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フロンティア  作者: kisuke
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プロローグ

 地球が人類を許容しきれなくなってからすでに50年以上が経過した。食糧問題や居住問題など多くの問題を解決するために人類が選んだ選択はまだ見ぬ空の果てを目指すことだった。新たに人類が生存可能な惑星を探し生活圏を広げることを目的に多くの分野の人々があらゆる世界から集められた。

 そして、人類が宇宙に初めて居住可能な設備を整えおよそ一万人の市民とさらなる研究開発を目的に二千人の技術者が宇宙での生活を始めた。この年を宇宙歴元年としさらなる移住と第二の惑星を探す長い長い旅が始まった。

 宇宙歴100年人類が宇宙に住まうようになってから1世紀を記念してこの年に宇宙連邦が発足した。

 宇宙空間では地球のように国境などなくすべての人工島との行き来が自由であることから宇宙連邦は地球の各国に宇宙連邦に対する一切の権限を与えないことを世界中の代表者達により確約されていた。

 それにより各国の許可がなくとも自由に研究開発が可能になり更なる成果が期待されていた。

 宇宙歴117年人類は地球に住んでいた全人口のうちおよそ4分の1の人々を宇宙に上げた。宇宙空間で生まれた子供は自らの故郷の姿を知らずただ宇宙から見える青い星を見つめるばかりであった。宇宙開発はこの17年で大きな進展を見せていた。宇宙空間に漂う隕石これまでは手に入れることが難しかった鉱石などが大量にそしてほぼ無尽蔵に入手出来ていたからだ。多くの技術が進歩したが何よりも優先的に取り組まれたのは人工知能の発展だった。必要なプログラムを打ち込むだけで十全に仕事を全うできる人工知能は何よりも優先されていた。新たなる惑星の発見までにどれだけの年月が必要になるかわからない以上莫大なデータを人間よりも正確に早く取り扱うことの出来る人工知能の発展は必須条件であった。

 宇宙歴元年から人工知能の発展は急務であり宇宙歴元年から宇宙歴117年の現在までに人工知能は7回のデータ移植と毎日のように更新がおこなわれていた。

 

 宇宙歴142年人類はデータとしての宇宙の地図を完成させた。これは人工知能による莫大な宇宙データを計測および観測したことにより完成させた。これによりこれまで座標指定の出来なかったワープ航行も使用することが可能となったがこの時のワープ装置は未だ小型化の目途が立たず唯一搭載可能だった大型重量級宇宙戦艦は生産性度外視の巨大戦艦であったために量産化することも出来ずに宇宙地図によって地球に近い環境惑星を発見していたもののその惑星を調査することが出来ずにいた。宇宙歴142年には宇宙空間に作り上げた人工島も余剰生産を可能としすでに地球からの支援なしで生活することが可能となっていた。これにより地球でも宇宙開拓により一層の資金を投じることが可能となり更なる飛躍が期待されていた。地球では宇宙戦艦の新開発が宇宙ではワープ装置の小型化を中心に研究開発を進めることに決定した。

 

 宇宙歴150年宇宙空間で試験中の小型ワープ装置が人類にとって大きな起点となる未知の生命体を座標指定されていた惑星から一体こちらへと通してしまった。

 人類にとって初めての地球外生命体との接触に世界各国の意見は大きく分かれていた。だが地球外生命体が地球の環境に適応出来るという保証がないなどの理由から地球外生命体との接触はすべて宇宙連邦に一任された。

 まず宇宙連邦が取り掛かったのはこちらとコミュニケーションが可能かどうかであった。人類の知りうる限りの言語、旧式のアナログ信号から最新の人工知能まで考えられる限りの手段を尽くしたが最終的には現在の科学力では何らかのコミュニケーションを取ることは不可能であると考えられた。

 

 宇宙歴153年宇宙連邦はいくつかの決断を下した。それは地球外生命体これの通称は当時使用していた人工知能の名前を取りソリテールと決定しこれまでは実行できなかったソリテールとの直接的な接触を図ると決定した。

 接近にはあらゆる状況が想定され中でもこちらに対して攻撃の意図を見せた場合の対応に関しては宇宙連邦も各国の代表からいくつかの了承を得る必要があった。

 それにより決定された項目は3つ


 1つ、地球外生命体が人類に対し攻撃をまたは攻撃と思われる何らかの確証が得られたならばあらゆる手段をもってしての交戦を許可する。

 1つ、地球外生命体が人類にとって今後の宇宙開発に伴い有益な存在であるならば地球外生命体の人権を保護する用意があること。

 1つ、今後地球外生命体が人類を敵対生物と認識した場合宇宙連邦にはあらゆる兵器の使用、それに伴う研究開発を許可し脅威を排除する義務を与える。


 人類がまだ見ぬ第二の惑星を求め宇宙に進出し150年以上の時が経過したこの年に人類は地球外生命体に遭遇もしくは接触した際の条約を作り上げたのであった。

 この決定に伴い宇宙連邦は出来うる限りソリテールを刺激しないため全武装を解除した特別艦隊を編成した。この艦隊はソリテールを刺激しないよう人工島を行き来するシャトルに改良を加えソリテールとほぼ同じ大きさに調整された。搭乗員には宇宙連邦の上級幹部2名とあらゆる分野の研究者約20名を含めた立候補者が搭乗していた。事前に生命の危険があると通告されていたがソリテールが人類の生活圏に来てからおよそ3年もの間一切の動きを見せていないことから搭乗者たちの不安は随分と少ないものだった。


