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第30話〜文化祭、 ちょっと過激な1日目の午後と僕〜

大変長らくお待たせしました。

「うなぁぁぁぁぁ……はりゅ〜」

 簡単に説明します。

 時間、13:15。

 場所、教室てか一芸茶屋の裏方、というより一芸茶屋のキッチン。

 状況、紅葉の有らん限りの尊厳とかなんか色々を傷つきまくったご様子で、僕にすがり付くように泣いています。


 商品を破格の値段でご奉仕するばかりか、クラスメートを生け贄にするような謎の券を配る作戦……【G・Y・M・M・G・S】。

 それは……。

 G、激。

 Y、安。

 M、紅葉。

 N、撫でれる。

 G、源太。

 S、囁く。


 と言う作戦らしい。

 限定とか称して配る券、しかもそれなりに知名度のある二人の名前を使った券で客を呼び、値段で客を惹き付け、券でまた客を呼び戻す。

 というものらしいが、ここまで上手く行くとは思わなかった……。


 なんと言うか……ダメなお兄さん方多かったと言うわけで……。


 あと……。

「加西、コレどこに捨てればいい? あと、どうやってこんなに作ったの?」

 愛に飢えたお姉様方も多かったみたいで……。

 源太が持ってきたのは、使用済みの券がパンパンに詰まったXLサイズのゴミ袋である。

 源太の役目は校内をねり歩き、一芸茶屋を宣伝する、そのため、押し寄せてくる愛に飢えたお姉様の持つ券を入れるゴミ袋を持っていたようだ。

 愛に飢えたお姉さんも多かったというわけなんです。


「源太君、お勤めご苦労。なかなかの盛況ぷりだな。券は、満に永遠と作らせていただけだから安心したまえ。処分は私がする。ちり紙交換にでもだしてトイレットペーパーに換えてもらうさ」

「そっか。まぁ俺としては、楽しかったからいいよ」

「そうか、それは良かった。しばらく休んだら、また頼むよ」

「あはは、分かっているよ。任してくれ」

 今にも、『おぬしも悪よのぉ』『お代官様ほどでは』みたいな会話が聞こえて来そうな笑顔の2人……。

 なにか無性にムカつく。



 しばらくして、加西の横に控えていた設楽さんが、スッと加西に話しかける。

 本当に秘書のようだ。

「龍、そろそろお時間です」

「何!? もうそんな時間か? 満、後は頼んだ」

 加西は教卓の上にメモ用紙を残し、教室を出ようとしたが、直前で止まり、僕の方へと振り返った。

「そうだそうだ、忘れていた。晴信君。コレを君に渡しておかなくては」

 渡されたのは“一芸茶屋”と彫られたスタンプ(朱肉の要らないやつ)。

 一体なんなんだ?


「ちっ。面倒ごとばかり押し付けやがって……」

 舌打ちが聞こえたので振り向くと、津田が苦虫を噛んだような表情でメモ用紙を見ていた。


 どうしたのか気になったので、声をかけようとした、その時。

「あぁ!!! ハル急いで! どうしても一緒に行きたい所があるの!!」

 はぁ?

 問答無用で僕の腕を掴み走り出す紅葉。


 しばらく走った所で不意に放送が流れる。

 だがそれは、学校の校舎にもとより備え付けられたそれでは無く、前日にカリスマ変人が有能変人(男)に指示をして構内中に付けさせた、特定クラス専用の放送である。

 無論、聞こえてくる声は、疲れてるとも諦めてるとも取れる声で。

 そんな声をだすのは、我がクラス1の苦労人と言って過言では無いんじゃないかと密かに同情している有能変人(男)こと、津田満のものだった。

『あぁ……、一年E組一芸茶屋です。現在、私用で不在の店長加西龍に代わりまして、副店長代理の津田満が……って副店長代理ってなんだよ!? どんだけ曖昧な地位なんだ俺は!! ……ブツン! ……』

