表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/60

帰省

 学園で魔術を教わるうちに、『私みたいに困っている人がいたら、手を差し伸べられる人間になろう』と、いつしか思うようになっていた。


 火・水・土・風・光・闇の内、比較的扱いやすい、火と水、それから風と土属性の魔術に力を入れて訓練を行っていた。ユグドラ学園は2年間学ぶと、研究を続ける者以外は、何処かの国の魔術師団に所属するのが慣例であり、時期が来ると学園長と面談を行うと聞いていた。


 夏休みに入ってからも、1つ年上の先輩達は面談が終わらずに、順番に学園長と面談をしていたが、同じクラスの他の子達は、いつの間にか帰省していた。


「シャルロットさん!! まだ残っていたのですか?!」


 私は上手くいかない『的当て』を訓練場で行っていた。魔術もペーパーテストも出来ていない私は、メリーに合わせる顔がないと思っていた。


「先生。魔術が上手くいかなくて……」


 先生は何かを察したのか、額に手を当てると溜め息をついてから言った。


「シャルロットさん、今すぐ家に帰りなさい。あなたは──国に帰れないのかもしれませんが、ソレイユ村には、あなたを連れて来た婦人が、今も1人で住んでいるのでしょう? 会えなくなってしまう前に、一度でいいので元気な姿を見せてあげなさい」


「会えなくなってしまう?」


「学園長から聞いてないのですか? でもパンフレットに……。ああ、すれ違いになってしまったのですね。ここ、ユグドラ学園は結界の外と中で時の流れが異なります。ここでの生活の1年は、結界の外の時間の25年に当たります」


「えっ、じゃあ……」


「結界の外では、既に10年以上の月日が流れているでしょう」


「そんな!! メリー!!」


 私は教科書を地面に投げ出すと、寮へ向かって走り出し、どうやって自分が外出許可をとったのかも訳が分からないまま、荷物をまとめるとソレイユ村に向かったのだった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