第七話
サラッと言われたが、結構重要なことを言っていた気がする。私が皇后とかなんとか……。いやぁ、耳掃除足りなかったかな?それとも牢にずっと入れられていたせいで、常識が足りないせいかな。皇后って皇帝陛下の妻と言う以外の意味があったなんて知らなかったなぁー。それとも幻聴?幻聴が聞こえてくるなんて、私もいよいよ危ないな……。なんて現実逃避をしていると、皇帝陛下はズバッと他の可能性を否定する御言葉を吐きやがって下さいました。
御免遊ばせ。つい汚い言葉が。
曰わく、皇后とは皇帝陛下の妻のことを指すが、本物の関係を求めている訳ではないこと。
後から述べる私の素性に関係してくることであるが、その私の背景にあるものが欲しいが為に婚姻関係を結ぶ必要があること。本物の婚姻関係ではないため寝台を共にする必要はないが、一部の事情を知る皇宮の人間以外の前では本物の結婚であるよう装う必要があること。
以上のことをつらつらと説明して下さった次期皇帝陛下はその説明通りに事務的な態度で、とても女性にプロポーズをするような態度とは思えなかった。
泣いていいですか、こんちくしょう。
ずっと捕らわれの身だった私ですが、だからこそ理想を拗らせ、唯一夢を見られた本の中の世界のように、素敵な男性に見初められ助け出された後の、美しい景色を背景にプロポーズをされるという夢をずっと胸に温めていたのだ。
……みなまで言われずとも分かってます。そんなことは御伽噺の中にしかない夢物語だと。いいじゃないですか!夢を見るくらい。いつか私もと希望だけは持っていたのです。
それがこの仕打ち。
神様、私が何をしたと言うのでしょうか。