10、昔話
引き続きラザロ視点
「崖飛び降り事件…詳しくは聞いてないんですけど、ワタルさんから少し聞きましたよ。凄く楽しかった思い出って…」
「…そんな良いものじゃない。俺が話してやろう、全てを。」
「あの頃はとにかく仲が悪くてな。俺の視点だと無能のくせに聖女になった女、国家転覆未遂の爆弾魔、師匠を殺した魔女、あと勇者のワタルって感じで最悪だった。」
「えぇ…よくその関係値で勇者パーティーに入ろうと思いましたね…」
「まぁな。それだけワタルには恩があったんだ。
そこからしばらくは業務連絡や連携すら取らない、そんなパーティーだったよ。特に俺とアストラは必須事項はワタルに伝言を頼むくらいだったしな。」
「だいぶ仲悪かったわね〜あの頃は。」
「そこから崖飛び降り事件だな。まず道中、ドラゴンに出くわしたんだが…そいつ戦ってる時に俺の剣が折れたんだ。勝ったのはいいんだが流石に剣がないとどうしようもないからな。近くの街に寄ることにしたんだ。運良くその街に腕利きの鍛冶師が居て狩ったドラゴンの素材で剣を注文したんだが…」
「良くも悪くもあの街の人たちは職人気質でしたよね…」
「あぁ。この素材じゃ1級品には出来ない、魔王を倒すのだからもっと素材を持ってこいと言われてな。ちょうどよく倒したドラゴンの番が近くの山脈で暴れだしたという報せが入ったからそいつを倒して素材にする作戦にした。…なのだが…そいつがとても強くてな…」
「…あれはあの頃じゃ絶対無理。」
「そんなに…だったんですか?」
「そうだな。正直死を覚悟していた。だがまぁそこからだったんだ。」
_____(ソウ視点)
ドラゴン討伐中
(…このままでは全員…いや、せめて勇者であるワタルだけは命に変えても…!!)
「リリー!!前線でヘイト稼いで!お前の防御魔法が頼りだ!!!」
(…はぁ!?いくら防御魔法が得意だから言っても女の子を前線に行かせるなんて…!)
「は、はい!行きます!」
「アストラ!!最大威力の魔法!何でもいい!!」
(な、そんな雑な…)
「了解〜!貯めるのに時間いるからね!!」
「ジン!あいつの弱点見つけろ!!心臓でも頭とか!!どっかには脆いところがあるはずだ!!!」
(そ、そんなのでいけるものなのか!?)
「…! 了解、ちょっと集中するから守ってね。」
「ソウ!!アストラとジンのバックアップよろしく!!アストラが魔法を打つ直前に前線のリリーを連れてこい!!!」
「…わ、分かった。お前に賭けよう…!」
ガンッガンッ!!!ダダダダダッ!!!
「ひ、ひぃーーー!!!!ワタルさんー!!!想像より怖いですー!!!!!」
「か、硬い…!でも…!ワタル!!リリー!!!ブレスが来るぞ!!!!」
キュイイイン!!!!!!!
「…了解!それはさっき見たからな!!!対策バッチリだ!!!土魔法!!!岩でも食ってろ!!」
(…岩で口を塞いだ…!?いやでもそれだけじゃ足りないだろ!!!!)
キュイイイン…
「ブレスをう、撃たない!?何故!?」
「ハッハァ!!やっぱお前!ドラゴンの割に知性あるよな!!戦い慣れちゃうと安全行動したくなるよなぁ!!!!」
グ、グァァァ!!!!
「…弱点!!!首の真ん中辺り!!」
「魔法もおっけーよ!合図をちょうだい!」
「ナイスだ!!!ソウ!!ドラゴンの足元でうずくまってるやつを持っていけ!!!」
「分かった!!」
「り、リリー!防御魔法を解除して俺に掴まれ!!」
「は、はい!解きます解きます!でも怖くて腰抜けちゃって…!」
(ワタルがリリーの代わりにヘイトを稼いでる…!長くは持たないだろう…素早く離脱するには…!)
「…嫌だろうが我慢してくれ!」
「ひゃっ…!え、えぇー!!」
「…お姫様抱っこか!やるねぇ色男!!よし!アストラ!!あいつの首のとこに魔法撃て!!!」
「はぁ!!!地神の嘆き!!!」
「おいおいおい…!い、隕石かよ!同じ土魔法でも岩と差ありすぎだろ!!離脱離脱!!!崖から降りるぞお前ら!!!」
「「「「…え!?」」」」
____




