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猛獣使いの称号

そういえば…。


「新垣さん、今日は何かあったんですか?」

「んあ?」


満足気に食後のお茶を飲んでますけど、さっき誰一人寄せ付けないくらいの黒いオーラ出してましたよね?

お腹いっぱいになったから機嫌直った?

て、子供か!!


「ああ…。ちょっとな」


あれ?

新垣さんが言葉をにごすって初めてじゃない?


「使い込みがバレたんですか?」

「…お前は、どうしても俺を犯罪者にしたいらしいな」


そ、そんな事はないですけどね~。


「大人には色々あんだよ」


こ、これは、もしかして彼女と別れたとかかな?


「新垣さん、私で良ければ話ききますからね!!」

そう力説すると、心底嫌そうな目で見てきた。


な、なんだよ~(泣)


「それより火傷の痕は残ってないか?大丈夫か?」

「ええっと。あんま、見てないけど大丈夫だと思います…」

「見てね~のかよ。それでも女か!!」

「ええ!?いや、だって見にくいし…」

首痛くなるし。

「なら、俺が見てやろうか?」

「訴えますよ?マジで」

「あははは。なんかセクハラネタが定着してきたな」


愉快そうに笑ってますけど、これ絶対 人聞き悪いですよ?


「お前と話してると考え込んでるのがアホらしくなるな」

「どういう意味ですか!!」

「そういう意味だよ(笑)」

頭をガシガシ触って、新垣さんが立ち上がる。

「さぁて!!午後からも頑張りますかね~」




ほんとにアホらしくなったのか不機嫌オーラもなくなり、いつもの新垣さんらしく黒い発言を繰り返していた。


ん?

これって、さっきとどこが変わった?


「神楽ちゃん、ありがとね~」

「さすが神楽ちゃんだ~」

調理場に戻るなりオバチャンたちに お礼を言われた。

「何がですか?」

「新垣さんとランチしてくれたでしょ?機嫌直ったみたいで良かったわ~」

「ね~!!神楽ちゃんと話したら機嫌直るはずって話してたのよね~」

「ええ!?」


お、おかしいと思ったんだよ!!

いつも2時くらいに昼休憩なのに今日は いきなり行けって言われたから!!


「私は生け贄ですか!!」

「そんな事ないわよ~」

「でも、また何かあったら よろしくね~」


ええ!?(泣)








「てな事があったんだけど、どう思う!?」

今日は塾帰りの夏樹と待ち合わせて、私の家でお泊まり会。

一緒にキッチンに立ちながら、今日あった事をツラツラ話す。

「良かったじゃん。猛獣使いの称号をもらえて、レベルが上がったな」

「そんなもん、いらん!!」

「でもまぁ彼女と何かあったのは確かだね~」

「だよね!!」

「まずは胃袋を掴めって言うから、とりあえず豪華な弁当でも作ってみたら?」

「弁当かぁぁ。でもさ、あなたのためです感が出すぎたら引かれない?」

「いやたぶん大丈夫。あんたらの関係に色っぽい雰囲気なんて皆無だから!!」

「そ、そこは、これから何とかする!!」

「てかさ、アタシも一度その新垣さん見に行こうかな~」

レタスちぎりながら夏樹が言う。

「まじで?」

「うん。最近デートもマンネリで行くとこなかったからさ~」

「おお!!辰吉たつよしさんと来るのか!!いいね、それ」


久々に会うわ~。


夏樹の彼氏は30歳のバツイチさん。

共通の趣味のサーフィンがきっかけで付き合い出した。

「お互い年上趣味だからな~。夏樹も惚れちゃったら困るな~」

「いや、それ絶対ないから!!」

すごい嫌そうな顔で全否定された。






……そっかぁ、辰吉さん大好きなんだな~(笑)

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