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短編のお部屋

夕暮れ時に5円玉を握りしめて

掲載日:2024/08/09

「夕暮れ時に5円玉をあの公衆電話に入れると神様と話ができるらしい。」


最近よく聞く噂だが、私は嘘だなと思った。


公衆電話は10円玉か100円玉、またはテレホンカードしか入らない。

5円玉では電話はできない。

それに神様って誰なの?


私は噂を信じなかった。

そもそも、あの公衆電話ってどこの公衆電話なのかわからないし。


時間が経つと噂は少し変わっていた。

「夕方5時に5円をあの公衆電話に入れて、5のボタンを押すと死者と話ができるらしい。」


やたら5が多いな。


人にかかわる数字としては、確かに5が最適なのかもしれない。


人間の感覚は五感。

人間の味覚は五味。

人間の身体を表す言葉にも5は使われていて、五臓とか五体とか。

手の指も片手なら5本。

足の指も片足なら5本。


5について暫く考え、少しだけこの噂考えた人面白いなと思った。


そして、私は面白半分で夏休みに入る前に、友達にこの噂のことを話した。

流行りものが大好きな友達は噂の公衆電話に行ってみたいと言っていた。


本当に行ったのかはわからない。


ただ夏休みが終わったら、友達は学校からいなくなっていた。

出席確認で先生は友達の名前を呼ばなかった。

そして、そこにあるはずの友達の机と椅子がなかった。

まるでもともと存在していなかったように。


私は記憶を辿った。

友達に最後に会ったのは夏休み前。


友達と愛犬ココの散歩をしたことを思い出した。

夕方なのにとても暑くて公園で休憩し、あの噂の話をした…


急に心臓の音がうるさくなる。


夏休みの終わり頃、散歩中に脱走したココが車に轢かれ亡くなったと友達から電話がきた。

泣きながらずっと喋っていて、聞き取りづらかったがココに会いたい、公衆電話に行くと言っていた気がする。


あの噂を信じたの?

ココの声を聞きに行ったの?


学校が終わり、私は無意識に友達の家に来ていた。

身体中、汗が止まらない。


あれ?

何かおかしい。

少しずつ違和感は広がる。


玄関の呼び鈴を鳴らす。

大丈夫、友達が出てきてくれる。きっと。

心臓のドキドキが止まらない。


「あなた誰?」と出てきたのは友達のお母さんだった。

「私は…〇〇ちゃんの友達で、あれ?えっと、ワンちゃん、ココ…」


どうしてだろう、友達の名前が思い出せない。

あれ?私はなぜここにいるのだろう。


何をしにきたのか自分でもわからなくなってしまい、私はその場を逃げるように走って去った。


犬のココのことは思い出せるのに、何か大切なことが思い出せない気がするのだ。


そして、無性に気になることがある。

あの公衆電話。

どうしてもそこに行きたい。

いや、行かなくちゃいけない。


誰かが私を呼んでいる。


その日私は、夕暮れ時に5円玉を握りしめて、犬のココと来たことがある公園に行った。

公園の端には目立たないようにひっそりと佇む公衆電話があった。


私はその公衆電話に向かった。




その後、噂はまた少し変わったらしい。

「黄昏時に5円玉を握りしめ、あの公衆電話に行くとこの世から消えるらしい。」

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