新垣さんだって、いつものクールビューティーどこいった!!


「新垣さん、いい加減セクハラで訴えますよ?」

「ははは」


内容が内容なんだけど、こんなに会話が続くのも初めてだな~。


「新垣さんが こんな人だとは思わなかったですよ。

研修期間はスゴい優しくて真面目でイイ人だと思ってたのに」

クドイ顔だけど、笑顔が爽やかで大人の男の色気ってのにノックアウトだった。

「ばかやろう。俺は今でもスゴい優しくて真面目で格好いいんだよ」

「格好いいとは言ってませんけど…」

「だいたいな!!人を雇うってのは大変なんだよ。まず募集しても なかなか来ないし、慣れる前に辞めちまうし。そういうのはな、責任者である俺の査定にも響くんだよ!!」

「う、うわ~(泣)まさかの自分のため発言…」

「当たり前だ!!それが社会だ!!大人の世界だ」






あちゃ~。言い切っちゃったよ、この人(泣)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