第四話
感想一言目。なにこれ、すごい。それだけ。
なにしろ、窓が付いただけでも私としては随分なグレードアップなのだけど、部屋の広さだけとってみても前の部屋の10倍はあろうかという部屋。その上、家具も豪華でテーブルもベッドもクローゼットも広いのなんの。
前と違いすぎて、本当に自分にあてがわれた部屋なのかと目を疑った。中に入って新しい扉を開ける度、何度もこの部屋は私の部屋ではない、いいえ、こちらで合ってます、というやり取りを繰り返した程だ。
何をさせられるんだろう。こんな部屋を与えるからには今まで通りに好きな時に本を読んで、好きな時に起きて、好きな時に寝るというような暮らしが許されるとは思えない。
因みに、あの牢を出て漸くあの部屋が空中牢獄であったことを知った。出入りの鍵は皇族だけが持っており、例え窓が有った所で空を見ることは出来ても逃げることは出来ないということだった。翼を持っていれば話は別だが。
皇族の血に反応して地上から空中牢まで階段が伸び、また皇族の血に反応して扉が開く仕組みだという。普段は地上とも繋がらない、離れ島だった。
つまりあの牢は特別製で皇族や王族の幽閉に使ったり、公爵等の高位貴族の政治犯など、殺す程ではない、または様々な理由により死罪には問えないが見張りが必要な人物に宛がわれる部屋だったらしい。
それを聞くとますます何故私があの牢獄に入れられたのか気になる。
“彼”が来る前に来ていた人物に昔訪ねたが、「生まれてきたのが間違いだった」と言われただけで、後は何度聞いても折檻されるばかりだったので、暫くすると聞くのを諦めた。
兎に角そういう訳で、自分が牢に入れられた理由は分からないが、この環境の変化が何を齎すのか今更ビクビク怯えている。