貢がれました
「新垣さん、クラゲってメッチャ綺麗ですね!!」
「人気があるのも 頷けるな」
今日は ちまたで人気のクラゲ水族館へデート。
平日だけど混んで混んで歩けないということはなかったが人が多く、迷子になるからと新垣さんに手を握られている。
そんな子供じゃないのに!!
不満はあるが嬉しいから我慢して繋がれたまま歩く。
新垣さんのスマホからの情報を耳に入れながら、時々 立ち止まって写真を撮る。
新垣さんはメッチャ嫌がったけどツーショット写真も何枚か撮った。
自撮り棒などという文明の力はないから二人の顔が画面に入りきらないけど、それがまたイイ感じだと私は思っていた。
「クラゲって そんなに気にして見たことなかったけど、こうやって大きな水槽に入れられてると圧巻の光景ですね!!」
「そうだな。何時間いても見飽きないな」
知らず肩を寄せあいながら見上げる。
この癒しの空間は恋人たちの距離も縮めてくれるみたい……。
「持って帰りたいくらいですね」
「そりゃ無理だ」
「……分かってますよぉ」
ムードないなぁ(泣)
「また連れてきてやるよ」
ポンポンと頭を叩かれて歩き出す。
デートの約束が増えていく。
いついつに行く!!とかではないけど、胸が暖かくなっていく。
約束があるって こんなに嬉しいことなんだ。
「さて、これから どうする?三周目も回るか?」
一周目は新垣さんの説明つき、二周目は新垣さんが堪能するように眺めていた。
ゆっくり ゆっくり見たから見逃したとは思わないので首を振る。
「それより お腹すいたので何か食べたいです」
「そうだな。じゃあクラゲでも食うか?」
「え、えーーー!?」
「ちょっ!!お前 声でかいわ!!」
口を塞がれて モガモガする。
新垣さんだって今の声でかいですよ~(泣)
「ここは展示だけじゃなくてクラゲも食えるらしいぞ?」
えーー!?
「刺身てのがあるらしい」
え、え~(泣)
「んだよ。真っ先に食いつくと思ったのに」
ちょっと拗ねたように呟く新垣さんは少し可愛いけど、これは却下!!
「さすがに あんな綺麗なものを見せられて、それを食べる気にはなれません」
「意外に繊細……」
「なんか言いました?」
「いや別に……」




