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フロンティア  作者: kisuke
19/20

フロンティア第一章10

前回の投稿からずいぶんと間が空いてしまいすいません。

GW中はいろいろと忙しくてなかなか続きを書く時間が取れませんでした。

 宇宙歴182年


 辺りはすでにひっそりと静まり返っているこうしていると自分たちが宇宙が浮かべた人工島にいると言うことを忘れてしまいそうになるくらい地球環境と似ている。

 朝と昼と夜とたった一日とはいえこの人工島のすべての顔をみたフェイトにはとってもいい勉強になったことだろう。

 そして何よりもフェイトが自分の生き方を見つけたことが何よりの収穫と言えるだろう、当然いきなり変わることは無理だろうがそれでもこれまでとは違いすでに自身の望みを知っているそしてフェイトは自分の望みを叶えるために必死に多くのことに取り組むことになるだろうそしてそれがいずれ人類を救うために必要な事となるだろう。


「フリージア博士はなぜこれほど手の込んだことをしてまで私に教えてくれたのですか?」


 フェイトにとってはすでに必要とされなくなったはずの人工生命体に対してここまでのことをしてまで再び取り戻すようなことをする必要が感じられていなかった。


「決まっているわ、私がそうしたかったからよ」


「そうですか、私はまだユグドラシル計画に必要ですか?」


「ええ、もちろん必要よ。そして貴方だけでなくユフィーリアも必要なのよ」


「ユフィーリアもですか?彼女も確かに優秀な人工生命体であると言えますがどのようになさるおつもりですか?」


「それはまだ言えないわ。でも信じて悪いようにはしないし時が来たら貴方にもきちんと話してあげるわ」


 シャトルが宇宙連邦本部に到着すると出迎えとしてルーシェとユフィーリアが居た。

 フェイトから見てもはっきりとわかるほどルーシェはユフィーリアのことを嫌っている、これまで仲良く話しているところを見たところも一緒に食事をしているところもこうして二人っきりでいるところを見るのも初めてだった。


「フリージア博士、フェイト、おかえりなさい」


 シャトルから降りていくとルーシェが笑顔で迎えてくれた。

 ユフィーリアはその場から動くこともなくただこちらを見つめている。


「ルーシェありがとう。きっと貴女がいたから私はこうして今ここに居られるのだろう」


「私は何もしてないわ。貴方が望んだから今があるのよ」


 そっと寄り添うようにルーシェがフェイトを迎え入れているがその後ろでこちらを見ているユフィーリアがまるで睨むようにルーシェを見ていることに気付いたのはフリージアだけだろう。

 ユフィーリアの最近の行動からフェイトに対して以前のように敵対的な感情は抱いておらずむしろ今はフェイトに対しての強い好奇心が勝っていることだろう、事実そうなるように仕向けてきたのはフリージアであり同じ人工生命体であるフェイトに対しての見方を変えることはそれほど難しいことではなかった。


「さあ、いつまでもここに居るわけにはいかないわ。戻りましょう」


 フリージアの言葉でようやくフェイトの傍を離れたルーシェだが以前までとは違う形で接していることははっきりとわかるほど態度に表れていた。


 宇宙連邦本部がある人工島から少し離れたところに現在建設中の人工島がある、表向きは地球から訪れた人々が地球への帰還までを過ごすための人工島であると公表されている。

 だがこの宇宙に住む人々が見ればその人工島はあからさまに異常であることが分かるだろう、この宇宙に創られた人工島は出来るだけ地球環境に酷似した状態で創られている、だがその人工島は地球のどこにも存在しないであろう環境で創られている。

 最も外見だけを見ればそれらしく創られているかもしれないが実際その人工島に降り立てばはっきりとわかるだろう、ここは人が住んでいられる環境ではないと言うことが。

 作業員たちは宇宙服に似せた強化スーツを着て作業をしているし気温も日が出ている間は数百度を超えるし日没後は氷点下にまで達することは間違いないだろう。

 なぜそのような環境の人工島を創っているのかこの場で作業している者たちの中で知っている者はいないだろう、だが創られると言うことは必要だということであり何らかの理由があるから必要なのである。

