プロローグ
“天界”には六つの島が存在する。その中のひとつ“アヴァロン”では歴史に残る戦いが起ころうとしていた。
雲が空を覆い、光の遮られた場所にふたりはいた。
見た目は瓜二つ、違いがあるとすれば髪の色と角の有無のみ。
「おぬしは、いったいなにを企んでおる?」
角の生えた方が問う。
「あなたには関係ないわ」
角のない方が答える。
「関係ない、か。妾はおぬしの姉だというのに」
「あなたを姉だと思ったことは一度もないし、姉だからという理由で話す訳ないじゃない」
そう言うと突然なにもない空間に方陣が現れ、そこからランス状の武器が出現した。
「結局はこうなるのだな」
言いながらこちらも方陣を展開、拳銃を出現させた。
お互い武器を相手に向ける。
「これ以上私の邪魔をしないで!」
「それは、おぬしがよからぬことをしようとしているからではないか」
「何も知らないくせに!」
「おぬしが話さぬのが悪いのであろう」
「話したところで信じないくせに」
「そんなことは」
「うるさい!」
角のない方がランスを構えた。
「これ以上の話し合いは無意味よ」
「そのようだな」
そしてふたりの戦いは始まった。
ふたりは激しくぶつかり合い、その度に雷鳴が轟き、竜巻が起こり、火山が噴火し、大地が割れ、だんだん地形が変化していった。
この戦いは後に“ラグナロク”と呼ばれることとなる。
“ラグナロク”以降、天使と悪魔は頻繁に戦争を起こしていた。大規模なものは“天魔大戦”と呼ばれ、二度にわたり行われた。
“第二次天魔大戦”の二百年後から物語は動き出す。