第八話
「何故お前が選ばれたかと言うとだな、お前が私の従姉妹であり、魔の家系の血を継いでいるからだ」
皇帝陛下が仰有ることには、私、結構希少な血筋だったみたいだ。しかも皇帝陛下の従姉妹とか!何故幽閉されていたのかますます気になって来た。
「魔の家系というと、魔力を血に宿すというアレですか?魔術師や錬金術師を多く輩出すると言われている」
「そうだ。お前の母方に魔の家系の血が流れているのだ。それも純血の、力の強い者が多い家系だ」
魔の家系は血に魔力を宿し、古くからある魔力の強い家系の、そのまた力の強い者は皇宮ではなく皇帝のみに仕えるとまで言われるエリートの家系だ。魔術師も錬金術師も、その土台には魔力が関係すると言われている。魔力を元に炎や水、土等を操る魔術師に対し、錬金術師は希少な鉱物と魔力を媒介にして魔力を持たない者にも魔術師と同等、もしくは組み合わせ次第では魔術師以上の力を発揮する物体を生み出すと言う。
まだ見ぬお母様、貴女は一体何者?
って、そうじゃない。母親の話題が出たと言うことは、この方は私の両親、少なくとも母親のことを知っている!
「あの、私の父親や母親は生きているのでしょうか?生きているなら、どこにいるのか教えて頂けませんか!会わせて頂きたいのです!」
「……。すまない。分からないのだ。お前の両親は事故で亡くなったことになっているが、亡骸は未だ見つかっていない。生きている可能性もあるが、今まで消息は掴めないままだ。この件にも祖父の自称弟、あぁ、コレをヴィクターというのだが。ヴィクターが関わっていると見ている」
ついにコレ呼ばわり。
それにしてもおのれ、ヴィクターめ!(私を閉じ込めた上に両親を殺そうとしたやつなんて呼び捨てで十分!)世間から忘れ去られる呪いを掛けてやる!次期皇帝陛下のお父上を暗殺してまで手に入れた皇帝の地位に執着する程権力欲の強い人物なら、罪を裁かれた上に世間から最初から居なかったものとして扱われるのは堪えるに違いない。権力欲が強いと言うことは、周りに認められたい欲求が強いはずだから。