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12、夜会

「…で、僕とアストラの婚約式は3日後、公爵家が所有してる教会でやるからよろしく。」



「私たちは4日後ですね。ジンくんたちの次の日にやることになりました!」



「え?早くね?そんな簡単に決めれることなの…?こっちじゃ普通なことなのか?」



俺たちはギルド向かいの酒場に集まり、結婚祝いパーティーと称し酒を飲んでいた。



「いや、今回は特に早いな。普通は貴族たちがパワーバランスを考えて反対するとかがあるのだが。まぁ…良くも悪くも私たちは有名だからな。ダメだとは言えないだろう。」



先程王城でやらかしたことを思い出す。



「あぁ…まぁ早くできるのは良いことだよな。」



「…だから来てね。これ招待状。」



「私たちのも今渡しちゃいますね!」



「おぉ…ありがとう。」



1年という短めの旅立ったけど…やっぱりずっと一緒に居たからかな。とても感慨深い。



「あ、そういや俺お前らの式が終わったら他の国行くから。そこで俺の勇者としての任は終わり、そんで勇者パーティーは解散って感じでいいか?」



「はぁ!?」

「え、えぇ!?」

「…」

「まぁそうよねぇ〜…」



反応は様々。まぁこんなの聞いたらそりゃそうなるか。



「ちょっと前から考えてたんだよ。別にここにいる必要ないかなって。でも流石に俺自身が抑止力の役割を果たしているから留まろうと思ってたんだ。

…でもこの国にはちゃんとした勇者が居たからな。ラザロとフローラには俺の代わりになってもらおうと思ってな。」



「…本当にこの国から出ていくのか?」


「あぁ。もう確定だ。」


「…何するかとか決めてるんですか?」


「うーん…まぁしばらくはのんびりするかな。」


「…あいつらじゃお前の代わりになれない。」


「なるよ。あれは伸び代デカイぞ。しかも勇者として100点の性格だ。」


「外に行く意味はあるの?」


「ないかな。でもここに留まるのも意味はない。」



「「「「…」」」」



「別に難しく考える必要ないだろ。別れはするがいつかは帰ってくるし。ただの旅行だと思っててくれ。」



そこから2分ほど沈黙が続いた。他の客からはここの席だけ盛り上がってないと思われているんだろうか。



「…俺らが着いていくのはダメなのか?」



静寂を切り裂くように、捻り出した声でソウが言う。



「ダメだな。騎士、聖女、貴族、アストラも婚約したら半分貴族みたいなもんだろ。そんな長期間他の国に行くこと出来ないだろ。」



「…」



次にアストラが喋り出す。



「ラザロとフローラのバックに着くって話はどうするの?まさか嘘ついたの?」



「お前らがいるだろ。そのためにお前らをあの場に呼んだんだ。あの場の貴族たちを黙らすだけなら俺一人で十分だった。でも出ていく予定だったからな。お前らと…あと王様が守れば大抵何とかなるだろ。」



リリーが涙を流しながら声を絞り出して問う。



「私たちのこと…嫌いですか?」



「好きだ。嫌いなわけない。」



最後にジンが理性的な目でこちらに語りかける。



「…いつから考えていた?」



「魔王を倒す前から。でもこの感情が固まったのはラザロと会った時からだな。選定の剣に選ばれた勇者だとは知らなかったが…じゃなくてもあれは勇者の器だからな。」



「俺らが全力で止めるとしたら…?」



ソウがとてつもない殺気でこちらを睨んでくる。そのせいで店にいる人たちが怖がってしまっている。



「無理だよ。お前らじゃ俺を捕まえられない。俺のことを傷つけないって分かってるからな。あ!店員さん!この金でここにいる客の皆に酒1杯サービスしてやってくれ。残った金はチップってことで受け取っといてくれていいから。」



「す、すまない…少し血が上っていた。」



このままだと良くない形で別れることになってしまう。なんなら結婚式すらも嫌な気分で迎えることになるだろう。それはダメだ。



「よし!んじゃあこうしよう!お前ら俺に貸しがあるの覚えてるよな?ソウは騎士団での立場、リリーは協会との仲、ジンは家と貴族のあれこれ、アストラは噂の払拭、その恩を今返してもらおうか!」





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