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実習

 夏休みが終わって、私達は二年生になった。Sクラスには私以外に女の子がいなかったし、対抗意識も強かったのでクラスでは打ち解けて話せる人はいなかった。Aクラス以下の子達はSクラスの生徒を恐れているのか、私達に近づこうなんて人は誰もいなかった。ボッチ生活にも慣れてきた頃、担任のガルシア先生は私の所へ来て言った。


「シャルロットさん、私の弟子にならない?」


「え?」


「今すぐって訳じゃないの──私も後継を育てなきゃいけないし。個人的見解だけど、『あなたの魔力量なら研究者になってもいいんじゃないかな』って、思ったの。卒業まででいいから考えておいて」


「はい、ありがとうございます」


 思わぬ申し出に嬉しい気持ち半分、心のどこかで『家に帰りたい』とも思っていた。私は胸の奥にわだかまりを抱えながらも、野外実習の集合場所へ向かったのだった。



*****



 野外実習とは言っても、同じ敷地内にある森の中で行われる。今日は精霊を召喚して行う『強化魔法』の実習の日だ。


「えー、皆さん。この森に精霊はたくさんいます。発動条件は異なりますが、手を貸して貰えれば、普段使う魔術の威力が10倍から100倍まで膨れ上がります。また、精霊達は気まぐれです。手を貸して貰えなかったからといって、怒ったりしないように」


 晴れている日は、「普段より力を貸してもらいやすい」と言っていたが、精霊達は気まぐれだ。力加減は的当てより更に難しかった。


「火の精霊よ、あまねく大地を照らし私達を導き給え───ファイアボール!!」


 詠唱してから放った私の魔術は、威力が通常の100倍まで膨れ上がっていた。的は全て破壊され、地面は抉られており、目の前にあった木々は倒されていた。


「シャルロットさん、やり過ぎです」


「す、すみません」


 私は全てを焼き尽くしそうな、自分が放った炎の球に驚いていた。実習中に、負傷者が出なくて本当に良かったと思う。




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