 残り二か月ほどで完成予定とされているこの人工島がいったい何であるのかそれを今現在知っている者は少ない。


 宇宙連邦本部にはいくつか公に公開されていない部屋が存在している、そのうちの一つがマザーブレインが設置されている総合統括室である。

 この部屋の場所を知っている者は宇宙連邦本部でも非常に少ない、そして部屋の中で作業している人員もわずか3人だけである。

 最も必要なことはすべてマザーブレインが判断し彼らは本部から送られてくる情報をマザーブレインに送りまたマザーブレインから送られた情報を本部へと送るだけである。

 総合統括室は情報においてはどの部署にも負けることはないだろう、この世界最高の人工知能を擁しておりすべてのデータの管理をしているのだからこの場所には一般市民には知られたくない多くの情報も保管されている。

 そしてこの部屋に本来いるはずのない4人目の作業員がやってきたこともすでに隠されていた。


 わずか1日足らずだと言うのにフェイトは自室へと戻って来るなり久しぶりに戻ってきたと感じていた、そう感じてしまうほどフェイトにとって今日という日は価値のあるものであったのだろう。

 部屋に戻る途中でフリージアとルーシェとは別れているが部屋に戻るまでの道中では一切会話がなかった。

 理由としてはフェイトはユフィーリアに話しかける内容がないわけではないのだが何故かユフィーリアが不機嫌であったために声をかけるのを躊躇わせていた。

 ユフィーリアはこの数日でフェイトとの距離が縮まったと思っていたところで再びフェイトが遠い存在となってしまったようでフェイトとの距離間を図り損ねていた。


 部屋に戻ってからもお互いに言葉を交わすことなく何とも言えない空気がお互いの間で流れていた、時折ユフィーリアがフェイトの方をちらちら見ることはあるが声をかけることもなくまるで数日前までの関係に戻ってしまったかのように見える。


「ユフィーリアその何か怒っているのか?」


 こういった状況での会話はフェイトにとっても経験がなくどうすればいいのか悩んだ結果が直接聞くと言う解決方法になったのは仕方ないことなのかもしれない。


「どうしてそう思うの?」


「ここに戻ってから一度も話していないしそれに雰囲気が出会った時のように荒々しいから」


「そうかしら?別に怒ってはいないわ。ただ少し自分の整理が出来ていないだけよ」


「それはどうして?」


「それは貴方がまた遠くに感じるからよ。貴方は本来なら人工生命体が持つことが出来ないものを手にしている、これから貴方は誰かに必要とされなくても自分の望みを持って生きていける。でも私は?私は貴方とは違う自分の望みなんて何一つとして持っていないわ。今、私がここに居るのは私にそうするようにと命令した人がいるからよ、もし私がここに居る必要がなくなったら私はここから居なくなる。でも貴方にとってはそれはどうでもいい問題よ、私がここに居ても居なくても貴方はこれまでと同じように生きていくわ。だったら私は何なの?ただ誰かに望まれ通りにしか生きられない人工生命体。ただそれだけしか価値のない存在なのに貴方も同じだったはずなのに貴方はどんどん遠いところへ行ってしまう。同じように創られた存在なのにどうして?どうして貴方は自由を求めたの?」


「私は君が望むような答えを持っていない。ただ君がそう言った疑問を持つと言うことはいいことだと思う、疑問を持ちそれを考え自ら答えを出す。それは誰かに言われてやっていることではないのだろう?君が悩みを持ちそれを解決する為に自ら行動するならきっと君も自由への第一歩を踏み出していると思う。もし本当に命令されたことだけを忠実にこなす人工生命体ならまず疑問を持つことはないと思う。私が自由を求めたのは自分と言う存在を認めてほしかったからだ、誰かに求められるだけではなく私にも求めているものがあるとわかったから」


「だったら私の望みは何なの?どうしたら私の望みは手に入るの?私は人工生命体でしかない、人にはなれない誰かに望まれなければ私は存在すら許されないのに」


「君の望みは自分で見つけるしかない、他の誰かに教えてもらっては意味がない。君の望みは君にしか見つけられない、人工生命体でしかないと言うが人工生命体で何の問題がある?結局は自分がどう思うかただそれだけだ。誰かに望まれなければ存在できないのなら君の望みが見つかるまでは誰かに必要とされればいい」


「私には出来ない!貴方の言うことが出来るなら私はこんなに苦しんでいないわ」


「苦しいのは悩んでいるからだろう?心の葛藤があるからだ。そしてその葛藤は君が自分の望みを知るために必要なものだと思う。だから今は悩めばいいと思う、私もそうやって答えを得た」


 ユフィーリアはフェイトの言葉にただ涙した。

少しづつ読んでくださる方が増えてきてモチベーションと同時にプレッシャーを感じることもありますが頑張って続けていきますのでよろしくお願いします。

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