 宇宙歴154年人類は初めて地球外生命体との接触を図ろうとしていた。宇宙空間に浮かぶソリテールまでの距離はおよそ15万キロメートルであり地球から月までの距離のおよそ半分以下であった。

 ソリテールに対しての接近は非常に慎重に行われていた。こちらに敵対の意思がないことを少しでも伝えようと、出来るだけ低速で接近していた。音速まで速度を上げればおよそ一週間程度で到着することが可能であるがそれではソリテールを刺激しかねないとの意見も多かったために実に一か月以上の時間をかけてソリテールへと接近した。

 特別艦隊が宇宙ステーションを出発してから27日が経過した日にそれは起こった。ソリテールまでの距離がおよそ1万キロメートル辺りとなったところでソリテールに変化が起きた。

 これまで一度も動くことのなかったソリテールが明らかに特別艦隊に向けて動き始めたのだ。その速度は速くはなくこの時は誰も警戒してはいなかった。むしろソリテールがこちらの存在に気づき接触を図ろうとしているように見えたのだから。

 もちろんソリテールの動きはすぐさま宇宙連邦本部にも通達された。この報告を受け宇宙連邦はすぐさま戦闘用中量型戦艦の発進準備を整えていた。あらゆる事態を想定しリアルタイムで特別艦隊とソリテールとの接触を監視した。

 その頃特別艦隊でも第2級の警戒態勢が発令され搭乗員たちの緊張は高まった。ソリテールとの距離が5000キロメートルを過ぎたところでそれは起きた。ソリテールが突然特別艦隊に向けビーム兵器を撃ったのである。

 ソリテールへの接触を目的にあらゆる武装を解除しシャトルを改良しただけの艦隊に数年前までは机上の空論に過ぎなかった単一での高出力ビーム兵器に耐えるすべはなく一瞬にして特別艦隊はその姿を消した。


 宇宙歴154年ソリテールが特別艦隊を消滅させたことから宇宙連邦はソリテールを敵性生物と認定し当時保有していた戦闘用宇宙戦艦をすべて発進させた。宇宙歴150年に完成させた高出力ビーム兵器を全戦艦に搭載させ人類は初めて地球外生命体との戦闘を開始したのである。


 宇宙歴155年ソリテールは宇宙連邦の保有していた全戦闘用戦艦のうち3分の1を消滅させたが最後は戦艦の全方位からの一斉射撃によりその機能を停止させた。

 宇宙連邦はこれを勝利としたが失った損害は余りにも大きなものであった。地球外生命体一体により全戦力の3分の1を消失しているのだからもしも数百数千という数がこちらに来ていたなら人類は滅んでいただろう。

 ソリテールとの戦闘データや残されていた一部のパーツから技術者たちは多くの技術を作り上げた。まるでそうすることがせめてもの弔いだと言わんばかりのものであった。

 ソリテールとの戦闘から半年が過ぎたころ宇宙連邦ではある計画が進められていた。

 宇宙連邦本部そのほぼ中心に位置する場所に宇宙連邦総督の部屋があった。

「総督閣下フリージア博士をお連れしました」

「わかった通してくれ」

「お久しぶりですね総督閣下」

 総督の部屋に入ってきたのは20代前半と見える女性だ。鋭い眼差しはあらゆる嘘を見抜かれそうで少し位置のずれているメガネは果たして役に立っているのかわからない。研究者らしく白衣は着ているものの随分とくたびれている。膝が出る程度の長さのスカートは彼女の足のラインをより美しく見せているが本人は特に気にしている様子はない。髪は後ろでひとまとめに括っているだけのようだ。そんな彼女の姿を見ながら宇宙連邦総督ハーロットはため息をつく。

「君を呼んだのは他でもない君が以前提出してくれたユグドラシル計画のことだ」

「以前閣下は反対なされましたが?」

「ああ、今も反対だがソリテールとの戦闘により多くの犠牲が出た。君の計画は人類の道徳的価値観に反することだろう。だが、我々はすでに後には引けぬソリテールの仲間がいつここに来るかわからぬ以上あらゆる手段をもってそれらの脅威に対抗する力を手にしなければならない。そのために君の計画を宇宙連邦の正式な計画としてではなく私個人の研究対象として進めてもらうことに決めた。まあ表向きではあるがね」

「なるほど、それでは宇宙連邦に正式採用された計画とは別の計画としてユグドラシル計画を進めればいいわけですね」

「そうだ、どんな計画にも予期せぬ事態はつきものだ。それゆえに代替プランを用意しておく必要があるのだよ。私はこの宇宙に住まうすべての人々の生活の安全を任されているだからこそ君の非人道的な計画も必要なものであると判断した」

「それでは、さっそく準備を始めさせていただきます。ユグドラシル計画は必ずや人類の新たな希望となることでしょう」

「フリージア博士、私は何よりも結果を優先する。我々が望むだけの成果を出せないようであればまた別の代替プランを用意することも出来ると理解しておいてくれたまえ」

 こうして、地球の各国代表には極秘裏にユグドラシル計画が動き出した。


小説家になろう二作品目になります!

SF系の小説は自身も大好きなのですが内容が定まらずうろうろしていますがある程度まとまったので書いていくことにしました。

人類が未だ経験したことのないものを作り上げていくのは非常に面白くまた難しいです。人類の科学力が一体どれだけ向上するのかわかりませんがいつか訪れるかもしれないその日を夢見て書いていこうと思います。

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