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『第十一章 鍛錬・前』

 修行二日目。“カイル・アリアンロッド”内では一ヶ月以上が経過していた。

「どうしたのじゃ。この程度の攻撃避けてみせんか」

「くっ、まだまだ!」

「ルーナ、そんな攻撃じゃ簡単に防がれちゃうわよ」

「はい!」

 この日はルーナはジブリール、ストレアはゼブルと別々に修行を行っていた。


 そんなふたりを見つめる影が三つ。

「すごいね」

「初日に比べてスピードもパワーも桁違いね」

「私達の出番はもうなさそうですね」

「「「はぁ・・・」」」

 “ボドヴ”の三人はため息を吐きながらその場から去っていった。


 作戦開始まで残り五日



 ルルイエ

「ちっ、まさかこんなトラップに引っかかるなんて」

「あの娘、なかなかやるな」

「くそっ!でてくるな」

「所詮、きさまもその程度ということだ」

「おまえらだまれ!腹の中で喚くな!」

 ナイアは怒りに震えていた。

「絶対、殺してやる!」


 作戦開始まで残り四日



 アヴァロンでは、エグゼリカとロシェット姉妹が中心になり”ノア”の修理が行われていた。

「”ノア”の修理はまだ終わらないの?」

「船体の修理は完了しています。ですが、“タルタロス”の方がまだ・・・」

「“タルタロス”に変る装備はないの?」

「この際、“アドラスティア”を使うというのは?」

「あれはまだ試験運用もしてないじゃない」

「そうだけど、このままじゃ間に合わないよ?」

「どうしますか?エグゼリカさん」

「そうね。一応、“アドラスティア”の起動準備もお願い」

「わかりました」



 ルーナとストレアは一度”カイル・アリアンロッド”からでていた。

「まだ二、三日しか経ってないんだよね。なんか変な感じ」

「そうだね」

「さて、休憩は終わりじゃ」

「師匠」

「これから“高天原”へ行くぞ」

「なんで場所を変えるんですか?」

「ふたりとももうそろそろ次のステップに進んでもよいかと思っての」

「次のステップ?」

「いったいなにをするんですか?」

「それは向こうで話す」

 三人は“高天原”へと飛んだ。


「お久しぶりです」

「あ、天照さん!」

「天照よ、準備はできておるか?」

「はい。ご案内します」

 三人は天照に連れられて洞窟の前に来た。

「ここは?」

「“天岩戸”です」

「ここでなにをするんですか?」

「精神統一じゃ」

「なんでいまさらそんなこと」

「強くなった今だからこそじゃ」

「どういう意味ですか?」

「新しい力を手に入れるためには今以上の魔力が必要じゃ。これはそのための修行じゃ」

「新しい力・・・」

「さ、時間はやく入るのじゃ」

「ちょ、師匠?!」

「お、押さないでください」

 ふたりはゼブルに無理矢理洞窟に押し込まれた。

「天照、頼んだぞ」

「はい」

 天照は近くの大岩で洞窟の入り口を塞いだ。

「うまくいくでしょうか?」

「あのふたりなら大丈夫じゃろう」


 洞窟の中は真っ暗でなにも見えなかった。

「ルーナ、どこにいるの?」

「ここにいるよ」

「どこ?」

 お互い相手の存在はおろか自分がどこにいるのか、どの方向を向いているのか分からない状態だった。

「これで本当に魔力が上がるのかな?」

「師匠は確か精神統一をするって言ってたよね」

「精神統一・・・」

 ふたりはゼブルに言われた通り精神統一を始めた。


 “カイル・アリアンロッド”では“ボドヴ”の三人が裁縫道具を取り出しなにかを始めようとしていた。

「なにをしているのですか?」

「あ、アリアンロッド様!?」

「これは、その・・・」

「だれかの服ですか?」

「あの、これはその・・・」

「どうしました?」

(どうしよう・・・)

(ばれたら怒られる)

(でもこのままっていうのも・・・)

「なぜ隠すのですか?」

(怒ってる?ねぇ、怒ってる?)

(わ、分からない)

(ここは正直に言った方がいいんじゃない?)

「正直に言わないと怒りますよ」

「「「申し訳ありません!」」」

 即答だった。

「本来ならこんなことをする場所ではないことも、こんなことをしている場合でもないことも分かっています」

「でも、わたしたちあのふたりになにかしてあげたいんです」

「わたしたちにできることは他にありません。ですからその・・・」

「かまいませんよ」

「「「え?」」」

「あなたたちの気持ちはよくわかります。ですからここで作業することを認めます」

「アリアンロッド様・・・」

「そのかわり、わたしも手伝います」

「「「え?!」」」

 アリアンロッドの申し出に三人は驚愕した。

「い、いえしかし・・・」

「アリアンロッド様はお忙しいでしょうし」

「私が居ては困ることでもあるのですか?」

「そ、そんなことはございません!」

「私も彼女たちのためになにかしたいのです」

「「「アリアンロッド様・・・」」」

「さぁ、急いで完成させましょう」

「「「はい!」」」


 作戦開始まで残り三日



 “天岩戸”の中は静まりかえっていた。

「・・・」

「・・・」

 ふたりの魔力はお互いが確認できるだけでも以前とは比べ物にはならなかった。


 外にいるゼブルたちもふたりの成長に驚いていた。

「一日でここまで魔力が上がるなんて・・・」

「うむ、これは妾も予想していなかった」

「これなら勝てますね」

「そうじゃな」

(さて、問題はこの先か・・・)

「あとどれくらい入れておくのですか?」

「一時間かの」

「わかりました。では食事の支度をしてきます」

「頼む」

「では」

 天照がその場から消えた。

「おぬしらはこの世界の希望じゃ。期待しておるぞ」


 一時間後。

「さて、そろそろ出してやるとするかの」

 ゼブルが岩を動かそうとした瞬間、岩が砕けた。

「なんと?!」

 ゼブルが驚いていると、土煙にふたつ影が浮かび上がった。

「はぁ、やっとどかせた」

「でも、壊してよかったのかな?」

「おぬしら・・・」

「あ、師匠!」

「すみません!勝手に壊してしまって・・・」

「いや、それはかまわぬ。しかし、これは・・・」

「師匠?」

「どうしたんですか?」

「どうやら、妾の予想は間違っていなかった。いや、それ以上じゃ!」

「「?」」

「まぁよい。さて、では行くぞ」

「行くって」

「どこへですか?」

「天照の城じゃ。食事の支度をさせておる」

 三人は天照の城へと向かった。


 城での食事はとても豪勢だった。

「さぁ、どうぞお召し上がりください」

「いただきます!」

「い、ただきます・・・」

 ふたりは空腹も相まって、ただひたすら食べ続けた。

 ふたりが料理をほぼ全て平らげた頃、ゼブルが話を切り出した。

「おぬしら、少しよいか?」

「なんですか?」

「今後の予定についてじゃ」

「また、“カイル・アリアンロッド”で修行ですか?」

「うむ。じゃが、もうあまり時間はない。残りの時間はその魔力を使いこなすことを優先させる」

「「はい」」

「その前に十分な休息をとることじゃ」

「え?でも・・・」

「時間がないんじゃ・・・」

「確かにそうじゃがここでおぬしらが倒れては元も子もないからの」

「はい」

「わかりました」

「お部屋はご用意してあります」

「修行は明日からじゃ。今日はもう休め」

 ふたりは渋々ながら天照の案内で部屋で休むことにした。


 作戦開始まで残り二日

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