表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この恋に殉ずる(完結版)  作者: 熱湯甲子園
ラブラブちゅ
42/68

ダブルデート

「………デートコースを決めたのは誰だ?」

地を這うように低く新垣さんが聞く。

「わ、私です」

「……だろうな」

すぅぅぅと大きく息を吸い込むと、私の顔を見た。

「こんな真冬に動物園とか、お前はアホだろ!!」


ひええええええ!!


「だ、だってデートて言ったら動物園か水族館だと思ったんですよ~」

「ならせめて水族館にしてくれ!!」

静かな園内に新垣さんの声が木霊する。

今年一番という寒波がきている本日、客らしい客はいない。

「見ろ!!猿山にさえ猿がいねぇじゃねぇか!!」

ビシッ!と指差すけど、あんな遠くの山なんて見えませ~ん(泣)

「まぁまぁ落ち着け、征二」

苦笑いしながら辰吉さんが新垣さんの肩を叩く。

「甘やかさないでください」

「俺が動物園に乗せてきたんだから俺も同罪だ。だから このくらいで許してやれ。神楽ちゃん泣きそうだぞ?」

辰吉さんが よしよしと背中を撫でる。

「……はい」


はいって言ってるけど全然 納得してませんよね~(泣)

ごめんなさ~い(泣)


「と、とりあえず気を取り直して なんか見に行こうよ!!」

夏樹が必要以上に大きな声で盛り上げる。


ごめん、気を使わせて~(泣)


「俺、シロクマ見たい」

「ならシロクマに行きますか」

ささっと園内地図を見て歩き出す。









シュンとして歩き出す私の横に いつの間にか新垣さんがいて、また怒られるのかと身をすくめると そっと手を握られた。

「皆で行動する時は気候や体調なんか気にかけて場所や時間を決めないとダメだ」

「は、はい」

「……だから行きたいとこは二人だけのときにしろ」


え?


「全部 連れてってやるから ちゃんと周りの人に気を配れる人になれ」

「は、はい」

ギュッと軽く握って、すっと離れる手を名残惜しく見つめる。


やっぱり怒られた……怒られたけど、全部 連れてってくれるの?

呆れられて、嫌われたと思ったのに……。


視界の端で夏樹が心配そうに見てる。

それを笑顔で返して新垣さんの横までダッシュする。

「私、シロクマの後キリンが見たいです!!」

「わかった」

私の背中をポンと叩いて また地図を広げた。

その様子を辰吉さんも ホッとしたように見つめる。


ごめん、二人とも気を使わせて。ちゃんと楽しいダブルデートになるように頑張るね!!


「いや、お前は普通に楽しんどけ」

「あれ?心の声出てました!?」

「気合い入れた顔したからな……」


わぁ、よく見てますね~(泣)









最初は どうなるかと思った動物園デートも新垣さんの的確な処理能力で最短距離で見たいとこを見れたし、いつもは気にしてなかった貴重な動物を見れたり楽しかった。

スマホ片手だったけど園内の説明書きより詳しく教えてくれるから下手なガイドなんて目じゃないくらいだ。


「征二と一緒だと動物園が三倍楽しいな」

辰吉さんが焼きそば片手に笑う。

「うんうん!!動物園なんて一回くれば充分だと思ってたけど何回も来たくなるわ」

夏樹も ご満悦だ。

「スマホの おかげですよ」

新垣さんも まんざらでもない微笑みをたたえながらコーヒーを飲む。


新垣さん……かっこいい!!


「神楽ちゃんの目がハートマークだね」

辰吉さんが笑う。

「えーーー!?」


確かに顔が熱いとは思ってたけど~(泣)


「神楽も楽しい?」

夏樹の問いに笑顔で答える。

「うん!!メッチャ楽しい!!」

そんな私を新垣さんが優しく見つめてくれた。





ありがとう、新垣さん!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