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バーベキュー

『バーベキュー、この日に決まったけど空いてる?』

夏樹からのメール。

『空いてるよ~』

シフトを見ると、ちょうど休みだったのでOKの返事をする。

『9時に迎えに行くから可愛い格好で待っててね』

語尾にハートマークまでついた夏樹のメールに違和感を覚える。


…なんか怪しいな。


『バーベキューだよね?格好が関係あるの?』

『ある(笑)』


か、簡潔だな~!!

しかも(笑)って何だよ!!

行きたくね~な。




そう思いながらも当日になれば言われた通り、可愛い格好と呼ばれる姿で門の外で待機していた。

いつ何時また新垣さんから誘いがあるか分からないからと、夏樹がくれた真っ白なサマーニットのワンピース。

透け感を利用して中に黄色のキャミワンピを着ている。


でもこれって…。


「バーベキューには合わんな…」

間違っても食べこぼせん。


き、着替えてくるかな~(泣)


なぁんて考えていたら、目の前に青のスポーツカーが止まった。


え…?


助手席の窓が開き、

「俺は、お前のアッシーか?」

と、新垣さんが言った。




「アッシーってなんですか?」


ネッシーの親戚か?


「…何でもない。バブルの残骸だ」


バブルって、新垣さんも体験してませんよね?


「それより、そんな格好で大丈夫か?タレこぼしたら帰りは送ってやらんからな!!」

シートが汚れるとばかりに息巻いてるけど、帰りも送ってくれるらしい!!

「絶対汚しませんよ~」


…夏樹のハートマークは、この事だったんだ!!

ありがとう!!感謝いたします(笑)


「でもビックリしました。新垣さんも誘われてたんですね!!」

「お前が来るって知ってたら来なかったよ」


ギャー!!ヒドイ(泣)


「辰吉さんに言われたら断れね~だろ」

「そんな弱味握られてるんですか?」

「ここで降りるか?」


いえいえ~(泣)


ちょこっとぶりの新垣さんの車は、お馴染みのBGMを流しながら目的地へと走っていくのだった。









「おお!!来たな、お二人さん」

辰吉さんが薪を抱えて笑顔を見せる。

「ども」

「今日は、よろしくお願いしま~す」

「神楽ちゃんは、あっちで調理手伝ってきて。征二は薪を運べ」

「は~い」

涼しげな川の畔のキャンプ場。

総勢20人は居そうな感じ。


これも辰吉さんの人望の現れだよね~!!

中学高校の連れからサーフィン仲間、出会いはそれぞれだけど皆メッチャ仲良しなんだよね~。


「神楽」

ぽんと肩を叩かれた。

「夏樹~!!もうスゴいビックリしたよ~!!」


新垣さんが来るなら来るって言ってよ~(泣)

「でも嬉しいだろ?」


ま、まぁね(笑)


「神楽ちゃん、久しぶり~!!一緒にきた人は彼氏?」

辰吉さんの中学の同級生だという絢音あやねさんがニコニコしながら聞いてきた。


いや~ん(笑)


「そんなんじゃないです~!!」

「これからってとこですよ。まぁ還暦迎えるまでには彼氏になってくれるかもね」


夏樹~!!


ポカッと背中を叩く。

「そうなんだ~(笑)でも、どっかで見たことあるんだけどな~」

「たっつんの知り合いでもあるから見たことあるかもね~」

「そか~」

串に刺された具材を並べ、焼きそばやらイカ焼きやら鉄板で焼く。

「神楽ちゃん、さまになってるね~(笑)」

「まいど~!!一皿500円ね~!!」

「高っ!!」

なぁんて やり取りをしていたら、新垣さんが寄ってきた。

「一皿くれ」

「あいよ!!」

と手渡しても、なぜか傍を離れない。


まさか…。


「ぼっちだと思われるのが嫌なんですか?」

「死ぬ気か?」


わ、わ~(泣)

ビンゴか~!!


「しゃあないですよ。新垣さん初参加ですからね!!皆いい人ばかりだから すぐ友達できますよ!!」


…新垣さんがいい人かは別としてね~(笑)


「お前は顔に出るって言ったよな?」

「ははは…」


あっち行けって言ってやろうかしら…。


ギャーギャー騒いであると、辰吉さんのサーフィン仲間が こっちを見てた。


ん?

ち、近づいてきますね…。


「なぁ、もしかして、征二か?」


ん?

「…隆たかしか?」


「おお!!マジか!!うわっ!!すっげ~久しぶりだな~!!」


んん!?


隆と呼ばれたその人は懐かしそうに新垣さんに駆け寄る。


でも、新垣さんは あんまり嬉しそうじゃない、よね?


「ええ!!どっかで見たことあると思ったら征二くん!?」

さっき新垣さんを見たことあると言っていた絢音さんが懐かしそうに駆け寄る。


な、何?


私が戸惑っていると、夏樹が小さくため息をついた。

「神楽、ちょっと来て」

「え?あ、うん…」




なんだか神妙な顔をした夏樹の後ろをついていく。

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