フロンティア第一章11
このところ仕事が忙しくてなかなか作業が進みませんでした。
次話はもう少し早く投稿できるよう頑張ります!
宇宙歴182年
人々の記憶からソリテールの脅威が薄れつつある中、宇宙連邦本部では引き続き惑星エデンの調査を実行する為にソリテールとの戦闘に向けた準備が着々と進められていた。
宇宙連邦本部では人工生命体の量産化に向けた準備が整い始めすでに300を超える人工生命体が創られ始めていた、最も性能としての面ではフェイトやユフィーリアには及ばないまでも軍人としての訓練をしている人々を凌ぐ程度の力を持たせたもので今後も改良を加えながらも性能としてはそれほど変わらない人工生命体が生み出される予定となってた。
一方で人工生命体が搭乗する予定のエスポワールも地球や人工島で開発されておりそれに加えてフェイトにはこれまでの第一世代エスポワールにユフィーリアの新型エスポワールから得られたデータを組み込みフェイト専用のエスポワールも開発を進めていた。
そしてこれまでエスポワールに搭乗していたパイロット達もそれぞれの適正に合わせて細かく分けられそれぞれの役割を全うする為により実践的な訓練へと移行していた。
そしてユグドラシル計画の中心となっているフェイトには今現在いくつかの問題が生じていた。
1つ目はここ最近ルーシェとユフィーリアの仲がこれまでよりも悪くなりお互いが言葉を交わすこともほとんどなくなっていた、どうしても口頭で伝えなければならないこと以外はメールなどのやり取りだけで済ませているようでフェイトがいる場ではお互いにけん制し合うかのように鋭い目つきでにらみ合っている。
2つ目は量産化された人工生命体の戦場での指揮権はフェイトに一任されることになりフェイトは人工生命体を指揮しての作戦の立案や人工生命体の適正に合わせて部隊を分けなければいけなくなり大いに頭を悩ませていた。
人工生命体は基本的には皆同じ性能を有していることになっているがそれでもわずかながらに個々の適正は分かれる、フェイトと同じデータを使って生み出されたユフィーリアとフェイトでは得意とする分野が違うことから量産化される人工生命体もまたそれぞれの個性と言えるものが存在するであろうと予想されていた。
3つ目はフェイトに与えられた指揮権は人工生命体に対するものだけであり一般の兵士が搭乗しているエスポワールに対しての指揮権は与えられていないため必然的に兵士側の指揮官とのコミュニケーションも必要となりお互いに相手の邪魔をしないためにも多くの意見を交わすことが必要だった。
これらの要因に加えフェイトは自身のエスポワールの調整や人工知能の調整、ハーロット総督との意見交換、フリージア博士との予想されるソリテール側の迎撃の対策など多くの役割があり日々奔走していた。
そんな忙しい日々も今のフェイトにとってはこれまでの生活よりも充実した生活となっており彼自身は今の生活を楽しんでいた。
「ユフィーリア、今日地球から届く新武装の詳しいデータが見たいのだが頼めるだろうか?」
ユフィーリアが第八研究所から命令を受けてここに住むようになってからずいぶんと時間がたったが当時フェイトやルーシェが考えていたような不穏な動きは一切なくむしろ最近では積極的に協力してくれている、それでもルーシェは最低限の警戒はしているようだがそれもここ最近はあまり目立った様子はない。
「わかったわ、どの道私が運用するより貴方の方がうまく使えそうな武装だから実際に試してみてから貴方に相談するつもりだったし」
惑星エデンの調査が引き続き継続されることが決定してから宇宙連邦本部はこれまでの失敗から地球でもエスポワールの新武装の開発や改良も協力して行われたそのためこれまでは地球側には公開されることのなかったデータも次々と公開されそれを地球の技術者たちがこれまでの経験から無駄を省きより効率的になるように改良を続けている、その武装は一定の期間ごとに宇宙連邦本部に送り届けられ実際に使用して必要なデータを取っている。
そこから見つかった問題などを再び地球の技術者たちに連絡しまた改良の繰り返しである。
そして今回届く新武装は地球の技術者たちがソリテールとの戦闘に向けて独自に作り出した武装となっている。
