表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガーベラの丘  作者: 安藤 キミヒロ
2/7

第一話 当り前の崩壊 part1

「起きろ! レス!」


そう言って、愛する布団をはがされている少年がいた。

気持ちの良い布団から離れたくないその少年は、一生懸命に布団をはなさないでいると、力任せに、布団を投げ飛ばされ、布団に摑まったままの少年は、布団ごと宙を舞い、背中からドシンと音を立てて投げ飛ばされ、ギャッ! という呻き声を洩らす。


「痛いよ姉さん。野獣かと思ったよ」


「おはようレス。それと、誰が野獣だ!」


腰を打ったレスフィン・ウィスハートは、そう皮肉をいい終えると、痛む腰をさすりながら、朝のひと仕事をこなした侍女を見る。

桜のようなピンク色の腰まである三つ編みが特徴的で、その目もまた、髪と同じピンク色で、フリルのついたメイド服を着ていた。

侍女のフィーナだ。

ちなみになぜ、レスフィンが侍女のフィーナを姉さんと呼ぶのかというと、「一人っ子だから、兄弟が欲しい」 という願望があり、フィーナが自分より年上だから、勝手にそう呼んでいる。フィーナも最初は戸惑ったが、もう呼ばれなれたらしく、フィーナも、レスと呼んで弟のように接している。だがまぁ、現状的には、姉弟というよりも、息子と母親と表現した方がいいかもしれない。


「あんた今日学校でしょー。早く行かないと遅刻するわよー」


「いいよ今日は、どうせ昼からは爺ちゃんの家で親戚同士でのパーティーがあるから、学校に行っても早退しないといけないし。それに、昨日は、遅くまで今日のためのサプライズを準備して、寝るの遅かったし」


レスフィンは、気だるげに言う。


「あなたは貴族であるウィスハート家の長男なんだから、少しは自覚を持ちなさい! 朝食の用意できてるから、早く学校に行く支度を済ませなさいよ」


レスフィンは仕方なく、は〜い。と返事をし、準備をしたあと居間に向かった。


「おはよう」


黒色のショートヘアーの初老の女性が言ってくる。

母さんだ。


「おはよう」


こちらも返事を返し、テーブルの上に置いてある、目玉焼きと、サンドイッチに目移りする。

美味そうなご飯を前に、腹の虫が暴れだす。


「レス。昨日は遅くまで何してたの?」


母さんがそう聞いてきた。


「秘密〜。でも知ったらびっくりすること。今日爺ちゃん家についたら教えるから楽しみにしといて」


期待を(あお)るように答えた。


「そうなの、それは楽しみだわ」


母さんが楽しそうに笑う。


「まぁー、期待しといてよ。結構俺、頑張ったんだから」


俺はそう言うと、時計を見て、遅刻しそうなのを思い出し、玄関に向かって走る。


「父さんが帰ってきたら出発するんだよね?」


俺は玄関で靴を履きながら、居間にいる母さんに聞こえるよう、学校から帰ったあとの予定を確認する。


「そうね、父さんは、昼頃には町の視察から帰ってこられるから、昼頃には帰ってきなさい」


母さんの言葉が終わった頃に、靴を履き終えたので、ありがとう、行ってきますと言って、玄関から飛び出した。


「行ってらっしゃーい」


庭の掃除していた姉さんの声を聞き、行ってきまーすと返事をし、学校に向かって走ってく。

ヤバっ、遅れっかも。そう心配をしながら俺は、学校へと向かって全力で走った。


昼を告げる鐘がなる頃、俺は二階建てのレンガ作りの我が家に帰ってきていた。


「ただいま」


居間に入ると、母さんの他に、シルクハットをかぶり、黒いスーツを身にまとう、初老の男がいた。

父さんだ。


「おかえりなさい」


父さんが言ってくる。


「ただいま、もう出発するの?」


すぐ出発するのなら、すぐ支度をしなければならないので、聞いてみた。


「いや、もう少ししてから出発しよう。護衛を命者(めいじゃ)にお願いしたんだが、まだ来てない。命者がついてからにしよう。」


命者は、魔法や、特殊な武器を使う、戦闘のスペシャリストだ。故に、死獣だけでなく、護衛などもこなすことができる。もう、命者とは、用心棒もこなすことができ、昔のように、死獣を討伐するだけではなくなったのだ。いったいどんな人だろう。


「ごめんくださーい」


そんなことを考えていると、玄関で声がした。


「少々お待ちください」


ベランダで、洗濯物を干してた姉さんが、階段をかけ降りてくる。


「依頼を受けたものです。遅くなってすみません。他の依頼をこなしていたら、遅くなりました。」


命者が来た!

命者を見るのは初めてだ。

期待に胸をふくらませながら、レスフィンは、遠くから覗くようにして見ていた。

命者は基本的に二人一組のペアで行動する。今回のペアは、それなりに名は通っていた。

金髪のボサボサ髪で、眼帯をつけているのが、シュレット・ウォン。

銀髪のオールバックで、赤のタンクトップを着ているのが、ナルハ・ソルだ。

そして、どちらも、一風変わったアクサリーをつけていた。

シュレットは、両腕の中指に灰色の水晶で作られた、装飾のないる指輪を。

ナルハも、右腕に、灰色の水晶で作られた、装飾のないブレスレットをつけていた。

興味津々に見ていると、話が終わったのか、姉さんがこっちに来た。


「旦那様、命者の方々がいらっしゃいました。そろそろ行きましょう、とのことです」


姉さんが報告を入れる。


「ありがとうフィーナ。レス、そろそろ出発するから早くしなさい」


父さんが俺に言ってくる。

「は〜い」と俺は返事をして、支度をはじめた。


支度が終わった。

俺が支度をしているあいだに、姉さんが家から少し離れた小屋から、馬車と馬を出していたおかげですぐに出発できる体制になっていた。

馬車は、運転手合わせて五人乗りなので、俺と、父さん、母さん、ナルハさん、シュレットさん、の五人で行く。姉さんは、留守番ということになる。

ここから、じいちゃんの住む所までは、馬車で一日はかかるため、途中で野宿することになる。予定では、三泊四日の旅となっている。

全員が、乗り終わったところで、馬車が動き出した。

操縦するのは、父さんだ。


「行ってくるよ、姉さん!」


出発の挨拶を送る。


「気をつけるのよー」


姉さんが言ってくる。

俺は、見えなくなるまで手を振り続けた。

そして、俺たちは、爺ちゃんの家に向けて、出発した。

こんにちは、まだほのぼのした感じで行きますが、1話の後半ぐらいから、バトルシーンなども盛り込んで行きます。とりあえず、死獣(しじゅう)さん達も次か、次の次くらいから出します。けっこう内容スカスカかもしれませんが、そこは、頑張りますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