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第7話〜玉葛の住む所と僕の両親と紅葉の両親と僕(後編)〜

後編でぇ〜す

最初に口を開いたのは、母さんだった。

「……いいわ。二階にある部屋、好きに使って。晴信、紅葉ちゃんと玉葛ちゃんだっけ? 二人を空き部屋に案内しなさい」

母さん!?

ショートヘアーで眼鏡と煙草がよく似合い、背の高いスレンダーな体型を持つ僕の母は、冷たくそう言った。

「そうだね。晴信の友達なら悪い子じゃないだろうからね。晴信さえ手を出さなければ、問題ないでしょ。良いですよね? 芯さん、紅華さん」

父さんまで!?

エプロンと笑顔がよく似合う僕の父は、これまた笑顔で母さんに同意してくれました。

僕の両親に常識を期待するのは無謀だったのだろか。

まぁ父さんに関しては、母さんにベタ惚れで頭が上がらない人だから予想は出来てたけどね。


熊の様な印象の芯さんや、紅葉と並ぶと瓜二つで、しかも姉妹なんじゃないかと思わせるぐらい若く見える紅華さんも異論は無い様で、頷いている。


玉藻さんは玉藻さんで、意外、と言いたげな顔をいている。


紅葉と玉葛は軽く睨み合いながら何かを話している。


ちょっと長い沈黙の中、また母さんが口を開けた。

「不満でもあるの? 二人より三人の方が間違いが起きにくいでしょ。……まだ晴信は誰にもやる気ねぇし……」

最後に何かボソッと言っていたみたいだけど気にしない。

だって、母さんが実はこんなにも常識的な考えをしていただんなんて……

疑ってごめんなさい。

「文句ねぇならさっさと行きやがれ!!」

謝罪の言葉を思っていたら、母さんに怒鳴られてしまった。

その時の母さんの形相に僕ら三人は驚き、小走りで二階に向かった。

「静かに行きやがれ!!」

はいぃ!!



「あぁ怖かった、静音さん怒るとウチのパパでも手に負えないらしいし……えぇっとたしか、一番奥の部屋がハルの部屋だったよね。で、その隣の部屋と向かいの部屋が空き部屋だったよね」

二階に上がり、空き部屋の説明をしようとした矢先、紅葉に全部言われてしまった。

「じゃあ! わ、私が晴信の隣の部屋な」

「良いわよ」

僕抜きの相談。

別に良いですよ。

君達二人で決めることだからね。

「やけに……まぁ良い。人間素直が一番だ。これで毎晩壁越しの会話が……」

玉葛さん、そんな今にもとろけてしまいそうな顔で言っても出来ませんよ。

なんせ――

「安心して玉葛。そんな安っぽい少女漫画みたいな事は絶対ないから。だって、晴信のベッドは窓際にある上に、隣の部屋のある方の壁にはタンス、クローゼット、本棚によって塞がれてるもの。そして、それら全部を地震対策として頑丈に固定してあるから動かす事が出来ないのよ」

オホホホと一昔前の少女漫画のように勝ち誇った顔で高笑いをする紅葉。

玉葛もまた、一昔前の少女漫画のようなポーズで床に座り込むと、これまた一昔前の少女漫画のような顔で驚いていた。

なんか、リアクションが濃い。


しばらくすると気が済んだのか、濃いリアクションを止めるとそれぞれの部屋を確認し始めた。

2つの部屋は窓の数こそ違えど、基本的には同じ間取りで、ベッド、テーブル、タンス、クローゼット、本棚は完備されており、直ぐに人が生活出来るように綺麗にされている。

なぜ、空き部屋がこの様になっているのかというと、母さんが『殺風景』の一言共に父さんにやらせたのだ。


「これに文句を付けたら罰が当たる」

「さすが春茂さんだね。パパに荷物持ってきてもらわなきゃ」

廊下で待っていると二人が出てきた。

各々満足げな顔をしている。

まぁ当たり前だと思うけど。


僕が二人を連れて一階に降りると母さん達は玄関にいた。

「パパ。もう行っちゃうの?」

「あぁ……紅葉ぃぃ……半年会えないが元気に見送ってくれよ」

「うん! いってらっしゃいパパ。でもその前に私の部屋のタンス持ってきてくれると嬉しいな」

「なに!? ホントか? ……と言うことは、紅葉、部屋に入っていいのか?」

「うん。早く持ってきて」

「うおぉぉぉ!」

芯さん行っちゃったよ。

てか紅葉、いいのかよ。

そんな扱いで……

芯さん可哀想だよ。

「玉藻姉様。荷物を取りに行こう」

「あら、玉葛そんなに急いで……どうせ引越にはもう少し準備しなくちゃ出来ないわよ」

「それが出来るのだ。貸して下さる部屋には家具が一通りあってな――」

「はいはい、わかったから少し落ち着きなさい。それでは、失礼しました。」

玉葛は玉藻さんを急かして荷物を取りに帰っていった。

「紅葉お待たせ」

芯さん早!!

タンスって一人担げる物なの?

「じゃぁ運んで」

紅葉さぁん労いの言葉とかあげようよ。

「良いぜ」

芯さん……

良いんだね。

幸せなんだね。

紅葉と芯さんはとても幸せそうな顔で二階の紅葉の部屋に向かっていった。


二人の姿を見ていると母さんが話し掛けてきた。

「注意しろよ」

何に!?

ってそれだけ?

もう、既に外に出て煙草を吹かしている。

「とりあえず晴信、火に注意するんだよ。あと戸締まりに賞味期限と生水と……あっ、掃除はマメにするんだよ。埃は体に悪いからね」

気にしすぎだよ!!

父さん、僕は大丈夫だから。

「あとあと」

まだあるのかよ!!

「春茂いい加減にしろ。晴信はそこまでガキじゃねぇ。行くぞ。達者でな」

さすがに母さんが止めた。


そして母さんに父さん、それに芯さんと紅華はずっと待たせていたタクシーに乗り旅行へと出かけていった。


お知らせです。

中途半端に良かった調子が

ついにけつまずいて普段ぐらいになりました。


月木更新は変わらないのでご安心を

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