だが今回その新武装を開発したのが第八研究所の支援をしている国であるため武装が直接宇宙連邦本部に届くのではなく第八研究所を経由されるためフェイト達が今現在の段階で詳細なデータを確認するためには第八研究所からデータをもらうしかない。
「私もどういった経緯で作られたのかまでは聞いていないから一度研究所に戻ってから合流するわ」
「了解した、武装が届くまでに必要な準備は済ませておく」
今後の予定を確認すると部屋を出てそれぞれの役割を果たすために分かれていく。
フェイトの存在が公になってからエスポワールの調整進める場所も地下格納庫からより広く安全性にも配慮された第一アリーナが使用されている。
フェイトが到着したときにはすでにほとんどの準備が完了しておりすでに地球から届く予定の新武装を待っている状態だった。
「フェイトおはよう、予定している新武装は問題なく届くそうよ。準備ももう終わっているから届き次第すぐに始められるわ」
「了解した、ユフィーリアが第八研究所から新武装に関しての資料を持ってきてくれるようになっているから新武装が届くまでにある程度読んでおきます」
フェイトがそう答えると目に見えてルーシェの機嫌が悪くなった。
最も今ここにユフィーリアがいないためそれで何か問題が起こるわけではないのだがフェイトとしては仲良くしてもらいたいと思いながらもそれぞれの立場があるため口を挟むようなことはしていない。
「そう、そう言えば今回作られた新武装は第八研究所と関係のある技術者たちが作ったそうだものね。使い物にならないようなものでなければいいけどね」
「確かに第八研究所との関連はありますが彼らにもプライドがあるでしょうから使い物にならないようなものをわざわざ宇宙にまで持っては来ないでしょう」
「そうね、あれでもプライドだけはあるものね」
多くの技術者たちがエスポワールの新武装や新システムなどを開発しては宇宙連邦に持ち込まれているがこれまでに正式採用されたものは非常に少ない、理由としてはこれまでに実用性のある武装やシステムなどはすでに宇宙連邦の技師たちにより検証されており地球から送られてくる多くの物はすでに検証されていたからであるその中でも採用された新武装の代表としてあげられるのは多目的マルチランチャーである、マルチロックオンを搭載しておりミサイルに搭載する弾頭により多くの効果が得られる、これまでエスポワールに搭載されてきたのはエネルギーシステムを利用したものばかりであり実弾を用いた武装が開発されていなかったため正式採用となっていた。
そうした中今回宇宙連邦に送られてくる新武装はほとんど詳細が公開されておらずどういったものが来るのか知っているのはごくごく限られた一部の人物となっていた。
「フェイト今回の新武装がもし正式採用されたら第八研究所はこれまでよりもより多くのことで私たちの計画に干渉してくると思うからくれぐれも警戒だけは怠らないでね」
「確かにそうなる可能性はありますが今の状況で第八研究所がこちらに干渉したところで利点になるものがあるとは思えないのですが」
「例えすぐさま結果が出なくともこちらに対しての影響力を手にするだけでも向こうにとっては大きな意味があるのよ、これまではハーロット総督とフリージア博士だけで計画の方針を決めて来たけど今回の新武装が正式採用されればこちらの情報も向こうに共有しないといけなくなるわ。そうなったとしても向こうはこちらに新武装のデータだけ渡せばいいわけだけどこちらが渡す情報は常に新しい生きた情報なのよ」
「なるほど、確かにそうなればこちらにとっては都合が悪くなりますが第八研究所が宇宙連邦本部にとって代わるようなことはないと思いますが?」
「そうね、でも向こうがトップになる必要はないのよ、こちらへの影響力さえあればそれだけである程度の発言力が手に入るもの、そうして自分たち同調する人たちだけを集めていけば宇宙連邦本部も無視できないだけの力を手にすることが出来るもの。だから決して油断しないで、ユフィーリアとの距離間も決して見誤らないでね」
「了解した」
フェイトとしては理解は出来ても納得が出来るかどうかと聞かれれば納得できないものであったがルーシェが決して冗談半分で言っているわけではなく現実的に考えてそうなる可能性もあるのだと言われればフェイトもそれを無視することは出来なかった。