 キレた。もちろん二重の意味で。

 たぶん、加西の渡したメモに書いてあった文なんだと思う。

 津田も大変だ。

『大変お聞き苦しい所、申し訳御座いません』

 再開した。

『えぇ……、用件と言いますと、はぁ……』

 何だか諦めてるて、枯れかけている津田の姿が目に浮かぶ。

『えぇ、ただ今より一芸茶屋のサービスチケットタイムでございます。今より、一芸茶屋で飲食なされますとスタンプカードが無料で配布されます。そのスタンプカードに、校内のどこかにいる安森晴信の持つスタンプを押してもらってください。すると、そのスタンプカードはある券の引きかい券となります。そのある券とは……【古山紅葉三分間なで放題券】と【日出川源太一分間囁かれ券】となっております。ご来店のさいスタンプの押されたスタンプカードを提示した上で何か一品をご注文頂けますと券と引き換えとさせていただきます。なお――』

 はあぁ!???

 何だそれ!?

 なにかパワーアップしてるぞ!?

「ハル、こんな話し聞いてた?」

 紅葉が弱々しい声で聞いてくる。

 僕にとっても寝耳に水。全力で首を横にふる。

「……ほん……と?」

 今にも泣きそうな目で震える紅葉。

 午前中のあれを思い出しているのだろう。

 なんで、そんな大切なことを本人に伝えて無いんだ!!!

 はっ!

 加西と源太の不吉な会話……。

 ――『そうか、それは良かった。しばらく休んだら、また頼むよ』――

 ――『あはは、分かっているよ。任してくれ』――


 あの会話……絶対に二人して『加西(源太くん)が知らせてくれるもんだと思った』とか言い訳するつもりだ!!

 完全にはめられた!?

 あの二人を相手に舌戦で勝てる気がしない。

 あの時点で気付くべきだった……。

 畜生ぉ……。

「ハル……」

 僕が裏切りと我が未熟さへの後悔という暴力に心がくじけそうでいると、クイクイと紅葉に服を引っ張られた。

「逃げよ……。スタンプなんか捨てて逃げ切ろ? ねっ? ハル。……ハルぅ……」

 弱々しい声。だけど、決意のある声だ。

 その目には、今にも涙が溢れんばかりに溜まっているが、溢れるのを必死に堪え、強く僕を見つめてくる。


 負けられない。

 ダメなお兄さん方や愛に飢えたお姉さん方には負けられない。


 と強く思った。

 そして…………これ以上、紅葉を怖がらせてなるものかと!!


『あぁ……、ここからは業務連絡。晴信、古山。龍からの伝言だ。「逃げるのは一向に構わないが、ちゃんと適度に捕まるように。後、スタンプを捨てた所で結局そのスタンプを拾われたらスタンプを押されたスタンプカードが出回る事は必至だと思うぞ。スタンプが捨てられいるのでないかという一抹の希望を持って、スタンプを探しながら晴信君を追いかける者も居るだろう。だから、普通にもって逃げた方が良いぞ」との事だ。あぁ……、なんだ、その……頑張れ』

 ぐあぁ!!

 読まれてる!


 そして、心中察するよと言わんばかりの津田の同情。

 涙が出てくよ。ありがとう。


 そしてどこからか、ドタドタというけたたましい足音。

 さっきの放送を聞いたダメなお兄さんや愛に飢えたお姉さん方たちだろう。

 早い。

 こんな事にコレほどまでに迅速かつ高い行動力を見せなくても……。

 てか、冗談抜きにヤバい!!

 逃げなくては。


 僕は、加西の伝言で心を砕かれボロボロ泣く紅葉の手を取り走り出した。


 僕らは無事にこの日を終えられるのだろうか。

 僕はそんな夢も希望も小さい事を考えながら決意した。


 加西の伝言は無視して、絶対に逃げ延びてやる。そして、僕がこの手で握る紅葉の手とスタンプだけは、絶対に離さないと!


玉葛「出番……」

セフィリア「出番……」


あの1日目コレで終わりだよ……


玉「本当か!?

セ「まことか!?」


だから次回予告お願い

玉「うん」





あの次回予告

セ「わかっている」



あの次回――

玉「わかっているわかっている。 黙れ」



聞いちゃいませんね……。

てなワケで次回予告はお休みです。


でもお楽しみにっ!!

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